作品解説

第96回アカデミー賞でアジア映画として初めて視覚効果賞を受賞するなど、世界的な話題を集めた「ゴジラ-1.0」の続編。
前作に引き続き山崎貴が監督・脚本・VFXを担当し、前作から2年後の世界を舞台に、再び姿を現したゴジラと人類の新たな戦いを描きます。
キャストには、主人公・敷島浩一役の神木隆之介、ヒロイン・敷島典子役の浜辺美波をはじめ、山田裕貴、佐々木蔵之介、安藤サクラ、吉岡秀隆ら前作の出演者が再集結。
さらに、新キャストとして、天才気象予報官・青山真琴役の長澤まさみ、戦争で心に深い傷を負った生物学者・村上寛治役の田中泯、医師・緒方役の國村隼が参加しています。
主なキャスト
- 神木隆之介: 敷島浩一
- 浜辺美波: 敷島典子
- 山田裕貴
- 佐々木蔵之介
- 安藤サクラ
- 吉岡秀隆
- 長澤まさみ: 青山真琴
- 田中泯: 村上寛治
- 國村隼: 緒方
スタッフ
- 監督・脚本・VFX: 山崎貴
- 製作: 市川南、上田太地
- エグゼクティブプロデューサー: 臼井央
- 企画・プロデュース: 岸田一晃
- プロデューサー: 阿部豪、守屋圭一郎
- ラインプロデューサー: 櫻井紘史
- 撮影: 柴崎幸三
- 照明: 上田なりゆき
- 録音: 竹内久史
- 美術: 上條安里、平井亘
- 装飾: 龍田哲児、羽場しおり
- 衣装: 水島愛子
- ヘアメイク: 宮内三千代
- 特機: 奥田悟
- VFXスーパーバイザー: 植木孝行、大久保榮真、渋谷紀世子
- 編集: 宮島竜治
- 音楽: 佐藤直紀
私はもともとはそこまでのゴジラファンではないのですが、なんだかんだでエメリッヒゴジラや2014以降のハリウッドゴジラを見てきて、「シン・ゴジラ」そして「ゴジラ -1.0」も見てきました。
初代ゴジラは4Kリバイバルを見ることもでき、怪獣総進撃とかの昭和ゴジラシリーズに平成のVSシリーズも配信で後追。
というわけでkっこうゴジラを観てきたことになるのですが、今回も楽しみにしていました。今作は待望の続編ということで盛り上がりを見せ、一部選考プレミアや東京国際映画祭での上映もありました。
先行公開や公開初日には見に行っていませんが、初めての週末で早速鑑賞。なんでもIMAX向けに撮られた作品というのでIMAXで鑑賞。
朝一の回だったのですが大きなIMAXシアターがほぼ満員になる盛り上がりで、どの回も満席に迫る勢いです。
~あらすじ~

戦後日本をゴジラが襲ってから2年。
復興に向け全国民が尽力する中で、長野県松本にゴジラとは異なる巨大生物が現れる。
宇宙の隕石が周囲の動物を取り込み、様々な生き物の特徴を併せ持ち変化したその化け物は”ギドラ”と呼称された。
ギドラを駆除すべく集められた生物学者の村上、そして米軍から爆撃機を借り受けた野田は、”ゴジラを殺した男”敷島に助言を頼み、ギドラ掃討へ乗り出す。
しかしゴジラの驚異的な再生能力を覚えていた彼らは、ギドラに対する米軍の予測が誤っている可能性を鑑み、天才気象予報士青山の代案も携え、”鳴神作戦”を開始する。
犠牲を出しながらもギドラの駆除に成功したかに思えたが、雷撃を受けたギドラはさらなる変貌を遂げていく。。。
感想レビュー/考察

怪獣プロレス映画になっても、前作の反戦テーマは受け継がれるのか?
前作「ゴジラ -0.1」が興行的にも批評的にも大成功を収め、期待をされて登場した続編。正直一つのテーマをもって作られていた作品が続編を持つのは難しいだろうと思っていました。
というのも、前作は露骨に初代「ゴジラ」(1954)を意識し、原子力の怪獣というゴジラが登場していたものだったからです。
原子力の怪物、戦争の怨念。そういったテーマでのゴジラは単作で完成し、続編を作っていくのには向いていないのかなと。実際昭和怪獣シリーズはアンギラスなどを登場させ、社会的なテーマを切り替えつつも大怪獣プロレスになっていきます。
ゴジラは怪物ではなく、ほかの怪獣から日本を守るヒーローに。
平成ゴジラシリーズも84年でしたかね、原点回帰こそしたものの、そのあとはやはりゴジラは善玉ポジションだったかと思います。
今作は事前予告の段階で、ゴジラ以外にも怪獣の登場が示唆され、鳴き声入りの予告ではその声が昭和キングギドラに酷似していたことが話題でした。
そして最終予告や劇場グッズではキングギドラの存在が明かされました。
つまり、怪物ゴジラと人間の構図は一定は保たれるかもしれませんが、怪獣バトル映画になっていくことが確定。そうなると、マイナスワンの世界観とは異なっていくものであると思われ、やや不安でした。
しかし観てみれば、その心配は無用でした。
今作は間違いなく大怪獣プロレス映画、ゴジラVSキングギドラです。しかし同時に、前作ゴジラマイナスワンの血筋を強く受け継いだ、反戦と平和のゴジラ映画でした。
個人的にはこれをやってのけただけでもすごいなと思っています。
人間ドラマを含めての反戦や非核化の願いに、ちゃんと怪獣同士の大スペクタクルバトルがある。このどちらをも共存させたバランスがすごい。
逃げ続けた男の物語から、兵器をめぐる物語へ
前作は逃げたことを背負っている敷島という男が、典子や明子という存在を得て、彼らに押され戦争の影であるゴジラに立ち向かう話。
逃げ続けた男が逃げることを止めるって話だとおもっています。
今作は様々な過去作への目くばせをしつつも、オキシジェンデストロイヤーのように、作ってはいけない何かをめぐる話になっており、ここにまた反戦と、武装への非難が込められていました。

