「犯罪都市 The Roundup」(2022)
作品概要
- 監督:イ・サンヨン
- 脚本:キム・ミンソン、イ・サンヨン、イ・ヨンジョン、マ・ドンソク
- 製作:ユ・ヨンチェ、マ・ドンソク
- 音楽:キム・テソン、チョン・サンウ
- 撮影:ジュ・ソンリム
- 編集:キム・ソンミン
- 出演:マ・ドンソク、ソン・ソック、チェ・グィファ、パク・チファン、ホ・ドンウォン、ハジュン、チョン・ジェグァン 他
実際の暴力団抗争を題材にした2017年の韓国映画「犯罪都市」。主演マ・ドンソクのスター性もあってヒットしたその作品の、続編が登場。
監督は前作から代りイ・サンヨン。彼は09年に「4th Period Mystery」を撮って以来今作で長編映画は2作品目ですね。
主演はもちろん、いまや「エターナルズ」などMCU進出も果たしているマブリーことマ・ドンソク。
また「恋愛の抜けたロマンス」などのソン・ソックが、ベトナムに潜む韓国の極悪人を演じています。
「犯罪都市」として前作は確かNETFLIXで鑑賞したのですが、その時にも結構楽しみました。
正直シリーズ化するとは思っていませんでしたが、ソクト刑事が再登場とのことで今回は是非劇場で観たいと思い待っていました。
ちょうど公開が文化の日で祝日だったため、公開初日の鑑賞に。とはいえまだまだマブリー人気も韓国映画好きの間でなのか、そこまで混雑はしていませんでした。
〜あらすじ〜
2008年のベトナム。韓国の実業家の御曹司が現地の韓国人犯罪組織に誘拐された。
主犯格は冷酷極まりない凶悪犯のカン。身代金を要求しながらも金を得ても人質を殺す異常者だ。
一方で韓国の刑事ソクトは抵抗する凶悪犯なら半殺しも躊躇しないことで有名。
彼は班長とベトナムで捕まったヤクザの引き渡しに向かう。
自首したという犯人はなんとカンと組んでいたチンピラ。
仲間をも殺し始めたカンにおそれをなし、保護を求めて警察へ出頭していたのだった。
ソクトは御曹司誘拐事件の解決や次々に犠牲者を増やすカンを逮捕するため、足取りを追い始めた。
感想/レビュー
マブリーというアイドル
長編映画2作品目でありながら、続編の担当をこなし、エンタメとしてシンプルに楽しんで観ることができる完成度をみせたイ・サンヨン監督。
前作、また「悪人伝」なぢもそうですが、ある意味でマブリーのアイドル映画であるこの作品。
ソクトだけ打撃の効果音が違うものが用意されるくらいの暴れパワー炸裂と、少し抜けている可愛さと。
マ・ドンソクの魅力抜群で楽しめます。
相変わらずパツパツなシャツにジャケット。腕を組めるか危ういくらいの太い腕。
ゴリゴリのくせにやっぱりかわいいキャラ感がありますね。
やはり主人公として作品を支える上で、この存在感は大事。
ソクトの登場を待ちわびながらシーンを巡っていくような形でした。
しかし個人的に好きなのは、今作が韓国のバイオレンスアクション映画にある一定の陰惨さをしっかり持ち合わせている点。
やっていることが結構エグいですから。
その点は前作もそうなのですが、やはり犯人の凶悪さというのは言葉でなく行動で見せられるべき。
そこで今作は確かに直接描写は避けていても、しっかりと惨たらしいカンの犯罪を描いています。
ソン・ソックが凶悪さでマブリーに対抗
カンはマブリーの強さに負けない存在感に仕上がっていて素晴らしかったです。
前作も中国ヤクザが印象的でしたが、ソン・ソックも見事な悪人っぷり。
彼はもっと爽やかなキャラをラブコメなんかで演じている人のようですが、鍛え上げたボディに目つきなど役になりきっていました。
私は人から金を奪っておいて、取り返されたら「人の金取るんじゃねぇ。返せよ。」って言っちゃうサイコパスっぷり画とても好きでした。
全体をアクセスしやすいトーンにまとめるユーモア
いずれも引けを取らない善悪対決ですが、ストーリーの真っ直ぐさとか、自然と会話劇に入ってくるコメディの要素も、全体が凄惨なトーンにならないようなバランスを取っています。
班長との絡みとか、基本的には警察側で留めている。
最後までカンにはユーモアを与えないというのも、変に対決構造を茶化さずに良かったと思いました。
限られた空間での殺陣と撮影
あとアクションはやはり殺陣や撮影含めてすごかったです。
基本的に狭い屋内などでの戦闘があるわけですけど、コンビニ、アパートそしてバス内などガチャガチャしすぎない編集や動き回るキャラを追いかけるカメラなど技術面でも良かったと思います。
何してるのかわかりやすいのって大切。
あとマブリーの打撃音だけ他の人と違って大砲みたいな音がしておもしろいです。
最後までマブリーのことを心配しないのは80年代のシュワちゃん映画の系譜かもしれないですが、悪人がちゃんと立っているのが好評価。
地味に思うのですが、ストレートに楽しいライドになってるエンタメ作るのって難しいと思います。
そこを達成しているだけで十分素晴らしい作品でした。
理念とか考察は不要でそこまで最強アイドル映画として幅広い世代が楽しく見れますのでオススメです。
ちなみに今作はすでに第3作が決定しており、そこではあの「コクソン」で強烈な日本人役だった國村隼さんも登場とのことで楽しみです。
今回はあっさりとした感想ですが以上。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ではまた。
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