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「街のあかり」”Lights in the Dusk” aka “Laitakaupungin valot”(2006)

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「街のあかり」(2006)

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作品解説

  • 監督:アキ・カウリスマキ
  • 製作:アキ・カウリスマキ
  • 脚本:アキ・カウリスマキ
  • 撮影:ティモ・サルミネン
  • 編集:アキ・カウリスマキ
  • 出演:ヤンネ・フーティアイネン、マリヤ・ヤルベンヘルミ、イルッカ・コイブラ 他

「希望のかなた」「枯れ葉」などのフィンランドの名匠、アキ・カウリスマキによる「敗者3部作」の最終章となる人間ドラマ。

ヘルシンキの街の一角に住む孤独な男の物語が、人を愛することで彼の人間性が回復していく姿を描きます。

以前にどこかで一回見た気がしますが、カウリスマキ監督作品が軒並みアマプラでも観れるので、改めて鑑賞して観ました。

~あらすじ~

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ヘルシンキの百貨店で夜間警備員として働く地味な男、コイスティネンは、魅力的な女性ミルヤと出会う。

しかし、ミルヤは百貨店強盗を企む悪党リンドストロンの手先だった。

コイスティネンはミルヤに利用され警察に逮捕されるが、彼女に惚れていたため彼女を庇って服役する。

なじみのキッチンカーの店主アイラの愛情に気づかず、冷静に刑期を終えて社会復帰を目指すコイスティネン。

しかし、ある日、リンドストロンと一緒にいるミルヤを目撃し、自分がただ利用されていたことを悟る。

感想レビュー/考察

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アキ・カウリスマキ監督の敗者シリーズとして見ていくと、ちょっと物足りなさもある気がする作品でした。

全体のスタイルとトーンはさすがに完成されていて、古ぼけた色彩に静かなトーン、滑稽にも見えるような全体を覆うユーモアはそのままです。その面ではカウリスマキ監督が好きならいつものカウリスマキ監督って感じですね。

結構えげつない不憫なことが起こっているのに、なぜかゆったりと観れてしまう。

序盤からどこか見栄っ張りで、自分自身もちっぽけな存在なのに、周りを少し見下している主人公コイスティネン。

器がないのに大口だけを叩きつつ、犬をかわいそうに思ってケンカを吹っ掛けるどことない優しさなど、滑稽でも根っこをもって生きている男が描かれます。

この男に同乗すべきか、失笑してみるべきか。

その辺は人によるのではないかと感じるような描かれ方です。

でもコイスティネンがどんどんとハニートラップにハマっていき、家に呼んだ時もカッコつけてインテリアを飾るわりには料理がしょぼいとかまた笑えます。

カウリスマキ監督はこうした社会の雑草レベルの人に対して、変な背伸びも美化も、かといって軽蔑もしていないさっぱりとした感覚を持っていると思えます。

そこでコイスティネンは誤認逮捕に1年の収監まで経験し、あろうことか自分自身を身代わりにした連中のせいでまた仕事を失ってしまう。

そんな災難と搾取される弱者の中で、カウリスマキ監督は愛について、これまた大人だけどそれはエロスによらない渋さを醸し出します。

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主人公のコイスティネンは確かに、盲目的にミルヤに惚れこんでいくアホですが、愛のために身を切った。それはそれで誇りを守ったでしょう。

そして彼は屈せずに立ち向かう。それは犬の件もあって劇中で2回繰り返されますが、そこには彼を思うアイラの存在があります。アイラは終始コイスティネンを愛し、服役中も手紙を送ってくれています。

最後も半殺しにされて放置されたコイスティネンのもとに、アイラがやってくる。そいてそこにはコイスティネンが可愛がった犬も。

一方でコイスティネンに愛情を向けられたミルヤは。

彼女は金を選んだわけですが、あくまで道具としてしか見られておらず、酒を飲み賭け事をする男たちの後ろで掃除機をかけさせられています。

今後ミルヤが窮地に追い込まれても、愛をもって彼女を支える人間はいないでしょう。

この対比において、カウリスマキ監督は成熟したあっさりさで愛を入れ込んでいると感じました。

確かにちょっと味気ない気もする作品ではあり、物足りなさもあると思います。コイスティネンにもうちょっと寄り添いやすい何かがあってもいいかもしれません。あまりに単純でアホなので、自業自得と観客に見捨てられかねません。

個人的にはカウリスマキ監督の他の作品の方が好みですが、スタイルを楽しめることは間違いない索引でした。

今回は短めですが、ここまで。

ではまた。

コメント

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