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「お熱いのがお好き」”Some Like It Hot”(1959)

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映画レビュー
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「お熱いのがお好き」(1959)

  • 監督:ビリー・ワイルダー
  • 脚本:ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド
  • 原作:R・ソーレン、M・ローガン
  • 製作:ビリー・ワイルダー
  • 音楽:アドルフ・ドイッチェ
  • 撮影:チャールズ・ラング
  • 編集:アーサー・P・シュミット
  • 美術:テッド・ハワース
  • 出演:ジャック・レモン、トニー・カーティス、マリリン・モンロー、ジョージ・ラフト、パット・オブライエン 他

巨匠ビリー・ワイルダー監督が手掛けた、いわゆるロマンティックコメディの作品。

「スパルタカス」(1960)のトニー・カーティスと、ワイルダー監督とはこの後の「アパートの鍵貸します」(1960)などでも組んでいくジャックレモン、そしてセックス・シンボルたるマリリン・モンローが共演する今作は、アカデミー賞では多くの部門にノミネート。衣装賞を獲得しました。

クラシックなロマンティックコメディですが、ワイルダー監督の手腕が光り、いつみてもいいのですよ。

禁酒法時代のアメリカはシカゴ。サックス奏者のジョーとベース奏者のジェリーは、シカゴのギャング構想における虐殺現場に偶然居合わせてしまい、組織から追われる羽目になってしまう。

シカゴから逃げ出すために仕事を探すものの、募集していたのは女性奏者限定の楽団のみだった。

とにかくギャングたちから逃れるために、2人はなんと女性になりすまして楽団に潜り込むことを決意。かくしてジョーはジョセフィンに、ジェリーはダフネになるのだった。

ロマンティックコメディというのは多くありますが、今作の一番の面白さはその男女間のドタバタではなく、なんといっても主演2人の女装にありますよ。

トニー・カーティスとジャック・レモン、彼らが甲高い声であたふたする姿、そういえばいかに滑稽か分かると思います。しかももぐりこんだ楽団の女性たちが、女子寮的な喧騒の渦であるので、この2人のバレないようにする奮闘も大変なのです。

それに加えて、今作はマリリン・モンロー演じるシュガーをめぐって三角関係も用意され、騒がしさは増す一方。

マリリンは少し無垢(ちょっとアホの子)で、もろにセックスシンボルではないものの、お色気で2人を引きつけていますね。ここの仕掛けは実はかなり巧妙と思えました。

本来の目的である、シカゴギャングからの逃亡には女であり続けることが必要ですが、こうして巡り合ったシュガーにアプローチするには、男にならねばいけません。

そのため、後半になると大胆にも再び男に戻るジョー。しかしこれはジョーに戻るのではなく、これまた別の人格としてシェル石油会社の御曹司を演じる始末。もうどこまでも行ってしまうのですよ。

こんな風に人物は少なくとも人格を確実に増やし、かつしっかり観客には把握させ、その行き来だけで笑わせハラハラさせてしまう。そんな脚本と監督力に圧倒されますよ。すごい、ビリー・ワイルダー!

ジョーの方は巧いことシュガーといい関係に持ち込んでいく一方で、本当の大金持ちに気に入られてしまうジェリーのおかしさと言ったら。

船でお熱い夜を過ごすジョーとシュガーのカットバックで、死んだ目でタンゴを踊るジャック・レモンが最高におかしくて好きです。

そしてもちろん、この作品でもやはり小道具というのはワイルダー監督らしく運びの中にちりばめられ、美しく流れています。

例えば序盤の違法な酒場で、スパッツの綺麗な靴に酒をこぼすわけですけど、この男の恐ろしさを演出したかと思えば、終盤のホテルでも再び同じようなカットで靴から映す。印象付けと再登場のお手本のようですね。

喜劇は悲劇ということで、2人の男はギャングに追われてなかなか悲惨な目にあいますね。ギャングの描写はかなり凄惨なものもありますが、リードの2人のおかげで笑って観れます。

軽快なテンポで、台詞回しから設定のぶつけ合いも良く完成度の高いコメディ。

最後の最後の台詞まで型破りかつキレのいいものです。

ワイルダー監督にはずれはないかなと思っています。もっといろいろと観てみたいものですね。

かなりお勧めの作品でした。そんな感じで感想は終わりです。では、また。

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