「戦場を探す旅」(2019)

  • 監督:オーレリアン・ヴェルネ=レルミュジオー
  • 脚本:オーレリアン・ヴェルネ=レルミュジオー、オリヴィエ・デマンゲル
  • 製作:ジュリエン・ナブー
  • 音楽:スチュアート・ステープルズ
  • 撮影:デヴィッド・シャンビーユ
  • 編集:トーマス・グレイザー
  • 出演:マリック・ジディ、レイナール・ゴメス、マクサンス・テュアル、トーマス・シャブロル 他

"Towards the Battle" aka "Vers la bataille"(2019)

第32回東京国際映画祭、コンペティション部門にフランスから出品された作品で、19世紀のフランスによるメキシコ出兵の時代、戦場カメラマンとして戦地を目指す男と、彼が出会うメキシコ人の旅を描きます。

監督はオーレリアン・ヴェルネ=レルミュジオー。彼は短編とドキュメンタリーを撮っている方で、今回で初の長編作品となります。

主演は「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」などのマリック・ジディ。

正直、コンペの中でもスケジュールがちょうと良くて観た作品でした。

でも結果としては観ることができてよかったです。

上映にはQAもあり監督と主演のマリック・ジディのお話が聞けました。

あらすじ

19世紀。フランス軍はメキシコに出兵し戦争が起きていた。

そのメキシコに、撮影機材を馬に積み上げ、荒野をさ迷い歩くルイスがいた。

彼は戦場カメラマンであり、軍の報酬金をもらい戦場の凄惨な写真を残す役目をおっているのだ。

しかし、ルイスは慣れない土地や小回りの利かない荷物の多さから、なかなか肝心の戦場にたどり着けずにいた。

そんなある時、ルイスは地元のメキシコ人に助けられる。

ピントという男はわざわざ戦場に行くというルイスを頭がおかしいといいながら、道案内をしてくれることに。

果たしてルイスは戦場に追いつき、写真を収めることはできるのだろうか。

"Towards the Battle" aka "Vers la bataille"(2019)

この作品は間違いなくウエスタンに近いものだと思うのですが、その持つ雰囲気はアメリカ西部劇でもマカロニウエスタンでも感じることの無い、独特な空気を持っていました。

どこか湿気がありじっとりしていて、そしてあまり遠くが見えるような広々とした感じでもなく、木々が多い茂り山は険しい。

QAで監督はこの点非常にこだわっていたらしく、撮影をメキシコやそのほか西部劇でよく使用される撮影地ではなく、コロンビアを選んだそうです。

高地であるコロンビアの方が、この独特の湿り気や艶を出せるとか。この点は個人的に気に入った要素でした。

事実、見える見えないみたいなことは、作品の中で重要なのかと思います。

ルイスはしょっぱなから迷いまくり、自分の現在地すらよくわかっていません。見渡せるような景色もなく戦場、つまりは死を探してさまよい歩く。

彼は死に呼ばれるように、戦場を探していくわけですが、戦場を映すこと自体がいまや捏造されていることに衝撃を受け失望し、同時に本当に病気で目が見えなくなります。

視力を回復するきっかけはピントであり、ルイスは次第に、自分が息子を追い求めていると確信しだすと再び目が見えるようになるんですね。

"Towards the Battle" aka "Vers la bataille"(2019)

コメディ調にも切り替えつつ、ルイスの死への旅を手伝うピント。作中一番まともで優しい男。

そこにいた人を残すためのカメラ。

その意志と技術を継承し、ピントはカメラを使う。少しの間ではあったものの、確実にはぐくまれたルイスとの友情により、ルイスを残しておきたかったのでしょう。

もともとは死を撮影するためにルイスは戦場を探しました。

しかし最後を考えるに、写真とは死ではなく、生を映すものなのかもしれません。そこに生き、何かを成し遂げてきた先人たちの生を覚えておく。

映画というものも、それ自体は本物ではないにしても、先人たちや偉大な功績を残していった人々を、フィルムに収めておく行為かもしれません。

ユニークな質感の西部劇としても、切ない友情のお話としても個人的にとても楽しめた作品でした。

感想はあっさりですが、映画祭のメモ程度に残し置きます。日本公開はどうでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた次の記事で。

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