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「フェイブルマンズ」”The Fabelmans”(2022)

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「フェイブルマンズ」(2022)

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作品概要

  • 監督:スティーブン・スピルバーグ
  • 脚本:スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー
  • 製作:クリスティ・マコスコ・クリーガー、スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー
  • 音楽:ジョン・ウィリアムズ
  • 撮影:ヤヌス・カミンスキー
  • 編集:マイケル・カーン
  • 出演:ガブリエル・ラベル、ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ、ジュリア・バターズ、セス・ローゲン、ジャド・ハーシュ 他

「E.T.」や「インディ・ジョーンズ」シリーズ、さらに「シンドラーのリスト」や「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」などを手掛けるスティーブン・スピルバーグ監督が、自身の幼少期からの記憶をめぐり一人の少年の成長を描く、半自伝映画。

主演は「ザ・プレデター」などに出ていたガブリエル・ラベル。

両親役には「ゲティ家の身代金」などのミシェル・ウィリアムズと「ワイルドライフ」で監督デビューもしたポール・ダノ。

また「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で大注目を集めた子役ジュリア・バターズが主人公の妹の一人として出演しています。

スピルバーグ監督作品としてはリメイク版の「ウエスト・サイド・ストーリー」に続いて次の年に公開されました。精力的に作品を手掛けています。

こちらももちろん批評面でも観客面でも高い評価を得ており、数々の映画賞でのノミネートをしました。

ゴールデングローブ賞は作品賞と監督賞を獲得、アカデミー賞では作品賞も含めて7部門にノミネート。

公開週末に早速観に行ってきました。小さめのスクリーンでしたがそこまで人は入っていませんでしたね。

~あらすじ~

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1951年のこと。サミーは両親に連れられて初めて映画館へ行った。

はじめは怖がっていたサミーは、大きなスクリーンに映し出される映像に夢中になり、映画のシーンを家のおもちゃで再現し遊び始める。

父は模型の列車を、母はサミーに8mmカメラをプレゼントし、夢中になって様々なものを映像に残す。

その創造力は豊かで、成長したサミーは友達や妹たちと様々な映画を撮って学校で上映会を開いていた。

しかしその一方で両親の夫婦仲には亀裂が走る。

父の仕事の関係で一家は引っ越しを繰り返しており、母はなれない環境に苦労している。

さらに父の友人で一家と親しくしていたベニーと母が親密になっていることをサミーは知ってしまう。

芸術と家族の間で、サミーの心は揺れ動き引き裂かれていった。

感想/レビュー

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記憶をよみがえらせるパーソナルな映画

スピルバーグ監督の初の半自伝的な作品。

記憶をめぐりながら監督自身の幼少期から映画界への一歩までを描きますが、実際には結構個人的でそしてセンシティブな内容です。

個人的な話なのに普遍的に誰しもに通じる作品って結構ありますが、今回はむしろそうした大衆型の映画ではなくて、本当に自分を振り返って見つめ直したんだろうと思える映画でした。

その意味で、私としては取っつきにくいタイプの映画だと思います。

個人的意見ですが、スピルバーグ監督の自伝はすでに大衆向けかつパーソナルなレベルで「E.T.」があると思っているので、今作はより内省的で商業的な面はないのかなと。

それでもまあ安定しておもしろい映画になっているのがやはりすごいところですけれど。

映画マジックを結構触れやすくしてくれる

エンタメ的にいいなと思うのは、この映画監督になっていくまでの幼少期の部分で、まずは映像を組み立てたりするその魔法をわかりやすく見せている点です。

サミーが8mmカメラをもらって夢中になってとるその機関車の模型とミニカーの衝突シーン。

正直あの歳の子どもにしてはカット割りとかめちゃくちゃうまいんですけど。

でも迫ってくるショットとか、映画の根源にはアクションがあることを思い返しました。

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その後妹たちや友達とごっこ遊びの延長で映画を撮るシーンとか、西部劇に戦争に。

子どもたちが撮っているというアクセスしやすいハードルの低さの中に、しっかりと画面外でのスタッフの仕事とか監督の演出、演技指導があります。

またリアプロジェクションの手法(演者の背景に反対側から別の映像を映すやつ)とかも自然に入っていますね。

家族が車で移動するシーンとかにも入っていたので、そこらへんはメタ的(これもまた映画ですよという意味で)にも面白かったです。

普通に、映画撮るのって楽しそうだなって思いましたから。

人生の惨劇を映像に収めて

そんな映画作りですが、スピルバーグ監督は厳しい現実も入れ込んでいます。

途中で出てくる母にとっての叔父さんが語ることが全てでしょうけれど、芸術と家族の分裂と板挟み。

心を裂く苦痛が伴うことです。

そもそもサミーがハマったのは「地上最大のショウ」における列車と車の衝突という大事故のシーンです。

それは凄惨で崩壊を示すものですが、すでにここから、家族の崩壊に向けての示唆があると感じます。

サミーはそれをただ眺めるのではなく、映画撮影という自分がコントロールできるもののプロセスに落とし込みます。

コントロールできることで現実を再現し、現実のコントロールも得ようとする行為です。

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見なくていいものを捉えてしまう

しかし一方で、サミーは家族の映像を収めて編集する中で、見なくていいものも見てしまう。

現実ならその視点を持たず、見ていても一瞬で過ぎ去るであろう瞬間を、映画作りを通して何度も目にしてしまうのです。

妹達に見えないものを、サミーだけがレンズを通して見ていた。

現実からの逃避

しかし映画を作ることはまた現実を手中にしつつ現実からの逃避でもあります。

妹から指摘されますけど、「こんな時によく映画の編集なんてできるね!」という指摘には、現実のコントロールを得る行為の他に、その間逃避することも含まれている気がします。

その他に自分が撮りたくないときに、誰かのために映画を作れと言われる苦悩も入っていたり。

楽しい面だけでなくてやはり苦く悩ましい映画監督の苦悩も盛り込まれていました。

まさに芸術と家族に心が引き裂かれていく。

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ちなみに、監督としての視点では作品での復讐も入ってておもしろかったです。

サミーが撮った学校のメモリアル。いじめっ子をものすごくヨイショした撮影と編集。

個人の現実の努力を、これでもかと虚構の奥底へと叩き落し沈める鬼畜っぷりが最高です。

愛するものを愛し続ける

光に魅了されて、光に透けて母の自由を見る。

どこまでも好きなことを諦めず自由でいることを、かなり苦い思い出の中で教えてくれた母。

率直に辛かったものはそのままに、それでも愛を込めた一作でした。

終幕にはなんとも暖かく心躍るジョン・フォード監督とのやり取りや、有名な地平線なんかの話も。

「これを映画にするなよ!」と言われつつ今作にしちゃってる点も、ラストカットでクイッと地平線の位置を変えるパンがあったり。

結構メタ的な視点での遊びも楽しかったです。

75歳にして自身を振り返ったスピルバーグ監督。この一区切りのあとで今後どんな作品を撮るのかがまた楽しみになりました。

というところで今回の感想は以上です。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。

ではまた。

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