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「13時間 ベンガジの秘密の兵士」”13 Hours”(2016)

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映画レビュー
In this photo provided by Paramount Pictures shows John Krasinski as Jack Silva in the film, "13 Hours: The Secret Soldiers of Benghazi" from Paramount Pictures and 3 Arts Entertainment/Bay Films. The movie releases in U.S. theaters Jan. 15, 2016. (Christian Black/Paramount Pictures via AP)
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「13時間 ベンガジの秘密の兵士」(2016)

  • 監督:マイケル・ベイ
  • 脚本:チャック・ホーガン
  • 原作:ミッチェル・ザッコフ
  • 製作:アーウィン・ストフ、マイケル・ベイ
  • 製作総指揮:リチャード・アバーテ、マシュー・コーハン、スコット・ガーデンアワー、
  • 音楽:ローン・バルフェ
  • 撮影:ディオン・ビーブ
  • 編集:ピエトロ・スカリア、カルビン・ウィマー
  • 出演:ジョン・クラシンスキー、ジェームズ・バッジ・デール、デビッド・デンマン、マックス・マーティーニ 他

2012年に起きたリビアでのアメリカ領事館襲撃事件を元にした、ミッチェル・ザッコフによる取材「13時間」。

それを「トランスフォーマー」シリーズでおなじみマイケル・ベイ監督が映画化したもの。

実際にリビアで戦った兵士たちの戦闘終了までの間を描いていますね。主演にはジョン・クランシスキー。

マイケル・ベイというとブロックバスタード派手アクションという感じですが、(TFにTMTとか)今回はノンフィクション的な作品と撮りました。これが果たしてマイケル・ベイという監督のどういう作品になるのか。

2012年、リビアにいる軍の友人に呼ばれそこにある機密CIA拠点アネックスにやってきたジャック。その拠点には軍事組織GRSも招集しており、ジャックはそこに参加することになる。

そして運命の日。2012年9月11日。

リビアにあるアメリカ領事館に、現地の過激派組織や民兵が侵入。銃声が鳴り響き、領事館は炎に包まれた。

アネックスはその領事館近くにあるため、救援要請がくるのだが、機密拠点であるからこそ、行動はできない。GRSメンバーにも待機しろとの命令が下るのだが、彼らは救出に向かうべきと判断。任意での救援活動にあたる。

今作でベイ監督が目指したのは何なのか。

政治色は一切取り払い、この日この時リビアで戦った兵士たちに視点を集中しようとしていると思います。ですのでこの事件の背景に関わる説明なんかは皆無と言っていいほどありません。

この映画にあるのは、あちこちで起こる爆発と炎、響く銃声です。その中に放り込まれた感覚を体験していくというような作りです。

その当たりで言えば、さすがはマイケル・ベイ。火薬と弾の数じゃ圧倒的。事件が起きてからはいたるところで戦闘に次ぐ戦闘。撃ちまくり吹き飛ばしまくり。

で、そこまでカメラが揺れないにしても、やはり観づらいです。

何よりも位置関係が大変分かりづらい。どこから出発して、どこへ行くのか。戦地でのカオス状態を見せたいのかもしれませんが、戦場の恐怖によるカオスではなく、ただ映画作りにおけるカオスでしかないと思いました。

こういった面はやはりベイ映画。それに加え、いらないシーンも多いです。まず序盤が長すぎることもあり、またユーモアがつまらなく不必要。

コンタクトレンズの件なんて結局何の意味もなかったですし、また車で逃走する際の「右だ!左だ!」のシーンは、あの状況ではギャグにもならないです。

それに、前述の通り位置関係が全く分からないので、進行方向なんて観客からすれば興味すらもてません。

無駄なベイらしさ、監督本人ができないのであればだれかが消すべきでした。上映時間2時間24分は長すぎです。

銃撃戦も混乱し、ギャグで疲弊し、それでも命を懸ける兵士たちと共に地獄を走り抜けられるのか。ここで決定的な問題があると感じました。

あれだけ時間を取りつつも、なんだか全然感情移入もできない人物たち。

ドラマ部分はノンフィクションであることを忘れるほどに嘘くさく、おそらく美化され過ぎているように感じました。役立たずの上層部、家族の写真、ブロマンス。このGRSメンバー、このときここにいた人たちを特色付けるような要素がない。

これはおそらく、ベイ監督が兵士に対し、兵器ほどには興味がなかったからだと思います。

だって銃とか砲撃、ロケットの描写は力入れてますから。本当に混沌とした恐怖を味あわせるのなら、過激派側のショットなんて挟む必要もない。いきなり着弾して、目の前の仲間がバラバラになるでいいはず。

それでも発射台をセットして頑張る過激派まで見せるのは、やはりその兵器描写が撮りたかったからにしか思えないのです。

爆弾の目線のショット、「パールハーバー」でもやってた気がしますが、あれもカッコよく見せるためですよね。あそこで完全に萎えてしまった。

カメラがある程度安定していたのは良いでしょう。実際の事件だから話が矛盾してるとか破綻してるとかもないです。

ただ政治色を排してしまったからこそ、余計に安直な英雄談になってしまい、彼らが払わされたアメリカのツケが消えてしまっています。

そして彼らよりも銃器やロケット砲を魅せようとしている製作意図により、火薬と薬莢だらけのやかましい無統制な映画になりました。

「ブラックホークダウン」(2001)やら「ハートロッカー」(2008)やらに似せようとしてるのかも?個人的には到底良いとは言えないテンコ盛りなのに空虚な映画でした。

劇場公開はせずソフト販売のようですけど、買って観るほどかな~ マイケル・ベイの作風が好きならば、楽しめるかもです。そんな感じで終わります。では。

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