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「ジャッカルの日」”The Day of the Jackal”(1973)

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映画レビュー
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「ジャッカルの日」(1973)

  • 監督:フレッド・ジンネマン
  • 脚本:ケネス・ロス
  • 原作:フレデリック・フォーサイス
  • 製作:ジョン・ウォルフ
  • 音楽:ジョルジュ・ドルリュー
  • 撮影:ジャン・トゥルニエ
  • 編集:ラルフ・ケンプレン
  • 出演:エドワード・フォックス、マイケル・ロンズデール、デルフィーヌ・セイリグ 他

ジンネマンらしい作風がここにも表れたもので、緊張感の張りつめたドキュメンタリータッチな雰囲気が好きな作品です。リメイクなんてのもありますが、あれは・・・

たしか午前10時の映画祭で初鑑賞、DVDを買いました。落ち着いて地味なのですが、のめり込んで観てましたね。

1960年代初め、フランスはシャルル・ド・ゴール大統領の元、アルジェリア独立を認めた。

しかしフランスの国有と栄誉を信じる武装組織OASはテロ活動をつづけ、独立を認めたド・ゴール政権転覆のため暗殺を幾度となく試みた。

多くのメンバーが捉えられ処刑される。情報は漏れ、後ろ盾は離れていくOASは壊滅の危機に合った。

そこで、組織の外から暗殺のプロを雇うことに決め、選ばれたのは「ジャッカル」と呼ばれるイギリス人だった。

序盤は完全なる史実でして、ジャッカル登場からがメインストーリーとなっています。

まず丁寧に準備をするんですが、ここでその行動時にすぐそれがどう生きてくるのかは伏せられるところが巧いです。

変装用具、組み立て式の銃、様々な旅券。ものはわかるのですが、いざその時になって効果的かつ必然なその仕込が理解できます。周到だな!と唸るものです。

様々な姿になりうまく包囲網を潜り抜け標的に近づいていく。そのハラハラ具合としては、こういう犯罪劇ならでは。ただこの作品の良さは、単にストイックでシャープな暗殺者が出し抜くものでは無い点です。

大きな役目はルベル警視にあると思います。ジャッカルの暗殺阻止のため活躍。

これは二項対立がなされるので、一方的な暗殺者活躍者になりません。ジャッカルの暗躍にしびれつつも、ルベル警視の鋭い追及も応援したくなる。だからこそ緊張も興奮もより高まってきますね。

見た目からして細くしなやかで筋肉質のジャッカル。捕食者たる厳しさとプロの技があふれ、必要であれば愛さえ捨てけじめをつける残酷さ。

一方のルベル警視はちょびヒゲでちょっと太め、温厚そうな顔立ちです。

妻とのシーンからもかなりのんびりな部分が見えます。しかしやはりプロ。政治家ら全員を盗聴する度胸と人一倍の洞察力は、ジャッカルと拮抗します。

やはり、プロフェッショナルの闘いなのです。

音楽がほとんどなく、淡々とかつしっかり段階を踏んでクライマックスへ進む緊張感。

姿をさまざまに変えて確実に忍び寄るジャッカルと、同じく少しずつ彼を追い詰めるルベル警視。

印象的な組み立て式の銃を構えるその一瞬。もちろん、史実的にもフィクションにしてもド・ゴールが殺されることはない。しかし今その照準は頭部をとらえているのだ!

ここまでギリギリをみせてから訪れる、ジンネマン監督作共通の要素。「偶然」。

ある理由で弾ははずれ、さらに一瞬の判断で暗殺者は倒れる。

ラストでの墓のシーンは、不安定な世界の象徴のようで、穴にはいるのはルベル警視でもおかしくはないのです。

あの時撃ちぬいていたら、あの時先に自分が撃たれていたら、あの時相手がマシンガンを拾っていたら・・・ 謎の人間を葬って、ただ天命に生が分かたれたことを思い知る気分でした。

ということで、暗殺ものでのお気に入り映画でした。無駄のない緊迫の闘い。是非観て欲しいものです。暗殺者と言えば、私はレオンよりジャッカルなレビューでした。それでは。

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