「バットマン ビギンズ」(2005)

  • 監督:クリストファー・ノーラン
  • 脚本:クリストファー・ノーラン、デヴィッド・S・ゴイヤー
  • 製作:ラリー・J・フランコ、チャールズ・ローヴェン、エマ・トーマス
  • 製作総指揮:ベンジャミン・メルニカー、マイケル・ウスラン
  • 音楽:ハンス・ジマー、ジェームズ・ニュートン・ハワード
  • 撮影:ウォーリー・フィスター
  • 編集:リー・スミス
  • プロダクションデザイン:ネイサン・クローリー
  • 衣装:リンディー・ヘミング
  • 出演:クリスチャン・ベール、リーアム・ニーソン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、ケイティ・ホームズ 他

アメコミ世界でも最も有名なヒーローの一人、バットマン。

数々の映像作品があり、ティム・バートン監督の「バットマン」(1989)はその後のイメージを確立するようなインパクトを持っていました。

そして2005年になり、「メメント」(2000)のクリストファー・ノーラン監督によるリブート、ダークナイトシリーズが始まります。

今作はその1作目(まあウケたから3部作にしたらしいですが)となっており、よりバットマンの誕生を細かく描いた作品になっています。

主演には直前「マシニスト」(2004)で激痩せしていたクリスチャン・ベール。そして執事のアルフレッドにマイケル・ケイン、科学担当にはモーガン・フリーマン。ヴィランとしてリーアム・ニーソンなど豪華な俳優陣も見どころ。

アカデミー賞にも撮影賞ノミネート。ノーランとは長い付き合いであるウォーリー・フィスターですね。

貧困に苦しむ市民、マフィアや異常者の犯罪、腐敗した司法。都市ゴッサムは救いようのない状況にあった。そして、幼いブルース・ウェインもその犠牲となる。彼の目の間で、両親は強盗に射殺されるのだ。

その後長年の間復讐心を抱えた彼は、犯人を殺そうとするも、マフィアの手でその男は始末されてしまう。

復讐の対象も、生きる希望も失った彼は自身の無力さに絶望する。犯罪を学ぶことで犯罪者と戦う方法を模索し、世界中を放浪するブルース。

そして旅の果てに、影の同盟という組織と出会う。あらゆる手段を用いて、犯罪者と戦い正義を下す謎の組織。ブルースはそこで訓練を受け、自身の中の恐怖と対峙していく。

これまでと比べてかなり論理的、現実的な解釈をしようとしている本作。コミックのキャラクターであるバットマンを観客のいる世界の続きとして飲み込ませ、現実離れをしすぎないようにしていると思います。

最終的にバットマンへと変身するまでに約1時間。

その間はブルースがいかにその道へと進んでいくかを、時系列と舞台を交差させつつ流していきますね。巧いこと編集していると思います。

で、ゴッサムに戻ってからはバットマンスーツやガジェット開発という楽しさも観ることができますね。試行錯誤した要素がその後に敵と対峙する際に活かされているのも良いところに感じました。

各演者はさすがに素晴らしい役周りをしていて、最初のバットマン出現までにそれぞれのキャラクターをしっかりと造形していますから、後半からアクションが増えても引きつける力は大きいです。

ただ前述の通りバットマン誕生まで1時間ほどと長めですね。ヒーローが早く見たいのであれば、退屈かも。

色々と理屈を詰めていき、現実まあリアル志向?に向かっているわけですけど、それはデザインにも表れていますね。

スーツは譲れないところですから、結局はコウモリのコスプレ。

ただ、バットモービルが個人的にはホントに残念でした。軍用の戦車を改造したって設定はもっともらしいが故に、コミック感はなくバットマンの象徴的な車としては魅力には欠けると思います。

このリアル路線というのは確実にこの後のヒーロー映画やファンタジーものに影響を与えていると思いますが、良いところもあれど弊害もある気もします。

間違いなく新たなヒーロー、よりシリアスでダークなバットマンの物語なんですが、どうしても気になってしまうところもありました。

端的に言えば、名言はあれど名台詞が無いことですかね。

話が多く、台詞も相応にして多い本作です。子供にはちょっとというほどに哲学を語りまくる登場人物たちですが、とにかく言ってることが講義のようです。

正義や悪、精神の強さ等、意味の深い言葉が多いのですが、どうしてもそれらが専門家や製作者の説く思想に思えてきてしまいました。

言葉が多すぎて疲れました、映像そのものにメッセージ性を込め、観客自身があれこれと考えていく余白が欲しいかな。

リアルにリアルにとしつつも、やはりコミックに沿わせようとするとおかしなところが出てきます。それが上映時間と共に積み重なっていくと、少し気になり始めてしまうかもしれません。

タンブラーで爆走してバレずにバットケイブに帰れたりするところ、個人的にはちょっと引っかかりました。

あとどうしても気になる点は、アクション。格闘自体は独特な動きですがいかんせん見せ方が上手くないと感じます。

カット割り過ぎな上に一連の格闘の流れが見えたりもないので、どういう動きであるか分かりづらいです。カメラも揺らし過ぎかと。カーチェイスもまあそこそこですし。

リアル思考と言いつつもコミックの要素を残し、かなり仰々しく見せているので、一周まわってよりフィクショナルで象徴的な感覚は増しています。

ただ、ダークな雰囲気にしっかり飲まれることで、コミック映画を観るときに真っ先に入ってくるような現実乖離を覆い隠している点はすごい。

バットマンはゴシックで見られていた中に、また新たな手法でのリブートをみせ、コミックに対しての新しいアプローチと撮り方を見せていますね。

本質で言えば決して現実的という言葉が適切には思えないですが、象徴的にバットマンというキャラクターを描きだし、今までにない雰囲気で包み込んだ新バットマン映画。

観る価値は大いにありですよね。

この後の続編が、やはり伝説的な扱いをされており、そして最終作は・・・

ちょっと最後に言うと、このアプローチがすごく受けたことで、コミックものの映画製作に少し嫌な流れが出たのも事実と思います。

真正面から描くのを避けて、相対的にしたり葛藤を盛り込んだりと・・・まあそれは別のお話。

えー、この辺でレビューはおしまい。この映画ももう10年以上前の作品か~ それでは、また。

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