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「モアナと伝説の海」”Moana”(2016)

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映画レビュー
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「モアナと伝説の海」(2016)

  • 監督:ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー
  • 脚本:ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー、タイカ・ワイティティ、ジャレド・ブッシュ
  • 製作:オスナット・シューナー
  • 音楽:オペタイア・フォアイ、マーク・マンシーナ、リン=マニュエル・ミランダ
  • 主題歌:アウリイ・カラヴァーリュ “How far I’ll go”
  • 編集:ジェフ・ドラヘイム
  • プロダクションデザイン:イアン・グッディング
  • 出演:アウリイ・カラヴァーリョ、ドウェイン・ジョンソン、アラン・テュディック、レイチェル・ハウス 他

ディズニースタジオからの最新作。北米では昨年の11月頃?には公開していましたが、日本ではこの3月に公開となりました。

情報が出始めたころから注目されたのは、舞台が南国でありそしてディズニー史上初めて褐色の、いわゆる有色人種が主人公となること。

監督には「リトル・マーメイド」(1989)、「アラジン」(1992)などを共同して撮ったロン・クレメンツとジョン・マスカー。

主人公モアナを演じるのは、ハワイ出身の新人女優アウリイ・クラヴァーリョ。助演にはわれらがロック様こと、ドウェイン・ジョンソン。

この前のアカデミー賞ではアニメーション賞と主題歌賞にノミネート。アニメは同スタジオの「ズートピア」(2016)に負けてしまいましたね。

公開日の夜の回で観ましたが、かなりの人が入ってましたね。まあ夜遅くで、字幕なんで子供たちは分かりませんが、大人でも上映後の熱気がすごかった。

遠い昔、命を生み出す女神テ・フィティの心を、半神のマウイが盗み出し、世界には闇が広がり始めた。その心を狙うマグマの悪魔テ・カァとマウイが激突、心は海の底へと失われる。

それから千年以上。モトゥヌイ島の首長の娘モアナは、幼いころから海に憧れ、その向こうへと思いを馳せていた。しかし、村の掟では海は危険で、そこへ出ることは禁じられているのだ。

自分の将来の首長としての役割と、心にあふれる海の向こうへの想い。

ついに闇がモトゥヌイを侵しはじめたとき、モアナは掟を破り海へと漕ぎ出す。マウイを探し出し、テ・フィティの心を返し、闇を祓うために。

世界観、人物描写ともに大好き。それが観終わった感想ですね。

今回の主人公モアナですけども、ディズニープリンセス(まあモアナをそう呼ぶのも違うかもしれないですが)の中でも一番気に入ったかもしれません。

アイデンティティー・クライスを抱える主人公として、まあ「アナと雪の女王」(2013)のエルサと重なるような気もしますが、本質的にはエルサは自分を知り、それと環境の折り合いを描いていましたが、モアナはその自分すらまだ知らない状態です。本当の自分は、自分は何者なのか。

彼女の心境の変化を表す”How far I’ll go”は歌も素晴らしく、daughterとwaterのリズムなど完璧です。その歌(歌詞は変化しますが)が本編中3回歌われますが、それぞれに成長がしっかりと刻まれ、また歌い方にも心、というかもはや魂の叫びが入ってきて熱いのです。

今回モアナを演じたのは、撮影時16歳?のアウリイ・カラヴァーリョ。彼女は本当に素晴らしい才能です。彼女の声に宿る生命力はモアナの造形にもあってますし。

実は今作でモアナは割と現代のアメリカンティーンっぽいしゃべりや反応、リアクションをするのですけども、それがこの世界観のノイズにならないのは、ひとえにアウリイの可愛らしさが強いからだと感じます。

耳元でおだててるとことかかわい過ぎですw

その主人公モアナのCG造形もすごく良かったと思います。彼女のCGモデリングは、南国の女性の健康的な肉体をしっかり表現していて、そこにもモアナの持つパワフルさとタフさが感じられました。

