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「エンド・オブ・ウォッチ」”End of Watch”(2012)

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映画レビュー
Officers Mike Zavala (Michael Peña) and Brian Taylor (Jake Gyllenhaal) tangle with a vicious drug cartel in End of Watch
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「エンド・オブ・ウォッチ」(2012)

  • 監督:デヴィッド・エアー
  • 脚本:デヴィッド・エアー
  • 製作:デヴィッド・エアー、マット・ジャクソン、ジョン・レシャー、ナイジェル・シンクレア
  • 製作総指揮:ジェイク・ギレンホール、トビン・アームブラスト、レミントン・チェイス、ガイ・イースト、ランドール・エメット、アダム・カッサン、ステパン・マーティンローシアン、クリサン・ヴァージェス
  • 音楽:デヴィッド・サーディ
  • 撮影:ロマン・カシヤノフ
  • 編集:ドディ・ドーン
  • プロダクションデザイン:デボラ・ハーバート
  • 衣装:メアリー・クレア・ハンナン
  • 出演:ジェイク・ギレンホール、マイケル・ペーニャ、フランク・グリロ、アナ・ケンドリック、デヴィッド・ハーバー、アメリカ・フェレーラ 他

脚本家としていろいろな作品を手掛けていたデヴィッド・エアーの監督作品。思えば今作のようにLAを舞台にした「トレーニング・デイ」(2001)も彼が脚本ですか。

「スーサイドスクワッド」で今では有名ですね。あちらは個人的には低評価でしたが。

主演にはジェイク・ギレンホールそしてマイケル・ペーニャコンビ。また今作はデジタル時代らしい映画技法であるファウンドフッテージ方式で撮影された作品になっています。

アメリカはロサンゼルスのサウスセントラル。

LAPDの制服警官として、タッグを組んでパトロールに向かうブライアンとマイクの二人は、自分たちの仕事ぶりを小型カメラを身に着け撮影していた。

警察署でのおふざけも、車内での日常会話も記録し、いざとなれば犯罪現場や火災現場へと踏み込んでいく。

そんなLAの街を巡回するこの二人は、今日もパトロールへと向かっていく。

ファウンドフッテージのカメラは、その素人感というか不安定感などが臨場感といわゆるリアルさに貢献しています。今

作でもその実録感はかなり感じることはできるものの、それでいて絶妙なバランスもとられていますね。とにかく私はオープニングのワンチェイスで持っていかれました。

車載カメラから路地を追いかけまわす様と一瞬の銃撃戦を映す。あれは本物の映像と見紛うものです。

全編にわたって必ず小型カメラの視点というわけではないものの、制服警官の二人と共にLAの街を回る感覚は良く伝わります。

しかし同時に、混乱しないようなバランス調整もされています。なのでむやみな揺れで酔ったりせず、臨場感がありつつも綺麗な撮影の印象を残して気持ちよく観れますね。

彼らの立ち位置というのも徹底して描かれています。

今作は警察の映画の中でもあまり描かれない制服警官もの。刑事でもなければ、特別捜査官でもない、ただのお巡りさんというわけです。

映画の題材としては非常に華やかさに欠けるのは当たり前で、彼らはパトロールで出くわす問題にその場で対処していくだけ。

作中でも現場を刑事の到着まで保全したり、なにやら大きな作戦の足を引っ張ったようで怒られることも。彼らは大局なんて見ることのない一般兵。

日々走り回り、危険の最前線にいつつも作戦も大きな犯罪解決もないのです。

そんな制服警官がどんなことに直面しているのか、LAの治安の悪い街の中でのタフな毎日がこれまた恐ろしく見せられています。

ブライアンもマイクも車内ではホントに下らない冗談を言い合ったり、日常の事をあれこれ話すだけ。

しかし一度事件に直面すれば、それがどれだけ危険でも死を感じさせるものでも立ち向かうのです。

繰り出される暴力の突発性は、リアルな警察の仕事として実録的な説得力を持っています。日本の街に比べるととんでもなく怖いというのは確かなところですが、麻薬に人身売買、人種別のギャング抗争など正直こんなところで警官なんてやりたくない!と思うものですw

誰一人として主人公らしい人間というのは出ません。

みなただの制服さん。英雄扱いされたり、スポットライトを浴びるのは刑事などが多いですが、実際に日々の街を守っているのが誰なのか。エアー監督は最大限の敬意と感謝を身近なお巡りさんにささげています。

大音量の銃声、すさまじい暴力性に狙われたブライアンとマイク。

この2人のたどる運命は心打たれるものもありますが、やはりギレンホールとペーニャが演技と思えないほどのホモソーシャルっぷりを見せてくれているのが、一番痛烈に心揺さぶる要因です。

あれは演技なのか?くっだらない話に馬鹿笑いする車内。署ではイタズラし、恋人や家族と楽しくダンスする。本当に仲良さそうですよね。

別に特別でない二人の警官の、LAでの日々の仕事がどれだけタフなのか。

デヴィッド・エアー監督は洗練された実録感あふれるカメラを通して、犯罪に立ち向かうその最前線とLAの街を体感させてくれます。

緩急つけた展開に引きつけられ、兄弟の絆に感動し、そしてなにより、一番身近なファイターに敬意を送る作品です。

制服警官ものの傑作として是非鑑賞を。

というところでおしまいです。エアー監督って仲良し兄弟作るの巧いですよね。では、また~

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