「8マイル」(2002)

  • 監督:カーティス・ハンソン
  • 脚本:スコット・シルヴァー
  • 製作:ブライアン・グレイザー、カーティス・ハンソン、ジミー・アイオヴィン
  • 製作総指揮:キャロル・フェネロン、ジェームス・ウィテカ、グレゴリー・グッドマン、ポール・ローゼンバーグ
  • 音楽:エミネム
  • 撮影:ロドリゴ・プリエト
  • 編集: ジェイ・ラビノウィッツ、クレイグ・キットソン
  • 出演:エミネム、メキ・ファイファー、ブリタニー・マーフィ、エヴァン・ジョーンズ、オマー・ベンソン・ミラー、アンソニー・マッキー、キム・ベイシンガー、マイケル・シャノン 他

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「L.A.コンフィデンシャル」などのカーティス・ハンソン監督が、デトロイトの貧困外で、ラッパーとして成功を夢見る青年の成長期を描くドラマ映画。

主演は自身も主人公に似た境遇にて大スターとなったエミネム。

また友人役にはメキ・ファイファー、エヴァン・ジョーンズ、オマー・ベンソン・ミラーが出演。

そのほか恋人になる女性役にブリタニー・マーフィ、母親役にキム・ベイシンガー、ラッパーにアンソニー・マッキーなども出演。

今作は主題歌『ルーズ・ユアセルフ(Lose Yourself)』がアカデミー賞主題歌賞を獲得しています。

おそらくコーラスは皆さん一度は耳にしたことがある楽曲です。

タイトルの8mileというのはデトロイトにあるストリート名で、白人層(富裕層)と黒人層(貧困層)を分ける境界線のような道です。

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1995年のアメリカ、デトロイト。

かつては自動車産業が発展していたこの街も、今では廃れてしまい、廃屋が立ち並び通りには貧困に苦しむ人々があふれる、治安の悪い地域になってしまっている。

恋人と別れアパートを追い出されてしまったジミーは、母と妹の住むトレーラーハウスに戻るも、母の交際相手の男は高慢でジミーと喧嘩ばかり。

ジミーの夢はラッパーとして成功することで、地元のラップバトルに、”B・ラビット”という名前で出場している。

しかし、肝心のバトルで声も出せず詰まってしまい、友人は励ましてくれるが、自分に自信が持てなかった。

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切ないですが熱い青年の成長期。

若い人に限っての話ではないですが、やるだけやること、好きなことをやること、そして自分の人生を認めることが詰まった作品だと思います。

この作品を観るとき、どこかでけじめをつけられず、どこかに諦めや行き場のない感情を抱えていることを思い出しました。

色彩にかける荒涼としたデトロイトの街の中で、人物造形もとてもよく、塞ぎ込んだ環境の中で必死に抜け出そうともがく。

でも一番抜け出さなければいけないのは、デトロイトではなく、自分の心ということです。

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このデトロイトの廃屋立ち並ぶ街、排気にまみれゴミが散らかるストリート、工場からトレーラーハウスまで、環境の作り込みが良いです。

というか実際に313にて撮影を行っているということなので、その空気をうまく保存して粗削りになりすぎないのが巧いというか。

撮影監督はロドリゴ・プリエト。

この時はまだ長編の撮影は2作目ということですが、のちにイニャリトゥ監督と組んで「21グラム」や「バベル」を撮り、最近では「沈黙-サイレンス-」で素晴らしい画作りを見せている方ですね。

また、主軸となるラップバトルに関しても非常に分かりやすく描かれています。

ほとんどスポーツですね。

先攻と後攻が決められ、審判は観客。観客はファンではないので、フェアであり残酷です。

OPで詰まってしまうラビットに対して遠慮なしの大ブーイング。

ラビットの挫折を描きながら、初っぱなで設定の説明をしちゃうのは見事ですよね。

家庭環境とか各自の境遇が話を止めずに展開するので停滞感もないですね。

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貧困、巧くいかないラッパーとしてのキャリア。

恋人もとられ、幼い妹の前で叩きのめされ、ダチも良い奴だけどアホ。

不安定で酒浸りの母とトレーナー暮らし。

このデトロイトさえでれれば。8マイルの向こうへ行ければ。

ラビットはそこに固執していたかと思います。

しかしありのままの自分を認めることにより、本当の意味で解放されたんですね。

白人であり、貧乏で、負け犬。ホワイトトラッシュ。

突き抜けて現実を認め自ら叫べば、誰も自分の人生に口出しできません。

同じく背中を向けてストリートを歩いていくOPとラスト。

その背中に感じる清々しさが素敵。

成功することというよりも、受け入れて前をみる爽快感がありました。

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エミネムの今作でスゴいところって、ラップもですけど自分は黙ってるところだと思います。

映画俳優ではないのに、黙っていることの力を本当にうまく使っています。

わりとためて、最後のクライマックスで最高のリリックを繰り出すとかパフォーマンスとして素晴らしいですし。

あと最終バトルでパパ・ドッグがチョークしている間、無言かつ険しい顔でリズムだけはとってる様がカッコいい。

主題歌Lose Yourselfのアカデミー賞受賞も納得の熱さです。

音楽ジャンルとかアンダードッグものの脱構築ではなくても、確かな手触りで胸の熱くなる成長期でした。

今回の感想は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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