作品解説

スティーブン・スピルバーグが原案・監督を務めるSFサスペンス大作。
地球外生命体に関する機密情報を手にした男女が、長年隠蔽されてきた真実を世界に公表しようと奔走する姿を描きます。
主演は、「プラダを着た悪魔」のエミリー・ブラントと、「墓泥棒と失われた女神」のジョシュ・オコナー。さらに、コリン・ファース、コールマン・ドミンゴ、イブ・ヒューソンら実力派俳優が共演。
脚本を手がけるのは、「ジュラシック・パーク」シリーズや「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」などでスピルバーグ監督とタッグを組んできたデビッド・コープ。
音楽は、数々のスピルバーグ作品を彩ってきたジョン・ウィリアムズが担当しています。
スタッフ
- 監督・原案: スティーブン・スピルバーグ
- 製作: クリスティ・マコスコ・クリーガー、スティーブン・スピルバーグ
- 製作総指揮: アダム・ソムナー、クリス・ブリガム
- 脚本: デビッド・コープ
- 撮影: ヤヌス・カミンスキー
- 美術: アダム・ストックハウゼン
- 衣装: ポール・タゼウェル
- 編集: サラ・ブロシャー
- 音楽: ジョン・ウィリアムズ
キャスト
- マーガレット・フェアチャイルド: エミリー・ブラント
- ダニエル・ケルナー博士: ジョシュ・オコナー
- ノア・スキャンロン: コリン・ファース
- ジェーン・ブランケンシップ: イブ・ヒューソン
- ヒューゴ・ウェイクフィールド: コールマン・ドミンゴ
~あらすじ~

サイバーセキュリティの専門家ダニエル・ケルナーは、謎の組織ワーデックスから機密情報を盗み出す。
一方、カンザスシティのローカル局で気象予報士として働くマーガレット・フェアチャイルドは、ある日、自分の身に起きた不可解な異変に戸惑っていた。
本来なら接点のない2人だったが、謎めいた協力者ヒューゴ・ウェイクフィールドに導かれ、やがて数十年にわたって隠蔽されてきた、世界を揺るがす重大な秘密にたどり着く。
その真実を人類に公表しようとする彼らの前に、ノア・スキャンロン率いるワーデックスが立ちはだかる。
感想レビュー/考察

スピルバーグが今も愛する、古き良きSF映画の世界
「フェイブルマンズ」では自身の半自伝的な、映画や家族とコミュニティへの愛を語ったスポイルバーグ監督。
個人的には見事な作品だったと思いますが、非常にパーソナルな内容であったり、映画が好きなオタク向けな点もあったかなと思います。
その点で、監督はもう自分の好きなことを、愛をこだわって撮っていくのだろうと思いました。
その点で、今作はなんだか微妙な評価を受けているのは仕方もない気もします。まあ批評面ではそこそこ見たいですがね。
参考ですがトマトメーターでは批評家score79%、一般は69%。(2026年10月時点) 。 興行的にはちょっと苦戦しているような結果。
監督の作家性が黄金期といわれるあの80年代とかから代っていない感じの作品なので、スピルバーグ監督の愛情人折れるのかってところでしょうか。
もともとプロットとしては地球外生命体とその存在を隠そうとする秘密組織、その真実を公開しようと奔走する職員に、巻き込まれた女性という、なんだか古風にも感じるお話しなのですから。

ノスタルジーを誘う幕開けと、王道の追走劇
物語の冒頭、雑音と人々の声が錯綜する中でゆっくりと始まると、ジョシュ・オコナ演じるダニエルが、謎の組織と取引をしようとしている。
人質を取られてしまった様子の彼は、重要なデバイスを持っているとのこと。
そこでコリン・ファースが登場し、彼が率いる組織がダニエルの持つデバイスのもともとの持ち主で世界を変えてしまいかねない代物を回収しようとしているとわかります。
逃走劇は始まりますが、シリアスなようでちょっと組織側もおまぬけというか。
どこかおとぎ話のような、そんなテイストと、分かりやすいメロディで主張してくるジョン・ウィリアムズがノスタルジーも感じるシーンでした。
そこから転じてエミリー・ブラント演じるマーガレットを追いかけていくパートに入ります。
CGが絶妙にヘンテコな鳥が部屋の中に入ってきてから、彼女は神にも近しいような力を得て(人の思考が分かり、あらゆる言語を操る、予知もできる)、予告でも印象的なあのビートボックスみたいな声を出す。
基本的には追走劇が始まっていき、ダニエルとマーガレットがなんとか合流して、秘密組織からデバイスを守り、世間に真実を知らしめよとするのです。。。が、それだけです。

「真実を公開する」だけでは物足りない? 物語に欠けたドラマ
最も重大な問題は、このプロットが、スピルバーグ監督の愛する地球外生命体の存在と神秘、ポリティカルスリラーが古臭いこと。
今の時代に、エリアンが実在することを追いかける話が通用するのかは疑問符が付きます。究極言ってしまえば、この地球外生命体の存在を全世界に開示するっていうところがゴール。
そうして映画は終わるのですが、それだけ?ってなってしまうと思います。
今の時代ならそこにツイストを入れたり、何らかの感動的な部分があるのかって期待しますからね。それに、人物のドラマに関する必然性が欠けているように見えました。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が撮った「メッセージ」の方が、人類を結び付ける言語を宇宙人から学び、世界と自分自身の人生とを救いながら、人間賛歌を掲げた素晴らしさがあったと思いうのです。
今作のダニエルとマーガレットは、それぞれが抱えていた事情などがそこまで描かれていないというか。
特にマーガレットは子どもの頃に宇宙人により力を授けられているわけで、それゆえに人生のかけらが巧くハマっていないとか、もう少し欲しいかな。
もちろん、定住することを決めていた夫にたいして、自分一人でも移住しようとしていたのは、「ここは自分の居場所ではない」ってことなのかもしれませんが。
終幕のあまりに万能すぎるデバイスの使い方とか、微妙なところ。

エミリー・ブラントが素晴らしい。彼女が体現する、普通の女性と選ばれし者の二面性
それでも今作はスピルバーグ監督の古風な王道を見るには良いです。それが好きかどうかっていう根本的な問題かと。
特筆するならば、エミリー・ブラント。彼女の力あってこその今作であったと思います。
他の登場人物とは異なって只巻き込まれている存在であり、一般人。ただのお天気キャスターなんですが、ふとした瞬間の力の目覚めやそこから戻った際の不安や恐れなど、見事なんです。
マーガレットという等身大の普通の女性と、選ばれ史存在であるマーガレット。両面に真実味を与えているのは間違いなくて。彼女に魅了され続ける映画でした。
このご時世に登場したことと、開示するだけで終わってしまいそこにドラマが介在していない点不利ですが、スマホを破壊するために何度も車を調整してるシーンみたいな、ちょっと懐かしい緩さを楽しむ映画かなと思います。
今回の感想はここまで。ではまた。


コメント