「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」(2016)
- 監督:ティム・バートン
- 脚本:ジェーン・ゴールドマン
- 原作:ランサム・リグズ 「ハヤブサが守る家」
- 製作:ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング
- 製作総指揮:
- 音楽:マイク・ハイアム、マシュー・マーイェソン
- 撮影:ブリュノ・デルボネル
- 編集:クリス・レベンゾン
- プロダクションデザイン:ギャビン・ボキット
- 衣装:コリーン・アトウッド
- 出演:エイサ・バターフィールド、エラ・パーネル、エヴァ・グリーン、テレンス・スタンプ、サミュエル・L・ジャクソン 他
ティム・バートン監督による最新作。ランサム・リグズが2011年に発表した小説をもとにしています。
主演には「ヒューゴの不思議な発明」(2011)のエイサ・バターフィールド。またイギリスの若手女優エラ・パーネルがメインのヒロインを演じ、エヴァ・グリーンが館長であるミス・ペレグリンを、サミュエル・L・ジャクソンが悪役として出演。
公開してすぐでしたので、かなり混雑している中鑑賞。ティム・バートン監督独特の世界観を楽しみに来た方が多かったですね。
ジェイクの祖父エイブは昔から、奇妙な子供たちの集まる館の話をしていた。
そんな祖父が何者かに襲われ、両目をえぐり取られる。ジェイクはその時に巨大な怪物を目撃し、祖父はその館の主、ミス・ペレグリンに合うよう言って息を引き取る。
どうしても祖父の死の真実を知りたいジェイクは、彼の話や手紙を手掛かりにミス・ペレグリンを探しに島へと行く。
そこで信じられないことだが、祖父の言ったような奇妙な子供たちに出会うのだった。
これほどまでティム・バートンが監督するためにあるようなお話ってありますかね?
奇妙な子供たちの造形も彼の独特のテイストにぴったりですし、ゴシック調で少しレトロな設定的にも抜群であると言えます。
どうやら実際に都市伝説的に存在する奇妙な人々を元にした人物たちのようですけど、今作を引っ張っていく奇妙な子供たちがしっかりと奇妙なのはホントに楽しく観れるところでした。
それぞれの特徴づけもちょうどいい塩梅と言いますか、こういった特殊能力系ではX-menとかが思いつきはしますけど、アクション向きの設定などではないですね。
その彼らがそれぞれの能力を役立てて危機を乗り越えるのは、定石ですがやはり良いものです。
ですが・・・個人的には少し残念なところもあり。それは美術面でしょうかね。
今作は奇妙な子供たちがあくまで現実の(私たちの)世界に存在している様を描いているわけでして、そこには仕掛けはありますが、ジェイクの世界は現代、子供たちの世界は二次大戦時。
その世界自体には特段バートン監督のビジョンは入っていません。ですので、屋敷や家具、舞台などは特段おもしろくはないのです。
現実的な背景は人物たちの奇妙さを引き立たせることもできますが(エマが浮いているシーンは個人的にすごく好きなショット)、どうも各人物がそれぞれの時代と設定に帰属しすぎている気がしてなじまないと言った印象で観ていました。
時代が交わったりすることが多いので、それがギャップとして働いてよりこのキャラたちを奇妙に感じさせることもあるとは思いますが、私は逆に別の映画の人物がまた別の映画に無理やり出ているような感覚を持ってしまいました。
後半に行けばいくほど、ちょっと都合のいい世界設定や複雑化する部分を無視して、納得をさせずに展開している気もしました。
まあ過剰な眼球描写、ホロウが普通に怖いところ、そして骸骨剣士のバトルなど好きなところだっていろいろあるのですがね。
永遠に同じ時を繰り返し、毎日失恋を繰り返すエマ。保護のためとはいえ、子供たちは確実に閉鎖空間で表面上は幸せなだけの日々を送っています。
根本の解決としてジェイクが存在し、理屈がちょっとよくわからりませんでしたが、とりあえず新しい歴史を刻んで行けるようになりますね。
それはこうしてひっそりと生きている奇妙な人にとってかなりの救いであると思いますし、やはりバートン監督の思い入れと優しさなのかもしれません。
正直言って人物たちの感情動線が一番腑に落ちず説明不足の気がしましたが、子供たちや眼球コロコロ、ホロウと骸骨の戦い、そして何より年を取らないんじゃないかというエヴァ・グリーンの美しさが堪能できる作品でした。
そんな感じで感想はおしまいです。それでは、また。
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