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「怒りの葡萄」”The Grapes of Wrath”(1940)

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映画レビュー
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「怒りの葡萄」(1940)

  • 監督:ジョン・フォード
  • 脚本:ナナリー・ジョンソン
  • 原作:ジョン・スタインべック 「怒りの葡萄」
  • 音楽:アルフレッド・ニューマン
  • 撮影:グレッグ・トーランド
  • 編集:ロバート・L・シンプソン
  • 出演:ヘンリー・フォンダ、ジェーン・ダーウェル、ジョン・キャラダイン 他

ピューリッツァー賞を受賞したジョン・スタインベックの小説を原作に、ジョン・フォードが監督。原作に感銘を受けたフォンダが主演を熱望した作品です。

アカデミー賞では監督賞と助演女優賞を獲得しています。私はこの映画、そしてここでのフォンダが大好きで、名作を偉大な人たちが映画化した素晴らしい出来だと思います。

世界恐慌下。資本主義農業が広がりを見せ、さらに砂嵐によって作物は取れず、多くの農民が難民と化していた。

トム・ジョードは刑務所から出所し家族のもとへ戻るが、彼の家族も例外ではなかった。一家は仕事があるというカリフォルニアへ旅立つことになる。

小説の方は聖書との関連や政治の面が深くありますが、映画の方はより人間ドラマ的になっています。

しかし全編に通して、当時広がり始めた資本(拝金とも私は取れますが)主義が映し出されています。

貧しい農家は都市部の銀行に土地を奪われていきます。「銀行って誰なんだ!」というように、もはや人でないものが人の生を脅かす時代。

それに加えて、難民をだまし搾取する雇い主たち。選択の余地のない人間を喰うおぞましい者たちです。

人より儲けを優先する社会変化。踏みにじられた人々は、生まれた土地を捨て、生きたい場所で生きることすらできません。

そんな嫌悪感ある大企業やら銀行に対し、フォード監督らしい人に寄り添ったシーンも。お店でキャンディーを買うシーンは、他を思いやる美しい人間性が詰まっていますね。

過酷な旅は年寄りや子供に辛く、飢餓も疲労も死も待ち受けます。そこに足元みる腐ったものがさらなる非道を働くのです。

それに対しての反抗が湧きあがりますが、希望も奪われてしまう。

しかし絶望だけで終わらせないのがこちらの良いところ。フォンダ演じるトム・ジョードは大切な家族と分かれ、多くの弱者のために戦うことを決意しますね。

有名な別れの台詞がありますが、一人の人間でなく、ある種のシンボルになるようです。普遍的に存在し、戦ってくれる存在。

彼は今でも生きていると感じます。

またここで悲しそうに、でも少し誇らしげに見送るママ・ジョードが素晴らしい。

搾取や暴力、不正がある限り、トム・ジョードがそこにいます。当時のアメリカ社会だけでなく、いつどこであろうと支えになってくれる映画です。

やはりフォンダは良い!そしてフォード監督は人間が大好きなんだと思いました。

というところでおしまい。結構テキトーな感想ですが笑

また次の記事で。

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