「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)
- 監督:ドン・チャフィ
- 脚本:ジャン・リード、ビバリー・クロス
- 製作:チャールズ・H・シニア、レイ・ハリーハウゼン
- 音楽:バーナード・ハーマン
- 撮影:ウィルキー・クーパー
- 編集:モーリス・ルーツ
- 視覚効果:レイ・ハリーハウゼン
- プロダクションデザイン:ジェフリー・ドレイク
- 出演:トッド・アームストロング、オナー・ブラックマン、ナンシー・コバック、ゲイリー・レイモンド 他
ギリシア神話の冒険記、イアソンのアルゴ船での旅を基にした映画です。監督のドン・チャフィはTVシリーズで冒険活劇を多く手掛けていた方のようです。
またストップモーションアニメーションは、巨匠レイ・ハリーハウゼンが担当。
多くのモンスターはじめギリシア神話らしい神様とのやり取りなどもあります。特に「シンドバッド七回目の航海」(1958)から数を増やした骸骨剣士は映画史に残る特撮ですね。
ちなみに女神ヘラ役で、ボンドガールで有名なオナー・ブラックマンが出ていますよ。
ゼウスの加護を受けるペリアスは、アリスト王に反旗を翻し殺害、王座を奪い取った。
預言者はアリストの息子、片足だけサンダルを履いた男によってペリアスの王座が奪い返されると告げる。
ペリアスはこれを恐れ、アリストの娘を殺すのだったが、娘は幼子を女神ヘラに託したことで、その子だけは助かった。
時は流れ、予言の通り幼子であったジェイソンは成長し帰ってくる。宿命にもペリアスを助け、そして片方のサンダルが脱げていた。
ペリアスは正体を隠しつつ、ジェイソンに王座を奪うために金羊毛を得るべきだと言い、その過酷な旅でジェイソンが命を落とすことを狙う。
実直なジェイソンは金羊毛を求めて大冒険へと出発する。
神話ベースの特撮冒険活劇。見どころはやはりモンスターたちですよね。今作屈指のシーンとしては、やはりラストバトルになる7人の骸骨剣士たちでしょう。
それぞれが滑らかに動きながら、ジェイソンはじめ仲間と剣戟を繰り広げます。このシーンだけでも観てほしいです。素晴らしいストップモーションを堪能できます。
また今作にはハーピィにヒュドラという有名モンスターも登場。
ハーピィに関しては飛びながらの戦いにセットを大きく使った退治法が楽しめ、またヒュドラはそのしっぽや7つの首が動く様が見事なダイナメーション、圧巻です。まあヒュドラに関しては意外にあっさりな決着が物足りない気もしますが。
もうひとつ見どころ的には巨大なものの特撮もあります。そういった点では吠える岩とタロスが見どころ。
まあ吠える岩に関しては厳しい目にはなりますね。ここはあくまで合成のみの場所、そしてやはり水の関わるシーンにおいてのサイズ拡大や縮小の合成は違和感を取り払えません。
水の動きやその粒の大きさだけはどうにもなりませんからね。大海原が荒れ狂うにしてはどうしても飛沫が小さくスケールが合わないのです。
しかしタロスの方はそこまでノイズになりえるものもなく、不気味な金属の擦れる音にあの無表情など大好きです。命を与えるところは同じにしても、無機物が動き回るモンスター感はすごく良いものです。
まあ特撮部分に関しては飽きさせずに次々に出されてくるとして、神話の関係上通らなければならない部分もあり、実は少しテンポ感を遅らせてしまったような気もします。
船員を集めるための大会に、ヘラクレスの離脱などサイドストーリーをしっかり入れたため、実は大筋にはそこまで必要のないものも多いのが事実。
裏切りや恋というのも終盤になって出てくるだけです。それもやはり神話通りに進めたから。
そもそも今作はしっかりとした終わりがありませんね。王座奪還のためのアイテムを獲りに行くのですが、それを手に入れて終わってしまいます。
基のアルゴ船の冒険伝説の初めから途中までの映画化になっている故、どうしても話として不完全になるのです。いっそのこと簡略化してモンスターだらけ、王座奪還までやる作品にしても良かったのでは無いかと思います。
時間も同じかよりタイトに完結できるはずです。
特撮部分は立派です。サイズや数なども多様な有名モンスターたちの活躍が良い映画です。
ということで感想おわります。それでは、また~
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