「ショート・ターム」(2013)

  • 監督:デスティン・ダニエル・クレットン
  • 脚本:デスティン・ダニエル・クレットン
  • 製作:マーレン・オルソン、アシャー・ゴールドスタイン、ジョシュア・アストラキャン、ロン・ネイジャー
  • 製作総指揮:フレドリック・W・グリーン、ダグラス・ストーン、デイヴィッド・キャプラン
  • 撮影:ブレッド・ポーラック
  • 編集:ナット・サンダース
  • 出演:ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガー・Jr、ケイトリン・ディーヴァー、ラミ・マレク、キース・スタンフィールド 他

SXSWで高評価を受けてから観たいなぁ~と思っていたら、たしか渋谷でちっちゃく上映してたんです。いろいろと都合つかずに見逃し・・・ 今更救われたわけです。

元々は同監督の短編がもとで、脚本を自ら長編用に書き直し撮ったものです。

いわゆるインディペンデント系の映画ですので、派手ではないですがすごく楽しめました。この手のお話はシビアですので、かなり人によって好意と嫌悪感がわかれてしまうかも?

問題を抱えるティーンネイジャーのためのグループホーム「ショート・ターム12」。

そこで働くマネージャーのグレイスは、恋人のメイソンとはっきりしない仲のままだった。妊娠もしたが、即中絶を選ぶグレイス。

そんな時、ホームに新しくジェイデンという少女がやってくる。

難しい子供たちの問題をその現場を通してみせる映画ですが、全編暖かく見守ろうとする姿勢がうかがえます。決してそこに、”普通の生活”や”幸せ”などを押し付けず、説教くさい押し付けと個人の破壊が無くて好意的に感じました。

カメラはカッチリしていなくて、その場にいて自分も見つめているような感じです。良い!

いかに無理にでなく、子供からその伝えたいことを引き出すか。

自分からそれを発信してもらいたい。それでも、その方法をこちら側が示したりすることは無いんです。固定された観念や手順をネイトが口走れば、それは拒絶されます。

メイソンは終始冗談を飛ばしリラックスして応じますが、グレイスが言うように「待つわ。」という態度が彼らにはありますね。

現場ゆえに、子供によって違うその本音の伝え方を知るんですが、やはりセラピストやシステム上の人間には理解されない。

画面に顔も出さないことで、よりセラピストなどが外部的に感じられるようになっていますね。切り離しが巧く出ています。

マーカスもジェイデンも、それぞれ歌と童話で自身の心の声を伝えてくれる。そんなところで、グレイス自身も自分の心を開いて、声を出す方法を見つけなくてはいけなくなります。

彼女の問題は、序盤からかなりわかりやすく示されますが、子供たち以上に長い間抱え込まれています。

だからこそ、自己投影含めてジェイデンが父親に連れ帰られたときあそこまで取り乱し怒りに震えたのでしょう。

ラーソンの演技がとにかく良い。脆さを奥にしまい込みつつ常にそれを思い起こす現場で奮闘する、その不安定さや気丈さが感じられます。

ここまで親密に感じられるのは、彼女の名演あってこそでしょう。

ジェイデンの乗り越えに、手を貸すようでその実グレイスも助けられたのかもしれません。

互いに文字通り痛みを分け、その辛さを吐き出し合う。

前へ進んだとき、グレイスとジェイデンがいた部屋の戸は開いており、中にあったあの起き上がり人形は倒れている。ジェイデンの部屋、男性性が見張る壁は、優しい友人たちからの祝福に変わる。

悪態ついて暴れた少年の脱走は、今度は陽の光をあびて追いかけっこするような暖かさが宿っていました。

エンディングには劇中の悲痛なものから変わって、未来への希望あるラップが。

個人的に優しさが伝わって好きな映画です。

もちろん、主軸以外の人物が若干放置気味だとか、すべてが良い方へ向かう終わりとも思いますが、あくまで今回の経験。少女と共にグレイスが成長した話として観て、良いと思いました。

というわけでおしまい。それでは~

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