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「野獣の血」”Hot Blooded”(2022)

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Hot-Blooded-Once-Upon-a-Time-in-Korea-2022-movie 映画レビュー
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「野獣の血」(2022)

Hot-Blooded-Once-Upon-a-Time-in-Korea-2022-movie

作品概要

  • 監督:チョン・ミョングァン
  • 脚本:チョン・ミョングァン
  • 原作:キム・オンス
  • 出演:チョン・ウ、イ・ホンネ、ジ・スンヒョン、ユン・ジヘ、チェ・ムソン 他

キム・オンスによるノワール小説を、作家であるチョン・ミョングァンが初監督デビューを飾って映画化した作品。

釜山の港町を舞台に、その縄張りを争う極道たちと中心で義理や友情、愛に葛藤する男を描きます。

主演は「偽りの隣人 ある諜報員の告白」などのチョン・ウ。

またNetflixドラマ「悪霊狩猟団:カウンターズ」のイ・ホンネが主人公を慕う少年を、その他にキム・ガプスやジ・スンヒョンらが共演しています。

正直なところ映画館でも予告が全然流れておらず、作品上映予定表を見て知った作品でした。

最近は韓国の映画もたくさん見るようになり、配信だけでなく劇場でも気になったらチェックするようにしていることもあって、公開したら観に行こうと考えていました。

監督は小説家であり今作で映画監督のデビューとのこと。主演のチョン・ウも出演作を観たことがなく、ある意味私は新鮮な感覚です。

公開週末に早速観に行ってきました。朝一の早い回だったのですが、思いのほか人が入っていました。

「野獣の血」公式サイトはこちら

~あらすじ~

Hot-Blooded-Once-Upon-a-Time-in-Korea-2022-movie

1993年の釜山。

都市部からはずれたクアムという町で極道をやっているヒスは、施設育ちであったところを拾ってくれたソン社長の右腕として働く。

小さな港町であるクアムですら、いくつかの商売がありまた町を狙っている派閥もいて油断はできない。

ヒスは争いや騒ぎを避け、周囲の人間や町の人々からも信頼され親しまれていた。

クアムを狙っているヨン派は、ヒスの旧知の友人であるチョルジンをうまく使い、ヒスを説得させていこうとしていたが、ヒスはクアムを治めることなどには興味がない。

ヒスはただ、昔から恋仲であるインスクとクアムを出て、巨済島でペンションを運営することを夢見ていた。

ヤクザの世界から抜けていこうとするヒスだったが、彼はクアムをめぐる抗争で欠かせない存在であった。

感想/レビュー

Hot-Blooded-Once-Upon-a-Time-in-Korea-2022-movie

ノワール小説を原作としている作品とのことで、その空気感はどうやら少しレトロな印象もありました。

現代的なノワールというよりも、往年のクラシックさを持っていると思います。

いわば定型的というか。

悪い意味ではなくて、こうした極道物の中でもなんだか懐かしさを持っている映画でした。

地元の守り手としてのヤクザ

主人公のヒスはみんなから好かれている。チンピラたちもそうだし、格上である他の親分連中なんかもかわいがってくれていて。

OP空けすぐにヒスがクアムの町を車で回ります。

クジラを引き上げた漁師たちは酒に誘い、市場のおばちゃんは電気事業者の苦情を言う。街に馴染み、街に生き慕われているんですよね。

この親しまれているヤクザもののテイストは最近の単純な暴力の象徴たるヤクザとノワールの世界では久しかった気がします。

別の点でも思うのですが、「ゴッドファーザー」に通じる気がします。

街に慕われるヴィト・コルレオーネとでもいいましぃうか。

マイケル・コルレオーネ

別の点というのは、ヒス自身の顛末に関わります。

もともと覇権争いには興味がなく、ソン社長の言うように”汚いビジネス”である麻薬もさばかない。

ヒスは裏社会よりも個人の幸せに傾きます。

事が大きくなってもなお、彼は友人であったチョルジンを消せなかった。

Hot-Blooded-Once-Upon-a-Time-in-Korea-2022-movie

人情がある悪党。

インスクとの生活を夢見て、アミという息子もできて。

ヒスを中心とするドラマは疑似家族のドラマで暖かかったです。

しかし、彼が最後に得るのは全く欲しくなかったものでした。

権力や抗争を一番避けた彼が、逃れられない運命から王になる姿は、なんだか「ゴッドファーザーpart1」のマイケル・コルレオーネの最後にも重なりました。

複雑化していて曲道の多い脚本

というわけでクラシックな極道映画として話は楽しんだわけですが、ちょっと上映時間は長く思います。

長編かといえばそうでもないでしょうけれど、構成上に少し難があると感じてしまいました。

登場人物たちが多く、脚本上のツイストが多い事自体も複雑な構造を生んでいますが、個人的には目の前の議題に関して乗っていい時間が掴みづらかったです。

いま起きていることが常に前と後にも繋がっている気がして、目の前だけ見て走れません。

OPで行き着く先は示され、あの場にいる人間たちは残ることが確認済。

その割にはチョルジンの件などやや引っ張り過ぎかなと思います。

「ここからはあの船の上シーンまで一直線!」

となって突っ走っていい頃合いまでが長く分かりづらく思えました。

とまあ難はあれど、地域密着型ヤクザを観れたことと、主演のチョン・ウの良い感じのかっこよさが楽しめた作品です。

今回は短いですが、感想はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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