キングギドラが見せる圧巻の怪獣バトル
ゴジラの登場時間が後半のちょっとだけというのはやや不満になりますが、メイン怪獣として頑張るギドラが良い味です。
続編としてまたゴジラを恐れるだけだと絵が同じになるってのもあるでしょう。
今回は一つ頭のギドラが町を蹂躙するところから始まり、鳴神作戦含めて悪い化け物としてのギドラが楽しめます。
相変わらずのクオリティのVFXですが、ゴジラの水中戦とは異なり、飛行戦が見れますね。カメラワーク的にも迫力があるのと、大型のギドラが頭だけ真っすぐ中心にとらえて、トラのように迫る画とか迫力がありました。
怪獣描写はあるとして、今回好きなのは失敗ややり直しのドラマ部分です。
特に今作がキングギドラを呼び出しつつも、反戦の映画になっている核は、生物学者の村上博士のドラマにあると思います。
今作は前作以上に残酷な描写があります。ゴジラ襲撃時の東京の病院での描写、ギドラの引力光線で、赤ちゃんの死亡が明確に描写される。
そして村上博士の回想と空想が、私にとって今作を一段階押し上げるものになります。
まずは彼が抱えている広島原爆投下時の記憶。
さすがにR指定が着くほどの描写ではないですが、全身やけどした女性が歩き回り、「痛い痛い」「水水」という声に包まれる地獄絵図を、この令和の時代にスクリーンで(しかもブロックバスター系の映画で)見せつけたのは素晴らしい。
このような画自体があまり見なくなってきた中で、ギドラだゴジラだと盛り上がる劇場に一石を投じていると感じます。
このような光景を忘れないように、起こさないようにとの思いがゴジラに込められている。

村上博士の記憶が描き出す、原爆投下の地獄
そして村上博士はその惨劇で失った家族の敵討ちに囚われ、復讐の念から空想する。
彼が開発した共鳴波増幅装置というものが、ギドラへゴジラを誘導する装置。しかし村上博士は、ゴジラを誘導することができるなら、アメリカへゴジラを連れて行きNYCを吹き飛ばす空想をする。
これがさらに度胸あるなと思いました。日本人として、この空想はしたことがある人もいるのかもと思います。
広島と長崎の復讐。仕返し。歴史上唯一原子力爆弾を投下された国の人間として、同じ思いをさせてやりたいという心です。
短い時間ですが、広島のシーン以上に明確に、そのまばゆい光と熱線で人が溶けていき目玉が転げ落ちる様が描かれます。人は蒸発しニューヨークの都市は吹き飛び焦土と化す。
このビジュアルを見せつける。
「平和を守ることが一番の復讐」――ゴジラを兵器にしないために
ゴジラは核の脅威。もう一度原爆が投下されたら、戦争が起きたらという恐怖。原子力の恐ろしさ。
そして今作はそのゴジラを掌握することができれば、移動式かつ強靭な原爆以上の破壊兵器となることを示します。
敷島が大日本軍により人間爆弾とされたように、そしてギドラ掃討のために日本人が米軍によって捨て駒にされたように。今度はゴジラが戦争の道具になるビジョン。
繰り返してしまうその連鎖に、今作は終止符を打つ。明確に「兵器を使わせないこと。平和を守ることが、一番の復讐なんだ。」と言い放ってみせる。
諸々ドラマは用意されていますが、個人的にはここが一番感動的で素晴らしと思えます。私たち原爆を落とされた唯一の国が、このセリフを持った映画を作ったことは誇らしいです。
ところどころ辻褄が合わないところもあるし、個人的には敷島家側のドラマは分かりやすい感動もので入り込めなかったりしました。
でも大怪獣バトルそのものは圧巻ですし、キングギドラ好きの私はその活躍観れるだけでも最高です。
あちこちにあるオマージュも楽しいので、この上映時間でいろいろなものをうまく盛り込んでまとめ上げた秀作だったと思います。
今回の感想はここまで。ではまた。


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