「荒野の七人」(1960)
- 監督:ジョン・スタージェス
- 脚本:ウィリアム・ロバーツ
- 制作:ジョン・スタージェス
- 製作総指揮:ウォルター・ミリッシュ、ルー・モーハイム
- 原作:黒澤明 「七人の侍」
- 音楽:エルマー・バーンスタイン
- 撮影:チャールズ・ラング
- 編集:フェリス・ウェブスター
- 美術:エドワード・フィッツジェラルド
- 音響:ジャック・ソロモン
- 出演:ユル・ブリンナー、スティーブ・マックイーン、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、イーライ・ウォラック 他
黒澤監督の名作「七人の侍」(1954)のハリウッド西部劇版リメイクで、原作に負けない豪華なキャストを揃えての映画化です。
一応名画扱いで映画館で観ましたが、気に入ってDVDも購入。
有名なテーマ曲やお話もあって原作よりも軽快なタッチになっていると思います。ジョン・スタージェス監督は「大脱走」(1963)でもここでのメンバーを揃え、スターが揃い踏みのチームワーク映画を撮っていますね。
メキシコの小さな村では、毎年収穫の時期になるたび、カルヴェラ率いる盗賊たちが現れ村から食料を奪っていた。武器を持たない村人たちは無抵抗に彼らの言いなりになっていたが、それももう限界に近かった。
長老と相談した村人は、数人で国境近くの町へ出かけ、助けてくれるガンマンを雇おうとする。
そんな頃、町ではインディアンの死体があったが、先住民嫌いの連中が埋葬の邪魔をする。
険悪な空気の中、危険を恐れて誰も霊柩車の乗り手になりたがらなかったが、一人のガンマンが名乗りでる。
そしてもう一人また馬車に乗り込んだ。見事な手腕でならず者を蹴散らし、埋葬を追える2人。そんな彼らを観て、村人は大事な村の運命を彼らに託そうと頼み込むのだった。
イーライ・ウォラック!彼が出てるだけでもう嬉しい私。
独特の声としゃべり方、粗暴で醜い”The Ugly”態度も良いですね。原作の七人の侍の野武士に比べ、今回は盗賊団に目立つ俳優が置かれているので、こちらも印象深い。
なんやかんや言った後に、たばこを全部ひっつかんで行ったりするあたり好きですね。がめついというかw
彼のならず者感というのは特殊でして、非常に動物くさいかつ人間的な汚さ、決して嫌悪感が溢れるものでなく、観ていてすこしおかしくなるような感覚があります。
アクターズスタジオにも参加の彼ですが、どことなく綺麗な風格を残せるのが上手いところと思いますね。ウォラックは道化的な魅力があると思うんです。今作にてはいじらしい悪者として印象も強く残っています。
織り成されるのは漢の掛け合い。
七人の集結、それぞれの腕の見せあい。その称賛や言葉いらずの会話など思わずニヤリと、また熱くなるものです。
人物にはそれぞれの背景が、七人の侍を元にさらにオリジナルも加えて描かれますね。
久蔵まんまのコバーン、菊千代を思わせるチコなど、原作ほどの泥っぽさと暗さを持たずとも、死者に憑りつかれたガンマンなど程よい加減で人物わけがされています。
そういえば勘兵衛よろしくユル・ブリンナーもつるっとしていますね。勘兵衛のようにさすったりせず、どちらかと言えば毅然とした西部の屈強な男って感じですが。
あまりつながりのない男たち、そしてガンマンを嫌い恐れる村人、そういった人々が次第にそして少しコミカルさを持って団結していくのはやはり観ていて楽しいものです。
彼らの築き上げた石垣や罠が生かされるのも良いですね。そういえば村の中を駆け巡るカルベラたちをサイドで追いかけるカメラはとても良い物でした。様々な障害物を過ぎ去りながら馬と並走。ダイナミックな撮影です。
基本的には七人の侍をなぞりながら、結末や過程には軽快な活躍劇としてみられる痛快さがあります。
画面上での陰影が薄かったり、重くなりそうなところうまく面白さを残した結果かと。もちろん軽いというかもしれませんが、スター結集の西部劇とすればこの雰囲気はとても好きです。
何が大事か。ガンマンは戦いがなければ存在は無意味。ですから初めから農民が絶対的で、善であることが決まっています。だとすれば、あとはガンマンとしての生き方のみ。
「そのときそれが良いと思った。」それに従った者には、その墓の前で祈ってくれる人がいるのですね。
というところで終わります。メインテーマのわくわくがたまらない、かっこいい男たちの集結映画です。お勧め。それではまた~
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