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「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ考察|婚活市場の先で見つける「数字にできない価値」

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「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ映画感想-materialits-movie-2025 映画レビュー
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作品解説

「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ映画感想-materialits-movie-2025

ニューヨークで結婚相談所のマッチメーカーとして働く女性が、理想的な富豪男性と、貧乏な元カレとの間で揺れ動き、人の価値とは何なのかを見つめていくロマンスドラマ。

「パスト ライブス/再会」で高い評価を受けたセリーヌ・ソンが監督・脚本を務めます。

豪華キャストによる三角関係

主人公ルーシーを演じるのは、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」シリーズや「マダム・ウェブ」で知られる ダコタ・ジョンソン

ルーシーの元恋人で夢を諦めきれない俳優ジョン役には、キャプテン・アメリカシリーズでおなじみの クリス・エヴァンス

そしてルーシーに新たな未来を提示する投資家ハリーを、「ワンダーウーマン1984グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」などで活躍する ペドロ・パスカルが演じています。

スタッフ

  • 監督・脚本:セリーヌ・ソン
  • 製作:ダビド・イノホサ、クリスティーン・ベイコン、パメラ・コフラー
  • 撮影:シャビアー・カークナー
  • 美術:アンソニー・ガスパーロ
  • 衣装:カティナ・ダナバシス
  • 編集:キース・フラース
  • 音楽:ダニエル・ペンバートン

キャスト

  • ルーシー:ダコタ・ジョンソン
  • ジョン:クリス・エヴァンス
  • ハリー:ペドロ・パスカル

タイトルのマテリアリストは、”物質主義者”の意味になります。

哲学思想で言えばすべては物質でしかなく、そこには魂などないとする考えで、一般的には感情よりもブランドや資産など物質的な豊かさを重視する考え方、人を指しています。

今作は主人公が婚活エージェントなので、まさに愛の結婚をビジネスとしてとらえて、条件や数字をもとに選択をするマテリアリストということですね。

もともとかなり前に、監督自身が結婚相談所で短期間働いていた時から構想はあったようです。

人の出会いや別れ、愛情だけれどそれだけでもないような気持ちとか関係を、前作で描いてみせたセリーヌ監督の新作といえば、注目せざるを得ません。

今回は主演陣も豪華になっていますね。公開週末に早速、朝早い回に観に行ってきましたが、結構人が入っていて混んでいました。

「マテリアリスト 結婚の条件」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ映画感想-materialits-movie-2025

ニューヨークの結婚相談所でトップクラスの実績を誇るマッチメーカー、ルーシー。

理想の条件を分析し、最適な相手を結びつける婚活のプロである彼女は、恋愛さえも感情ではなく「価値」で判断する現実主義者だった。

仕事に全力を注ぐ日々を送るなか、担当したカップルの結婚式で、裕福な投資家ハリーと出会う。

容姿、教養、経済力のすべてを兼ね備えた彼は、ルーシーに強く惹かれ、積極的にアプローチを始める。

しかし同じ結婚式で、ルーシーはかつて愛し合いながらも別れを選んだ元恋人ジョンと再会する。

俳優の夢を追い続けるジョンとの生活は貧しく、将来への不安から二人はすれ違い、別々の道を歩むことになったのだった。

理想的な条件を備えたハリーとの新たな関係に心を開き始める一方で、ジョンへの忘れられない想いも再び胸によみがえるルーシー。

さらに担当クライアントが思わぬ事件に巻き込まれたことで、彼女の仕事観や恋愛観は大きく揺らぎ始める。

条件か、それとも愛か――。人生の選択を迫られたルーシーは、自分にとって本当に大切なものを見つめ直していく。

感想レビュー/考察

「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ映画感想-materialits-movie-2025

『パスト ライブス』の先へ――今度は「選択そのもの」を描く恋愛映画

セリーヌ・ソン監督の前作「パスト ライブス/再会」は非常に繊細に、人生の選択や人が恋愛すること、番うことを描き出していきました。

思い出すと、まるで自分自身の美しい記憶に触れるような、不思議な感覚に包まれる映画でした。

単純な恋愛映画とかではなくて、人生の選択が起こす波紋が、人の一生に響き渡る様を見せられた気がします。

今作はより豪華なスターキャストを揃えて華やかさがあるものの、普遍的なテーマを扱って、あまり絵空事にはならないような収め方をしていると思います。

前作が選択の余波を描いたなら、今作は選択そのものとか道を選ぶその瞬間に立ち会うような映画ですね。

「愛か金か」――古典的なテーマを現代の婚活市場で描く

今回のストーリーはとても、言ってしまえば古臭い。

結婚は愛か金か。

そんな何度も語られてきた(そして結局は愛が大事だよに帰結する)話が展開されていくのですが、私は非常に楽しめました。

何よりも良かったと思うのは、作品が持っている正直さです。

今作の主人公は結婚相談所のエージェント。ルーシーはまさに結婚という愛をビジネスにしている人間なので、彼女の視点から語られる男女の目線や結婚の条件はすさまじく生々しい。

