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「モアナと伝説の海2」”Moana 2″(2024)

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「モアナと伝説の海2」(2024)

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作品解説

  • 監督:デイブ・デリック・Jr.、ジェイソン・ハンド、ダナ・ルドゥ・ミラー
  • 共同監督:ジェイソン・ハンド、デイナ・ルドゥー・ミラー
  • 製作総指揮:ジャレッド・ブッシュ
  • 脚本:ジャレッド・ブッシュ
  • 音楽:マーク・マンシーナ
  • 楽曲:アビゲイル・バーロウ、エミリー・ベアー、オペタイア・フォアイ
  • 出演:アウリイ・カラヴァーリョ、ドウェイン・ジョンソン、アフィマイ・フレイザー、ローズ・マタフェオ、デヴィット・フェイン、フアラーライ・チョン 他

2016年に公開されたディズニーアニメーション「モアナと伝説の海」の続編。海に選ばれた少女モアナの新たな冒険を描きます。

監督は前作でストーリーアーティストを務めたデイブ・デリック・Jr.が担当。またジェイソン・ハンド、ダナ・ルドゥ・ミラーも共に監督を務めています。

声の出演は、前作に引き続きアウリイ・カラヴァーリョがモアナを、ドウェイン・ジョンソンがマウイを演じています。

アメリカでは11月公開でかなり良い興行収入を上げているようですね。日本ではあまり遅れず12月6日には公開しました。1作目は日本では2017年公開で、そう考えるとモアナからもう7~8年くらいになると思うとビックリです。

公開週末に早速観に行ってきましたが、朝一の回で早かったのでそこまで混んでいなかったですね。カップルとディズニーファンの子たちが少しいる程度。

「モアナと伝説の海2」のディズニー公式サイトはこちら

~あらすじ~

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モアナが村の掟を破ってまで壮大な冒険に出かけ、テ・フィティの心を返し故郷を救ってから3年。

モアナは妹シメアと共に、村人たちを導き海の向こう側を探る冒険者として新たな生活を送っている。

モアナは海の向こうには別の人々がいると信じ、未開の島を見つけては人々の痕跡を探していた。

そんな中、「かつて人々は海を通じてつながっていたが、ある神の憎しみによってその絆が断たれた。海の果てにある島にたどり着けば、その呪いを解き、再び世界を一つにすることができる」という古い伝説を知ることになったモアナ。

人々の絆を取り戻す使命を胸に、モアナは島の新しい仲間たちとともに、危険に満ちた冒険の旅へと踏みだすことになる。

感想レビュー/考察

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もともとはTVシリーズとして配信予定だったものが映画化へ

2016年の「モアナと伝説の海」。日本では年を越して2017年の初めに公開されました。

当時、その力強い歌やモアナというディズニープリンセスの造形に感動し、劇場にも複数回観に行った記憶があります。

ディズニー映画では「塔の上のラプンツェル」がきっかけとなり、「メリダとおそろしの森」ではうたわないプリンセスが出て、そして「アナと雪の女王」で新時代の確立がされていたと思います。

そのなかでもモアナはさらに夢を追うことと冒険家であることが印象的でとても好きでした。

そんなモアナの続編と聞いて、楽しみにしつつ不安も。まあ好きな作品ほどそのままでいてほしいような気もするし、それでもまたスクリーンで逢いたいと思うわけです。

さて、今作は続編ということですが、実際にはもともとは映画になる予定ではなかったようです。2020年の時点ではディズニー+での配信アニメシリーズとして企画されていたとのことです。

シリーズがとてもいいものになったと判断され、映画館でのリリースに切り替え、今回のような劇場公開にこぎつけたそうです。

映画館で今作を観た身としては、映画化したことに対して残念ながら賛成はできませんでした。

たしかに豊かなアニメーションは前作からさらに強化されていて、モアナたちの造形も髪もすごい表現になってますし、この作品がもつ海、水の表現はさすがです。

壮大なスケールの造形物も出てきますから、大きなスクリーンで観れることはメリットです。

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キャラクターの数、処理の仕方としてはTVシリーズの方が最適解では?

