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「ジョン・ウィック」”John Wick”(2014)

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映画レビュー
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「ジョン・ウィック」(2014)

  • 監督:チャド・スタエルスキ、デヴィッド・リーチ
  • 脚本:デレク・コルスタット
  • 製作:ベイジル・イヴァニク、デヴィッド・リーチ、エヴァ・ロンゴリア、マイケル・ウィザリル
  • 製作総指揮:キアヌ・リーブス
  • 音楽:タイラー・ベイツ、ジョエル・J・リチャード
  • 撮影:ジョナサン・セラ
  • 編集:エリザベート・ロナルズ
  • 出演:キアヌ・リーブス、ミカエル・ニクヴィスト、ウィレム・デフォー、ジョン・レグイザモ、アルフィー・アレン、エイドリアンヌ・パリッキ、イアン・マクシェーン、ランス・レディック 他

元々はスタントマンとしての経歴を持つ、チャド・スタエルスキと、同じくスタントマン出身のデヴィッド・リーチによる作品です。

今作主演のキアヌ・リーブスとは、「マトリックス」(1999)「コンスタンティン」(2005)でも一緒に仕事をしていたようですね。

今作はキアヌ・リーブスのハマり役的にも、そして何よりもアクションが話題を呼んだ作品ですね。

銃撃と格闘技を組み合わせた”ガンフー”と呼ばれる動きが有名です。

妻に先立たれ、深い悲しみに暮れていたジョン・ウィックの元に、贈り物が届く。

亡き妻が生前に用意していたその贈り物は、子犬だった。

自分がいなくなっても支えになるようにと、ジョンに残した犬を、彼はその妻の愛を感じながら大切にする。

しかしある日、彼の車に目を付けたチンピラが強盗に入り、ジョンを襲った挙句、最愛の犬を叩き殺した。

喪失と怒りに満たされ、彼の中の、二度と現れないはずの闇の男が目覚める。

かつて不可能と言われた任務をこなし、伝説と言われた殺し屋、ジョン・ウィックが再びこの世界に戻ったのだ。

話はチョーシンプルです。

大事なものを奪われたキアヌが、怒ってみんな殺す。それだけです。

だが、それが超絶カッコいい。というかこの作品、そんな使い古された設定とお話なのに、安さが全くない。エレガンスが半端ない上に、画としてもフレッシュですらあるのです。

基本構造はある程度こういった映画を観たことがあればさくっと理解できますが、ならばその見せ方で勝負するというスタンスです。

何しろ、この作品で観客がジョン・ウィックのすごさを感じる場面は、実際にそれを見るよりも前なのですよ。これってすごいことですよね。

ジョン・レグイザモ演じるディーラーが見せる反応、そしてマフィアのドンの息子をぶん殴っても、「ジョン・ウィックの車を奪い、犬を殺したからです。」でドンは黙りこくる。

そしてボスの「鉛筆でだぞ!」のシーンに、ジョン・ウィックに自分から電話して平和を求める・・・

ジョンはこの序盤ずっと、何もしていないんです。

ただ、何やら軍用施設に顔パスで入れて、ものすごいドライビングテクを持っていることや背中のタトゥーなどが示されるだけ。

しかしそういった描写だけでも、この男がどれだけ敵に回してはいけないのか、観客が学べるんですよ。

こっちで情報を整理して、ものすごい印象を受ける、そういう映画って好きなんです。

観客が学ぶというのは、逆に言えば、映画が説明しないということです。

作品内での世界構築は非常に練りこまれていながらも、それを説明することがない。

この殺し屋と犯罪組織の世界に放り込まれ、そのシステムとルールを、観客が学んでいき、そしてすべてが提示されないからこそ、想像が広がる深まる!

あの金のコイン、掃除屋、コンチネンタルホテル、ジョンと何やら馴染みの警官とか、各殺し屋とか、この世界内ではしっかり歴史とかを感じさせるんですが、感じるだけで具体的なものは示さない。

だからこそ、観客側が、これはこういうものなんだろうとか、こいつとジョンはなんか一緒に仕事をしたことがあるのかなとか、想像を膨らませる余地がすさまじい。

しかし、前述の通り、こっちとしてはしっかり学べるようになっているので、何が何だか分からなくなることはありませんね。

キャラ立ちの面でもすごくよくて、特色付けられた人物がたくさん揃っていて面白い。

サイドのキャラでも、コンチネンタルの支配人さんとかヴィゴの右腕の英国人とか。

そして、その繊細な世界構築に重なって、この映画はアクションが見ごたえあります。

動きがね。カッコいい。

銃撃をまるで打撃のように、相手の要所に撃ち込む動き。まずは足を撃ち、体制を崩して投げ技を決め、マウントをとって頭にトドメを撃ち込む。一連の華麗な動きをキアヌが体をはってるのです。

そして、一連の動きというのも重要です。

何せ、撮影までエレガントなのだから。

細かくカットしたり、カメラを揺らしたりせず、組み上げられた殺陣をしっかりと見せてくれる。

ジョナサン・セラの一歩引いた撮影によって、ジョンの戦闘能力や、銃撃、リロードの動きがみやすくていいです。

序盤に家に襲撃が入るシーンでの、廊下でナイフを使った格闘をし、投げと寝技を重ねた挙句に、ジョンが敵を刺し殺す場面。

長いワンカット内でその格闘すべてが行われ、そして最後の最後にはジョンの顔のクローズアップで終わる、フェティッシュすぎるw

まあレッド・サークルのシーンは際立っていますけど、ジョンの家など、カラーリングも素晴らしいと思いますよ。

終盤のカーアクションも、車の重さを感じるもので、さらにここでも車と銃のフレッシュなアクションをみせてくれて、夜の艶っぽさもあり、全体的にはクリストファー・マッカリー監督の「アウトロー」(2012)を感じました。あれのナイトクラブ版的な。

殺せる場面でまっすぐ標的の眼をとらえ、押さえつけた男の頭を打ち抜く、それがジョン・ウィック。

私としては、話自体がすごい面白いタイプとは思いません。

そこはストレートな構成になっていて、ただ、そうして語る話よりも、背景に見せる世界がなにより魅力的です。この世界での話ならもっといろいろと覗いてみたいと思える世界。

そして、キアヌが見せるアクションのキレ。マトリックスのころから続く銃と格闘を、大切にした人たちが作った映画ですよね。

アクション、スタントで魅せてきた男たちが、それを惜しみなく見せつける。

必然性のある撮影スタイルに、レフン的なナイトクラブでのライティングなど、画面におけるエレガンス。

アクションは殴り合いではなく、殺しのダンスです。その技術が高いほどに美しく、ならばそれも綺麗に撮るわけです。

今回スコアをタイラー・ベイツとジョエル・J・リチャードが担当してますが、ちょっとゲームっぽいのにカッコいいですね。音楽面でもすごく好きです。

めっちゃ繰り返されたプロットですよ。

でも古い伝統的物をフレッシュな感覚で、驚きのアクションで、美しい映像で見せる。

それがアクション映画の非常に楽しいところだと思うので、この作品、すごく好きなんです。観ていない方は是非見てくださいね。

というところで、感想はおしまいです。そのうち続編の方もレビューしますので、また。

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