率直に市場価値の話をするし、自己認識や他己認識、アセットとしての人間を語ります。だからまどろっこしい表現をしない。

「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ映画感想-materialits-movie-2025

婚活市場に並べられる「商品」としての人間たち

観客が察するような促しは置いておいて、ルーシーが口に出して言ってしまうのです。

その意味でもまず正直です。最初はコメディセクションのように、結婚相談所のカップリングとカウンセリングが映し出されます。

女性はNYCというのもありますが、年収最低でも1,200万円以上とか、、、男性は自分が40代後半なのに、27くらいまでが限界とか、、、

ちょっと笑えます。この時点ではセリーヌ・ソン監督は、ルーシーと彼らをカットバックで映していて、同じ画面に入れません。交互に正面からのショットになっています。

なので全然寄り添っていない。ルーシーは彼らを資産の一つ、自分が抱えている市場に出品する商品のように考えているのです。

それに、観客も高望みだなとか、何言ってんだこの男?、というように少しバカにしてしまうと思います。

ヘンリーが体現する「数字が支配する世界」と解放

ただこれらが後半に覆っていく様が、個人的にはすごく好き。

今作の持っている正直さの奥はその後半にあります。金持ちでうまくいっていて、完璧に思えるヘンリーとの交際。

お互いに互いの価値を見出し、認め、熱情的な恋愛ではないその関係性にうまくいっている感じが続く。

でも、実は違う。互いにお互いの価値を見出しすぎたのです。それは資産としての価値。

身長、年収、年齢、仕事、、、数値で測れる価値。その率直さは裏返すと数字こそ絶対という証。そのためにヘンリーは身を削った。

彼は骨延長手術をしていて、身長を伸ばしていたのです。なぜなら彼にとってはそれは資産価値を高める最高の投資。

この正直さが素晴らしい。ヘンリーは言います。「以前の身長では僕は存在しなかった。」

この気持ちはすごくわかります。

そしてそのあとのルーシーが素晴らしい。以前の身長はこのくらいなんだと身をかがめて見せるヘンリーに、その目線の高さでルーシーは「あなたは完璧よ。」と言葉をかけるのです。

ここには一種の解放があります。

「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ映画感想-materialits-movie-2025

数字にできない価値がある

ルーシーはクライアントで問題を抱える。序盤にカップリングを進めた女性が、相手の男に襲われた。彼女はここで初めて、抱えている商品ではなく、一人の人間として相手を見ます。

だから今度は、しっかりと向き合うショットがありました。

それまで婚活市場の原理、経済圏で映画を見ていた私も、ここで思い出す。皆人間なんだって。何でも数値化して測れるものではない。

たしかに高望みに思えるけど、幸せになりたいって望むこと自体には間違いはない。

これもまた解放。

最終的にはルーシーはジョンを選ぶ。

ルーシーが困ったときに駆け付けて、話を聞いてくれて。彼女がクライアントを助けに行ったら、夜が明けるまでアパートの入り口の階段で座り込んで待ってくれる男です。

数字にはできない価値があります。

今の社会人は皆、何かと数値化して価値を置きます。フォロワーやいいねの数なんかもそう。婚活ではやはり数字で明快に人の価値を決めます。

ただ価値を見出していくほどに人間は数字に置き換わっていき、そこに人としての魅力は無くなってしまうもの。

ルーシーがヘンリーの家に行ったとき、しきりに間取りとか部屋の奥行き見ているのは笑いましたが、やっぱり見てしまう。人の持っている価値。

「マテリアリスト 結婚の条件」ネタバレ映画感想-materialits-movie-2025

現代のロマンスを通して描かれる、人間の不思議な美しさ

今作はかなり正直に男女両面の本音をさらけ出し、私たちが互いに価値を見出し与えよ言うとするさまを描きます。

皆自分の価値を高めようとしている。他人の価値を見定める。

その中で、この人のためだけに変化していこうと思えるならそれが正解なのかもですね。もっとバイト増やして、努力するって言ったジョンのように。

OPが原始時代のカップルで始まり、最後はジョンが呼応するようにルーシーに小さな花で作ったリングを贈る。

人間の古来の婚姻には家や価値、贈り物としての花嫁などもあった。でも根源には、愛があったって信じたいものです。

お題目と結末だけ見ると、金持ちよりも貧乏人でも愛を選ぶってのはお馴染み。現実的ではないのかもですが、ジョンがいかにルーシーのために行動し、自分を変えようとしたかを見れば納得はできます。

前作「パスト ライブス/再会」ほどのきらめきではないですが、セリーヌ・ソン監督はまた現代のロマンスの複雑さと人の人生の不可思議な美しさを描いたと思います。

ロマコメってもともと、結構イヤな側面を舞台にしてあれこれ描くもの。そのジャンルの中でもまれて、2時間くらい愛について、結婚について考えて、見終わった後に議論する。それが大事。

なかなか見ごたえがあっていい作品でした。今回の感想はここまで。

ではまた。

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