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「パディントン2」”Paddington2″(2017)

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映画レビュー
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「パディントン2」(2017)

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作品概要

  • 監督:ポール・キング
  • 脚本:ポール・キング、サイモン・ファーナビー
  • 原作:マイケル・ボンド
  • 製作:デヴィッド・ハイマン
  • 製作総指揮:ロージー・アリソン、ジェフリー・クリフォード、オリヴィエ・クルソン、ロン・ハルパーン、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
  • 音楽:ダリオ・マリアネッリ
  • 撮影:エリック・ウィルソン
  • 編集:マーク・エヴァソン
  • 出演:ベン・ウィショー、ヒュー・ボネヴィル、サリー・ホーキンス、ジム・ブロードベント、ジュリー・ウォルターズ、ヒュー・グラント、ブレンダン・グリーソン、ノア・テイラー 他

イギリスの有名な、紳士なクマ、パディントン。

2015年に初めての実写長編映画が公開され、現代の映像技術の素晴らしさに加え、真に必要な精神を呼び起こす暖かな作品として、私はすごく大好きな作品です。

監督は前作にひきつづきポール・キングが担当し、ベン・ウィショー他メインキャストはそのままに、今作ではブレンダン・グリーソン、ヒュー・グラントが新たに参加しております。

今年序盤では個人的にすごく楽しみにしていた作品で、とりあえず2回観てきました。

どちらの回も、人がかなり多く入っていまして、初週末の時はほとんど満員。

笑いに包まれる中に、ほんのり涙も聞こえる、素敵な映画体験でしたよ。

~あらすじ~

ロンドンのブラウン一家に受け入れられ、近隣や町の人と仲良く日々を送る、くまのパディントン。

今ではいろいろな人にとって、彼こそが心のよりどころになっていた。

もうすぐ大好きなルーシーおばさんの誕生日。

パディントンはプレゼントにぴったりの、世界にひとつしかないロンドンを舞台にした飛び出す絵本を買うために、仕事を始めるのだった。

しかし、謎の男がその本を盗む現場を目撃し、追走劇の末、パディントンが泥棒として逮捕されてしまう。

誰しもパディントンが泥棒とは思わないが、真犯人の手がかりもなく、彼は刑務所へと送られてしまうのだった。

感想/レビュー

2作目への期待としては、けっこう厳しいだろうと思っていました。なにせ1作目の愛らしさと温かさは奇跡のようなものでしたから。

しかし結果として、それすらを超えていく勢いで、今作は間違いなく1つ映画として傑作だと思っております。

色々と素晴らしいところがありますので、段階的にお話していきましょう。

素晴らしい映像体験

まずはこれは前作でもそうだった、素敵な映像体験の部分。

パディントンを作り上げるCGのレベルの高さはもはやある程度の水準を持った現代技術では驚かなくなったものかもしれません。

しかし、フワフワモフモフの感覚がスゴイだけではないのが、この作品の好きなところです。

それは、映像マジックがふんだんに使われているところ。

飛び出す絵本から想像する、ルーシーおばさんとのロンドンめぐりとか、涙が出るほどに楽しかったです。本当に素晴らしかった。

大きなスクリーンいっぱいに広がる、紙でできたロンドン、そこにはCGでできたパディントンとルーシーおばさんがいる。

カメラは彼らを囲んでぐるりと動きながら、彼らの周囲も次々と変わるのです。

スケールも自在、現実も夢も入り混じる美しさ。

今作ではタイムラプス風に周囲が変化していくシーンも多く、またミニチュア的遊びもふんだんにあり、まさに映像で遊んでいるのです。

さまざまに繰り出される映像の楽しさは、今作の大きな魅力になっていると思いますよ。

毒のない優しい笑い

またコメディとしても私は全編通してすごく笑ってしまいました。

見た目の部分では、パディントンのスラップスティックな笑いがあり、また彼の純粋さゆえのユーモアも炸裂しています。

意外にも1作目でのキャラや目配せも多く、そういった点でニヤリとさせる部分もありました。

前作を絶対に見ておく必要はないですが、観ておけばより今作を楽しめるのは間違いないですね。

さて、2作目というのはシリーズ(パディントンが今後も製作されるかは知らないのですが)にとって重要な位置にあります。

やはりキャラも増え、いわゆるプラスへとシフトした本作ですが、描写時間に関しては少なくなりながらも、しっかりと書く人物に見せ場をおき、プロップやイベントに最後まで意味を持たせた脚本は見事です。

話を進める上で、必要なユーモアだけが揃っており、笑いをとるためにテンポを崩すことがありません。

批評家からの絶賛を得るヒュー・グラントの演技も楽しいですし、やはりシーンスティーラーですね。

自分の部屋にこれでもかと自分の写真を並べるナルシストっぷりには呆れますよね。

演技の中の演技を多人数演じながら、どこまでいっても汚くはならないバランスで、パディントン世界らしい悪役を演じます。

だいたい、「落ち目の二枚目俳優であなたが思い浮かんだので出演してください」って言われて出るヒュー・グラントもどうかしてますよ(笑)

どこまでもパディントンらしい。

私たちの生きる世界のファンタジー版

パディントンと言う作品は実写であり、正面からロンドンを舞台にしながらも、やはりほんのりファンタジーの世界として構築されています。

このロンドンはこの世界のロンドンであり、現実のロンドンではないんですね。

一歩間違えれば嘘くさくなりそうなところを、やはり良いバランス感覚をもって、あたたかみがあってカラフルな楽しい世界に統一しています。

終始何もかもかポジティブなのです。この超楽観主義的世界は観ている間の幸福をくれました。

完全ファンタジーではないからこそ、私たちの現実世界とどこかつながりを持って観ることができる。

そうすることで、パディントンの純粋さを直に受け取り、観客もその精神を現実に持ち込むことができると思うのです。

やはり移民のメタファーは投影され、そして社会的に不適合とされる人物たちが、パディントンに影響され世界を変えていく。

”誰にでも、いいところは探せばある”

パディントンの純粋な眼差しと、楽観的善意の精神はブラウン一家だけでなく刑務所すら変えます。環境を、世界を変えるのは私たちなのです。

自分には良いところがない。この世界は残酷だ。

と、嫌になってしまうことはありますが、パディントンの盲目的なまでの善意を信じる心は、わずかでも自分や世界を希望を持って明るくみる気持ちをくれました。

そのためには正しくあらねば!

自分が優しく正しく振る舞えば、世界は良いところになるのですからね。

ポール・キング監督は紳士なクマがいるファンタジックな世界を絶妙なバランスでみせながら、見事な脚本と散りばめられたユーモアでテンポよく話を運び、さまざまな感情をふんだんに盛り込んでいます。

驚異的な映像もユーモアも楽しく、誰しも楽しめるお勧めの作品です。

初めのルーシーおばさんに救われるシーンと、最後の川でのシーンとで呼応していたりも見事だなぁ・・・ということで、かなりおススメですので是非劇場で観てくださいね。

感想はこのくらいで終わりです。

それでは、また。

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