しかし、問題だったのは脚本の方です。

脚本がそもそも弱いって思う点もあるんですが、それを置いておいて、今作はある程度時間をかけて描き出していくべき人物の数を持っています。

登場人物はモアナとマウイなど前作から物語を引き継ぐキャラクター以外にも、村から冒険に同行するチームメイトとして、整備士や農夫、画家で航海士見習いなどもいます。

さらに敵キャラとしても強大な神がいて、彼に従わされているマタンギという魔女のような力を持つ女性も出てきます。

加えて、前作ではマッドマックスみたいに海で出会ったならず者集団のカカモラから、一人の戦士が旅に同行していく。

そしてさらに、モアナには故郷で待つ幼い妹までいるのです。

これだけのキャラ数をもってして置物にならないようにキャラクターたちを処理して進むのであれば、それは2時間に近い上映時間にはなるでしょう。

でも、相互作用的に話を共有することが実は少ない。あるキャラのパートになれば、ほかのキャラは隅に行ってしまうし、一度終われば次に行って、でも未処理の問題もあるので引っ張ってる。

そう考えると、全体の大きなうねりを持つ映画より、むしろ一人一人をしっかり各話に分散してドラマを重ねていけるTVシリーズの形式の方が、フォーマットとしては最適解だったのではないかと思うのです。

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個別のエピソードの連結

誰もが印象こそ残りますが、それぞれのドラマという点では物足りない。

私としては妹は本当に待っているだけのキャラでしかないわけですし、整備士?のロトについても、マウイが好きすぎるオタクなモニも、土を愛するケレも。みんなのドラマがそんなに感じられませんでした。

3人がそれぞれ「最高の世界」を歌いながら、楽曲を通して旅と関係性の進展を見せるシークエンスなんかはわかりやすいまとめ方でしたが、しかし実際彼らがチームとしてまとまっていく歩み寄りには、ロジックが無いように見えます。

はじめは悪役に見えたマタンギについても、実は邪悪な神に呪われて囚われの身だとあっさりと明かしてきて、それが嘘だとかもなくほんとにその通りにいい人だった。

時には迷うことも必要だという歌は良いものでしたし、キャラ造形はかなり好きなんですが、彼女もあくまでエピソードの一つに感じます。サラッと終わるともう出てこない。

結局はすべてが一つ一つのエピソードの連結であって、独立したものが次々に示されているだけに感じますね。

リーダーとしての女性像

そのうえで、モアナの続編がどんな変化をもたらして、どの方向で先に進んでいるかというと、リーダーとしての女性像でしょうか。

モアナは今回、皆のために行動するヒーローでありますが、さらにチームメンバーを率いることになります。

自立や力強さ、冒険者に加えて、本当に人をまとめるリーダーとしての成長が込められているとは思います。

モアナらしいけれど、前作と同じような話で、フレッシュさは薄い

そしてもちろん、モアナにはポリネシア諸島の文化や歴史、神話が投影されています。今回は他者のために自己犠牲を払うことになるモアナは、おそらくディズニープリンセスの中で初めてちゃんと死んでいます。

モアナが最大の自己犠牲を払ったことで、そして何者にも頼らなかったマウイが助けを求めたことで、先祖が帰ってきて力をくれる。脈々と続く歴史や意志、先祖たちとの関係性を重要視する作品としては熱い展開でしょう。

総合して作品が持っていたアイデンティティは保っていると思いますが、しかし安全で手堅い作品である以上のモノはありませんでした。

どうしても個別の話の連結でしかない印象で、1作目が持っていたフレッシュさや冒険の心躍る感覚はどうしても感じにくいと思います。海を越えて新たな世界へ!という点では1作目と何ら変わらないですしね。

前作が好きで観に行く人は多いと思います。モアナにまた会いたい気持ちは分かるものの、正直期待はずれな印象でした。

今回の感想はここまで。モアナもMCUみたいに思わせぶりなだけのキャラとか、続編を臭わせるエンドクレジットがあるとか、やり方にも不安はあるな。。。ではまた。

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