作品解説
キアヌ・リーブス主演の大ヒットアクション「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフ作品。
シリーズ第3作「ジョン・ウィック:パラベラム」とクロスオーバーしながら、新たな暗殺者の復讐劇が描かれます。
監督・スタッフ
- 監督:レン・ワイズマン(「ダイ・ハード4.0」「アンダーワールド」)
- プロデューサー:チャド・スタエルスキ(「ジョン・ウィック」シリーズ)
主演・キャスト
- 主演:アナ・デ・アルマス(「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」、「ブレードランナー2049」)
- ノーマン・リーダス(「ウォーキング・デッド」)
- ガブリエル・バーン(「ユージュアル・サスペクツ」)
シリーズおなじみのキャスト再登場
- キアヌ・リーブス(ジョン・ウィック役)
- イアン・マクシェーン(ウィンストン役)
- ランス・レディック(シャロン役)
- アンジェリカ・ヒューストン(ルスカ・ロマの長役)
ジョン・ウィックシリーズもドラマシリーズが展開されていたり、今作でスピンオフ映画までできたり。かなり幅を広げています。
もともとは普通の暗殺者映画でしたし、小粒なタイプの作品だったのが、いまやそうだなスケール感を持った一大シリーズになっています。
今作は主人公を新たに女性として、アナ・デ・アルマスがキアヌに負けず自分でスタントをこなし奮闘。やはり作品の世界観が好きですし楽しみにしていた作品です。
公開初週末に早速行きましたが、なんでか回数が少ない。。。なのでほとんど満員状態になっていました。
~あらすじ~
伝説の殺し屋ジョン・ウィックを生んだ組織「ルスカ・ロマ」で、暗殺者としての技を磨き上げてきたイヴ。ある任務の中で、彼女は亡き父の死に繋がる衝撃的な手がかりを掴む。──父を殺した暗殺教団の者と、倒した敵の腕に同じ傷跡を見つけたのだ。
真相を追い求めるイヴは、コンチネンタルホテルの支配人ウィンストンと、忠実なコンシェルジュのシャロンに協力を仰ぎ、復讐の道へと足を踏み出す。
だが、その暗殺教団とルスカ・ロマの間には、長年破られてこなかった休戦協定が存在していた。
それでも彼女の怒りは止まらない。禁忌を犯し、教団の拠点へと突き進むイヴ。
その前に立ちはだかるのは──裏社会に生きる者なら誰もが畏怖する、伝説の殺し屋ジョン・ウィックだった。
感想レビュー/考察
時系列は3作品目と4作品目の間
今回のスピンオフですが、ジョン・ウィックのシリーズでいうとパラベラムとコンセクエンスの間の話になります。
ちょうど主人公のイヴがトレーニングをしているところで、ジョンがチケットを切るためにルスカ・ロマを訪れるのでそれがパラベラム劇中。
さらにそのあとでルスカ・ロマの命を受けてイヴを始末するために送り込まれてきますが、あの感じを見るとコンセクエンスの潜伏期間中って感じでした。もしくは、キーラ・ハルカンを殺してルスカ・ロマに戻った後かもですが、あの後すぐ侯爵と決闘をしに行ってる気がするので違うかも。
今作は後述しますが、スピンオフとはいえメインシリーズの主人公であるジョン・ウィックも登場し、アクションシーンもあり大きく活躍をしています。
ファンが欲しいものをしっかりと与えるタイプの映画だと思います。
なので、そこも踏まえてメインシリーズを鑑賞しておいた方がより楽しめるはずですね。
メインシリーズとは異なり最強ではない主人公
さて、「ジョン・ウィック」シリーズのなかでスピンオフした作品ではあるのですが、本シリーズと同じ最強の殺し屋物語やっても意味はないということは分かっているようです。
なので、今作はそもそも主人公が弱い。幼い少女であったころから始まり、そして修行パートがあり殺し屋として成長していく。
初めから最後までとにかく強いジョン・ウィックも良いですが、こうした王道的な成長して強くなっていく話もまた良いものです。
主演のアナ・デ・アルマスは「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」で新米のスパイを演じ、短い出演時間ながらもそのアクションで注目を集めました。
今作でも多くのアクションを自分でこなしていて、そのおかげでアクションシークエンスも本家のような連続性と見やすさなどが付与されています。
ジョンとは違う魅力:進化していくイヴのアクション
ルスカ・ロマでの訓練のあとで、初めて殺しの道へ進んだ時、護衛のミッションではけっこうもたついている。正直、その時は大丈夫か?って感じがしたのですが、なるほど、最初はまだ殺し屋としての未熟さがあったからかと思います。
