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「セッション」”Whiplash”(2014)

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映画レビュー
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「セッション」(2014)

  • 監督:デミアン・チャゼル
  • 脚本:デミアン・チャゼル
  • 製作:ジェイソン・ブラム、ヘレン・エスタブルック、ミシェル・リトヴァク、デヴィッド・ランカスター
  • 製作総指揮:ジェイソン・ライトマン、コウパー・サミュエルソン、ゲイリー・マイケル・ウォルターズ
  • 音楽:ジャスティン・ヒューウィッツ
  • 撮影:シャロン・メール
  • 編集:トム・クロス
  • 出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ 他

アカデミー賞にては助演男優賞、編集賞そして録音?賞を獲得。J・K・シモンズの演技の評価も高いですが、色々と論争もあるようですね。

ジャズという音楽を扱う映画としての立ち位置。申し訳ないですが、私はジャズ音楽に関して何も知識もないもので、そのへんの感想はかけないです・・・

多くの人が入って、上映中にはそのスパルタと外道っぷりに笑さえあり、人をそこまで選ばずにみんなが楽しめそうな映画だと思いました。

アンドリューは19歳の音大生。偉大なドラマーになることを胸に練習に励んでいた。

友人は少なく、気になる女の子にも声はかけられず、やや悶々と学生生活を過ごしているアンドリュー。

しかしある日、学校でも名高い指揮者であるフレッチャーから、彼のバンドでの演奏に呼ばれる。この将来性ある指名の嬉しさに舞い上がるアンドリューだったが、フレッチャーの指導は過酷という表現を超えるものだった。

とにかくテンポの速い映画。アンドリュー同様に振り回されることでしょう。

フレッチャーの命令も急だし、まわりでは他の生徒がせわしなく楽器をいじる。ポンポン進んでいくのはまさに「私のテンポ!」に必死についていくような感覚。

遅刻からの事故の場面なんて、けっこうな大事なのにとにかく急かされるようなあわただしさでしたね。

人物や楽器の接写が多く、集中しつつ切り替えが早くとにかく焦ってしまいます。

ドラムの音楽やら、スコアもなんだか喰い気味ですから、とにかくいつも緊張と焦燥が・・・ この鬼のような指導を観客も受けているような感覚にしてくれます。

もちろん、フレッチャー本人の怖さが一番。ハゲでなんだかムキムキ、強いライトで凹凸がくっきり映し出されるJ・K・シモンズが恐ろしい。

度が過ぎた行動に、侮蔑的言葉が個人攻撃で精神まで痛いんです。素晴らしい演技ですね。音楽的にはとにかく根性だ!凄まじいテクニックだ!練習、練習、死ぬまで叩け!・・・と言わんばかりで、心や理解、ハーモニーとかには目もくれないです。

そんな過剰で疑問もある、偉大なドラマーへの指導。しかしアンドリューにとってはある意味自分の到達すべきところなんです。

彼の父は平和で温厚、スポ根とは真逆の優しさを持っています。ただ、親戚揃っての夕食でわかるように、突き詰めることや挑戦する心があまりないのです。

あそこでは、三流のアメフトでのMVPのいとこ?(忘れました、申し訳ない)の方がもてはやされてました。

アンドリューは一流大で、しかもそこでトップのクラスで争う生徒。理不尽な過小評価と侮蔑をうけ、誰もわかってくれない苦しさは共感できるものです。

ただし、その共感を蹴飛ばすように、行き過ぎた理想を語るのが怖かった。偉大な人は、孤独で不幸。

これをそのまま実践し、彼女を「自分の偉大なドラマーへの道に邪魔」と捨ててしまう。おい、お前結構なクズだぞ!と言いたい。

というか、あの彼女役の人、メリッサ・ブノワ、めちゃくちゃ綺麗だしかわいい方です。アンドリューがますます卑劣で、そしてアホに思えました笑

アンドリューにとっては、フレッチャーはクソ野郎であり自分の目指す「偉大さ」を共有し理解してくれる人物。

父はチャレンジ精神なし、親類は自分を見下す、友人はおらず彼女は捨てた。もう残ったのはフレッチャーのみ。血を流しながらもひたすらドラムを叩くアンドリュー。

一度は離れたジャズ・ドラムへの心も、原因となったフレッチャーによって戻ってくる。

序盤でも平気で嘘をついてきた鬼、またまた外道なことをしてきますが、今度は黙ってない。

“Whiplash”、鞭を打つのはこっちもだ!と言わんばかりに、アンドリューの反逆開始でした。今度はオレが指揮をとって合図を出す。ここから究極にノッテくるんです。

そう、ラストがあれならなんとなく綺麗な感じです。しかしやはり孤独な外道2人は、そこで終わらない。過剰、人でなしのような厳しさ、優しさなどいらない態度。完全にフレッチャーとアンドリューふたりの世界が広がって映画は終了。

あのとき、ドアの隙間からのぞく父の驚いた、またすこし怖がっているような顔。

息子は鬼の理想と共鳴し、鬼の子になってしまった・・・自分にはちょっとした怖さの残る映画でした。

というところで、レビューおしまい。音楽映画としての描き方は偏っていると思います。ここで見るべきは、偏向した名声と栄華への盲信でしょう。もちろん、普通に観て楽しめる鬼コーチ対生徒映画でもあります。それでは、また次の記事で~

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