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「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」”Locke”(2013)

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映画レビュー
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「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」(2013)

  • 監督:スティーブン・ナイト
  • 脚本:スティーブン・ナイト
  • 製作:ガイ・ヒーレイ、ポール・ウェブスター
  • 音楽:ディコン・ヒンチライフ
  • 撮影:ハリス・ザンバーロウコス
  • 編集:ジャスティン・ライト
  • 出演:トム・ハーディ

監督のスティーブン・ナイトは元々脚本家として活躍している方ですね。この映画で監督作は2つ目。この映画は日本で公開してない・・・?と思います。この先するかもですが。

主演にトム・ハーディ。というかこの映画、画面に出る出演者が彼だけなんです。その他は電話によるやり取りで展開するというなかなか独特な作りになっています。

とりあえず海外版での鑑賞になります。結構お安かった:)

アイヴァン・ロックは夜の街で車を走らせている。

彼は建設現場の監督で信頼も厚く、家族思いの男。明日には重要なコンクリート搬入の仕事、そして今、家では家族が帰りを待ちわびている。

しかし、ロックが向かっているのは家族のもとではなかった。

画面に映るハーディとの80分ほどのドライブ。それがこの映画の画面上の全てです。

ずうっとイギリスのハイウェイやらの道路を走る。

トム・ハーディ1人がここで私たちの案内人です。仕組みとしては多くの電話による会話で話が進行していくんですが、それでもこの映画はハーディ1人の演技力で完成されていると思います。

ショットは短めであまりカメラの存在を感じず、挟んでくるライトの画がまた良いですね。全体の色彩トーンの統一もあってか、普段の道でありながら何か特別な道に見えました。

追い抜かれていくことが多いのは、口で言うのと違う迷いがあるように思えます。

映画全体として、誇張のない分の現実的な質感があります。

会話の流れもそうですが、人間模様が良いですね。大事なとこで酒が入って面倒、うっかりしたミス。そこでそういうこと言うなよっていう病院の人や、どうもズレてるのに面白いと思って話す人。

すべては電話という、物理的な接点のないもので行われる。車の中、そこからは直接どうにもできないからこそ、イライラします。

それはまた触れることのできない辛さです。愛する人を抱きしめることもできなんですよね。

ハーディの焦りや怒り、高揚、悲哀の表情が本当に素晴らしい。

高速道路という舞台が、この映画とロックを表しています。一度入ったらUターンも立ち止まることもできないのです。

ロックは覚悟を決めて走り出しています。映画が始まった瞬間から、行き着く先は決まっています。

彼は最善を尽くそうとする。自分が決めたことが、自分のすべきこと、正しいことだと証明したい。いかに止められない事でも、ベストを尽くそうとするのは、全ての観客が経験してることですね。

ひとつの舞台に一人の顔を使った映画。

何かしらの選択をしたら、それが正しいものだと思いたい。そう思って走り続ける男の夜のドライブ。

個人的には最後に残されたほのかな暖かさを感じましたが、ここは受け手によるでしょう。

上手にコンパクトにまとめられた、トム・ハーディのリードによるドライブです。

というところでおしまい。それでは次の記事で。

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