2025年上半期映画ランキングベスト10
2025年も始まったと思ったらあっという間に折り返しです。
昨年の全米脚本家協会のストライキなども含めて、いろいろと遅れがあった作品の公開があったり、アカデミー賞関連の作品が日本公開されたりと、上半期は盛りだくさん。
仕事の関係含めていろいろと忙しかった関係で、なんと45本しか劇場鑑賞できていないという状態ですが、せっかく上半期も終わりですから、ここで上半期のベスト10を決めておきます。
ベスト10
- 「野生の島のロズ」
- 「Playground 校庭」
- 「ウィキッド ふたりの魔女」
- 「シンシン/SING SING」
- 「MaXXXine マキシーン」
- 「リアル・ペイン 心の旅」
- 「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」
- 「ベイビーガール」
- 「サブスタンス」
- 「聖なるイチジクの種」
今回は結構迷うところもありましたが、ベスト10は以上のようになりました。
トップ層は迷うことのない傑作たち
正直上位の4つは固定でした。やはり「野生の島のロズ」は、感情がぐちゃぐちゃになるほど感動して泣いて、音楽も映像もストーリーもキャラクターもなにもかもが好きです。ダントツの1位といっても良いかと思います。
「FLOW」というまた別のすさまじいアニメもありましたね。同じく人間を排除して動物を見ていくアニメですが、あちらが突き詰めて動物よりなのに対して、ロズは人間を投影した感じ。どちらも素晴らしいですが、好みはロズの方でした。
そして2位はベルギーのドラマ映画、「Playground 校庭」です。作品自体は2021年のもので全然2025年ベストって感じではないのですが。しかしすさまじい体験でした。子どもの視点に寄り添う、大人の整理がされているのにちゃんと子どもの領域を出ない作品。
子役たちの演技の素晴らしさに、カメラワーク、ストーリーテリングの秀逸さ。残酷だった子どもの頃の学校社会、その栽培バルを奇跡といっていいバランスで描いて見せた本当に素晴らしい作品です。
その次には日本でも大ヒットで、確か10代?の上半期流行のコンテンツランキングとか(マーケ会社の調査結果だったか。。。)でもランクインした、「ウィキッド ふたりの魔女」です。
実際のところ、この作品も驚異的な完璧さですよ。主演のシンシア・エリヴォにアリアナ・グランデもマジですごいし。楽曲の良さも、その歌詞からくる怖さも。どこまでも作りこまれていて、3時間ほどあっても苦にならない楽しさ。
今年2作目、続編子公開もされますが、本当に楽しみですね。
そして次にランクインしたのは、コールマン・ドミンゴ主演、グレッグ・クウェダー監督による囚人たちの実話をもとにした「シンシン/SING SING」。
こちらもね。まずは私に世界を見せてくれたというか、演劇を通しての更生や社会復帰のプログラムとか、それが相当な結果を生み出していることとか、知らなかったものを見せてくれました。
そして、その映画を作るって姿勢の素晴らしさですね。元収監されていた方たちが実際に自分を演じている。言葉、切り取り方、描き方、どれも歪んだシステムを見ながらケアに満ちていた。
と、ここまでのベスト4は結構簡単に決まりました。
自分を揺さぶられる、応援したい人物に出会う
その後のランキングはかなり迷いましたが、感情に任せました。
映画の出来とかどうでも良いです。私にとって、映画という短い時間の中でしか時間を共有しない登場人物で、その人を案じて本気で応援した人物がいた作品を選びました。
「MaXXXine マキシーン」は前2作の存在もありますが、ミア・ゴスが演じる主人公が歩むハリウッドの闇、そして女性に対して搾取的で差別的な社会、そこで絶対にあきらめない主人公を本気で応援しました。
まあこればかりは「Pearl パール」でのあまりに悲しい運命の続編として、希望をもって願ったというのもあるんですが。
そして6位には「リアル・ペイン」。作品自体がまずとんでもなく素晴らしい。ジェシー・アイゼンバーグ監督がすでにこんなにも秀逸な作品を作っていることも、人類の痛みと個人の痛みを並べるストーリーも好きですが、なににしてもキーラン・カルキンですよ。
彼の演じるベンジーに魅了され、振り回され、彼に怒って憎んで愛する。そして触れて抱きしめたくなる。
哀愁、賢く緊急な現実の投影
7位からは迷いつつ、気分で上下することもあるかと。感想は残せていないのですが、劇場で2回鑑賞した「トワイライト・ウォーリアーズ」。ファンが増えるのも納得の映画。
アクションシークエンスも良いし、ホモソーシャルだし。何にしても良い俳優陣が織りなした物語の先、香港の行く末から、あの九龍城砦があと数年でなくなることを知っていての寂しさ。
エンディングに見せるみんなの顔、重なって流れている岑寧兒 Yoyo Sham による風的形狀 Come What May。素晴らしい余韻でした。
「ベイビーガール」と「サブスタンス」については、フェミニズム的な要素を異なるジャンルで描き出していることや、とにかく、制作側の賢さっていうところに感服したのでチョイスしました。
「聖なるイチジクの種」については、「TATAMI タタミ」とも迷ったような作品ですが、どちらも実際の事件をもとにしたり、それを織り交ぜた作品です。
とにかく現実のパラレルとしての完成度や緊張感、そして製作へ文字通り命をかけている、意義深く重要な作品なのでとどめておきたくランクインしました。
上半期の振り返りとしてはこんな感じです。
最後の最後で観てきたライアン・クーグラーの「罪びとたち」も、「かたつむりのメモワール」なんかもかなり良かったので、もうちょっとチャンと咀嚼すると、年間のベストではどうなるか。
7月に入ることでジェームズ・ガンの「スーパーマン」とかも始まりますし、ことしもまだまだ面白そうな作品が待っています。
皆さんも劇場に通って自分のための一本と出会いましょう。今回のランキング紹介は以上。ではまた。
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