映画が進むにつれて、イヴのアクションの切れや状況判断は鋭くなっていきますね。ジョンと違ってそういう変化を追っていく意味でも変わったおもしろさがありました。
そしてアクションにおけるバラエティもまた豊富でした。本家でも鉛筆やらナイフ投げ、ヌンチャクファイトや本で人を殺すとか。。。今作では加速していくそのアクションと同時に殺しのアイディアもまた進化していきます。
シリーズ独自のちょっと笑ってしまうようなシュールさもありますね、特にコテージの中での戦闘で皿のぶつけ合いになるシーンとか。
すこし弱かったイヴが、スケート靴すら武器して戦うまでに成長しているのは見ていて楽しいところです。
成長していく主人公という全く異なるコンセプトの他、本家ではサブキャラで少しいた女性がメインになるなど、同じ世界ではありながらも変わったテイストに仕上げているというのは見事だったと思います。
公開延期の裏にあった「大規模再編集」と「世界観の修正」
しかし、この世界観を同じくしていくってところについては、この作品の制作の裏側を知る必要があります。
というのも、今作は監督クレジットこそはレン・ワイズマンなのですが、本家シリーズの監督であるチャド・スタエルスキ監督が非常に多くの再撮影を行ったからです。
今作は2019年から企画があり、2022年に撮影が開始、2023年2月にはポストプロダクションに入りました。
しかし、2023年10月頃から「作品が失敗作ではないか」という噂が流れ始め、2024年2月には公開が1年延期され、2025年6月に変更されることが公式に発表されました。
表向きの理由は「アクションシーンの追加」とされましたが、実際には大規模な再撮影が行われ、チャド・スタエルスキ氏が事実上の監督を務めたとのこと。
2024年7月に行われたワイズマン監督のテスト試写は酷評されていたらいいのですが、同年10月のスタエルスキ監督の再編集後試写では評価が大幅に改善したらしいのです。
音楽も、当初のマルコ・ベルトラミとアンナ・ドルービチによるスコアが破棄され、「ジョン・ウィック」シリーズを手がけたタイラー・ベイツとジョエル・J・リチャードの新たなスコアに差し替えられています。
実際の背景は各関係屋の意見や報道でも食い違うところもあるようですが、しかし、スタエルスキ監督によってもとの世界観に寄せられ、また音楽もかわったというのも大きいのかと思います。
火炎放射器VS消火ホース!シリーズらしいぶっ飛びアクション
そんないざこざがプロダクション上であったということで、そのせいなのか分からずともやや物足りない点とかはあります。
今作のテーマの中で復讐というのが大きな要素なのは間違いなく、それはジョン・ウィックシリーズと同じ。
ですが、その中でイヴはかつての自分に重なるような少女を見つけ、それを守ることに命をかける。殺すことがテーマの本家とは異なるので、それだけでもいい持ち味だと思いました。
しかし、一方で昔行き別れてしまった姉の存在というのも追加されていて、そちらも少し展開がある。ただこっちが薄すぎると感じたのです。このレベルならなくても良かったんじゃ?
映画全体が2時間以上になっていますが、まとめておけばもう少しタイトに絞れたはずだと感じました。
すこし思うところこそあるのですが、しかし、火炎放射器での撃ちあいとか、そして火炎放射器VS消火ホースなど、ぶっ飛んだ絵面も見せてくれました。
スピンオフだからこそ映える「ジョン・ウィック」の最強描写
最後にひとつ、スピンオフとして好きだという点があります。それはジョン・ウィックの扱いです。
同じホテルや同じ人物、同じアイテムが出てくる。それも大事、でもメイン主人公を出しすぎてもいけない。
そんななかで最初は本当にカメオくらいに出てきただけのジョン・ウィック。あれで終わりかと思えば、そのあとでイヴの前に立ちはだかります。
ここで、観客はそれまでのイヴの成長っぷりを見ている。でもそのイヴを銃撃でも近接格闘でも圧倒して見せるのがジョン・ウィック。メインラインから外れた作品での描かれ方で、改めてジョン・ウィックがいかに最強の存在なのかを見せています。
ここはスピンオフだからこそできる描き方だと思います。「ローグ・ワン」で一般兵卒視点でダース・ベイダーを描いて見せたような手法に似ています。
やや散漫なところとか、もちろん脚本は何とも見慣れた暗殺者ストーリーです。それでもやはりこのシリーズは様々な方法で殺しというアクションを魅せてくれると思いました。
結構楽しい作品だったので、劇場へ是非。今回の感想はここまで。ではまた。
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