「ミンダナオ」(2019)

  • 監督:ブリランテ・メンドーサ
  • 脚本:ハニーリン・ジョイ・アリピオ
  • 製作:ブリランテ・メンドーサ、カルロ・バレンドーサ
  • 音楽:テレサ・バローズ
  • 撮影:オデッセイ・フローリーズ
  • 編集:ディエゴ・マークス・ダブルス
  • 出演:ジュディ・アン・サントス、アレン・ディソン、ユナ・タンゴッグ 他

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第32回東京国際映画祭のワールドフォーカス部門にて上映された、フィリピンの作品。

ミンダナオ島での紛争の中生きる母子と、戦場へ赴く父の物語が、アニメーションを交えて語られます。

監督は「ローサは密告された」などのブリランテ・メンドーサ。

実はメンドーサ監督は名前は聞いていたのですが、作品は見たことがなく初めて鑑賞することになりました。

題材もですが、実写とアニメーションの融合という点に惹かれました。QAのない回での鑑賞だったからか、あまり混みあってはいませんでした。

観終わるとやはり、QAなどで監督の想いを聞いてみたかったなと感じる作品でした。

あらすじ

フィリピンのミンダナオ島では、今も紛争が続いている。

そんな島で小児がんを患う娘アイサを抱えた母がいた。彼女は娘の回復を祈り、ケアホームと病院に通い、娘を支え続ける。

彼女にはもう一つ心配事がある。それは夫、アイサの父がフィリピン軍の衛生兵として戦地にいることだ。

病気に侵されていくアイサは母に「お話を聞かせて」とねだる。

そこで母は、ミンダナオ島に伝わる、ドラゴン退治をしたある兄弟の伝説を聞かせるのだった。

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フィリピンの事情には疎く、この戦闘状態や紛争のことを知るということでも自分にとっては有意義でした。

もともとは先進国の入植が原因となり、キリスト教とイスラム教が混じり、宗教間での紛争になっている。

作中でも父が軍のメンバーと揉めますが、同じフィリピン人でも宗教観が違い衝突していることは全然知りませんでした。

日本も紛争の仲介に関わっているということで、冒頭の平和を願う人々の中にいると感じます。

しかしこの紛争は40年を超えて続いていたとのことで、そんなにも長い間、ミンダナオの人々は恐れ隠れて暮らしたりを強いられたというのは、本当にドラゴン伝説の中の人々に重なる点です。

今回はこのドラゴン伝説と、一家の戦いの物語が交互に語られる点が特徴で、それは内容のオーバーラップ含めて切なくも力強いテーマだったと思います。

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アニメーションが実写と切り替わるわけではなく、お互いに重なり合うレイヤーとして描かれる。

ドラゴンの描写など、シンプルなクレヨンのようなモデリングになっているのは、アイサの描いた絵にも質感を合わせ、より近しいところにある物語として描くためでしょうか。

伝説では弟のスレイマンが倒れます。完全にドラゴンに打ち勝つことはできなかったのです。

実際に、戦争やがんなど、打ち勝とうとする相手には、残念ながら負けてしまいます。

全てがうまくいくということは、厳しいですがやはりないのです。

しかしアイサには、勝利を語るまでに物語を留めることで、希望を持たせることができました。

そして最後まで語るとき、救われたのは父と母だったと思います。

スレイマンを失った兄ラジャがそうだったように、物語に人を込めることで、その記録を残し記憶を永遠のものとするのです。

たとえ死んでしまったとしても、ドラゴンと果敢に戦ったスレイマンは、ラジャが繋ぐ伝説によって残される。

同じように、がんと必死に戦ったアイサのことも、語り継がれていくはずです。

病気と闘う家族が集い、今と過去を語る集会が繰り返して出てきますが、そこにこの作品のすべてが詰まっていたように思えました。

40年と長引いたにしても、やはり平和を願い戦った英雄たちがいるのです。

結果はどうであれ、父も母もアイサも、みんなが英雄であり戦ってきた。それを物語(映画でもいいでしょう)に記し残していくことが重要なのだと。

今回のTIFF32ndではフィリピンの作品を2本見ましたが、どちらも非常にエモーショナルな作品でとてもよかったです。

感想はこのくらいになります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた。

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