彼女は冒険者。王子を待つどころか、彼女がマウイを探しますし、そもそも彼女自身が首長となる人なのです。

マウイの方はロック様の声もフィジカルからくるものがあり、良かったです。タトゥーの遊びは3Dの中で2Dアニメが生き生きする、不思議な感覚でフレッシュ。古典と先進の融合ですね。

彼はモアナにとっては外の世界の人であり、まだ見たことのない世界を、いろいろと案内してくれる。

そこで彼から学ぶことも多いですが、やはり船の操縦法というのは大きいですね。かじ取りの仕方はそのまま、モアナが彼女自身の人生のかじ取りをしていくことにつながりますから。

この広い海で、自分の位置を知り向かう方向を定める。モアナが世界に居場所を見つけ、自分自身を知ることと重なるところですね。

魅力的な人物にコミックリリーフのヘイヘイもうまく働き、この言ってしまえば海だけの旅を楽しめますが、今作でもう一人大事な登場人物が水・・・というか海そのものですよね。色々な表情を見せてくれます。海が味方になることで、普通の海上サバイバルの不安要素はだいぶ薄い。しかし、だからこそモアナ本人の力量がダイレクトに試されていきます。

水のCG表現のすごさには感激ですけど、また濡れたものとか水につつまれたものの表現もスゴイです。こうした映像は見ているだけで嬉しく楽しい。

また、今作は美しさというのも好きなところでした。

世界は広大で、輝きにあふれている。星空に夕陽、気持ちも晴れるような快晴。

さらに恐ろしいものはホントに怖く描かれていますよね。荒れ狂う海にあの魔物の世界等。

しかしモアナは自分の狭い世界から飛び出してより広い世界を知りに行くわけですから、こうして多彩で美しくかつ怖い世界は必要でしょう。

世界としては確かに南国のものですが、この作品は神、半神、魔界や勇者などが詰まった神話です。

海外紙で少し入っていた情報として、ジョージ・ミラー監督による「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)を意識する場面、というか設定が見られるという事でしたが、まさに。マクガフィンを巡り、水上改造船のバトルがあり、戦いのドラムが打ち鳴らされて、ヒャッハーな奴らが乗り移ってくるんですもん、アガりますよ!

その他スター・ウォーズのアレみたいなのもあり、個人的には盛り上がっていました。

そういった要素が感じられるのもやはり、神話だからかと思います。

意思のある自然、コミュニティのはぐれ者が英雄的な冒険に出て、凱旋し革命をもたらす。

自分の本質を探ろうとするモアナ。

社会的に求められる役割、自分。それに反して心の中に持つ想い。彼女はまさに”What’s wrong with me?”というように、自分が分からなかった。

何度も「私はモアナ。」”I’m Moana.”と練習するのは弱々しく、いざマウイに言おうとすれば邪魔が入って結局言えず。それがついに、「私はモアナ!」”I’m Moana!”と魂で叫ぶのは最高に熱く感動的です。

島を愛し、海も愛する。受け継がれる伝統とかつての先祖の流れ、どちらも愛する。モアナはこの作品内で成長し、その一つ一つのシーンが彼女に重なり歴史となります。

たとえ海に選ばれなくても、テ・フィティの心を持たなくても、モアナが心で自分を証明します。

彼女を呼んでいたのは、海でもおばあさんでもなく、彼女自身の心だったのですから。

そうして自分を知った彼女こそ、心を返す英雄にふさわしい。彼女によって鼓舞され、釣針がなくても真に英雄的な行動に出るマウイ。

モアナの自分探しは、美しく壮大な世界での冒険。まだ見ぬ向こうへの憧れと、挑戦と成長。

彼女は独立し強くたくましい冒険者。革命を起こすもの。

この作品は様々な表情を見せる世界を卓越したCGで見せ、その上で非常に魅力的かつ生き生きとした主人公や仲間を見せてくれた、大傑作。最高でした。

かわいいプリンセスものではないですけども、魂の熱くなる激しい映画というのが実のところで、これこそいろいろな人に見てほしいです。おススメですよ。今はサントラ聴きながらレゴ買おうとしてますw

そんなところで、ディズニー新作の感想でした。では、また。

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