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「パラサイト 半地下の家族」”기생충” aka “Parasite”(2019)

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parasite 2019 Bong Joon-ho-movie 映画レビュー
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「パラサイト 半地下の家族」(2019)

  • 監督:ポン・ジュノ
  • 脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
  • 製作:クァク・シンエ、ムン・ヤングォン、チャン・ヨンファン
  • 音楽:チョン・ジェイル
  • 撮影:ホン・ギョンピョ
  • 編集:ヤン・ジンモ
  • 出演:ソン・ガンホ、チェ・ウシク、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、パク・ソダム、チャン・ヘジン 他

parasite 2019 Bong Joon-ho-movie

「殺人の追憶」や「スノーピアサー」のポン・ジュノ監督が、裕福な家庭に入り込んでいくある家族を描くコメディスリラー。

主演は監督とのコラボも多いソン・ガンホ。また息子役にはポン監督の「オクジャ/okja」にも出ていたチェ・ウシクが出演。

今作は批評家からの評価が非常に高く、カンヌ国際映画祭にては最高賞であるパルム・ドールを受賞。

ゴールデングローブ賞にても外国語映画賞を獲得するなど、賞レースでも圧倒的な好評価です。

日本では2019年末に限定先行公開がされ、その後年明けすぐに一般公開となりました。

私は先行に行っても良かったのですが、ムビチケ買ってたので一般公開まで我慢。

公開週末に行ってきましたが、混んでましたね。

ちなみに2週目には口コミ?か人も多く、スクリーンも大きなところでやっていました。

parasite 2019 Bong Joon-ho-movie

全員失業中のキム一家は、住宅地の中でも半分地下に埋まった狭い家で暮らす。

まともな職もなく困っていたところ、長男ギウが友人に、留学に行く間、ある裕福なお嬢さんの家庭教師を代わってくれと頼まれる。

学歴こそないが、受験経験は豊富なギウは、見事に家庭教師の職にありつき、奥様が美術の教師も探していると聞きだす。

そこでギウは妹のギジョンを美大生に仕立てて潜り込ませ、他人のフリをしながら2人で一家に入り込んだ。

ここからさらに、キム一家の計画が進められていく。

parasite 2019 Bong Joon-ho-movie

とにかくおもしろいんで、気になっているという方は今すぐブラウザ閉じて近くの映画館行って観てきてください。

映画館で観ていて、すごく久しぶりに全く先の展開も読めず、この作品のトーンやジャンルも掴んでいることができませんでした。

転がる先が見えないくせにすべてが計算されつくしている上に、細やかな演出も良きとどき、それでもなお、笑わせてきたと思えば非常に闇の深い怖さが見えて来たり。

作品には昨今の「アス」「ジョーカー」で描かれてきたような悲痛な貧富、社会格差があり、そこには韓国という国ならではのネタも多く入れこまれているようです。

細やかな点は理解できませんが、受験、また北朝鮮という存在、そして思い違いかもしれませんが、欧米特にアメリカに対する羨望と嫌悪も見られた気がします。

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各登場人物が印象的なのもありますが、やはり主人公たる風格と機能を備えているのは、舞台です。

半地下の家、主な舞台となるパク社長の豪邸。

そして家族が暮らす住宅地。全てにおいて高低差が設けられます。

貧富の差や社会的な格差をそのまま表す機能もあり、その行き来、そして奔流が押し寄せていく先が下層地帯であるなど、アクションとしてもうまく組み込まれています。

豪雨の中の一家の帰り道とか、良く見つけたなと。

あと重要な地下への入り口が終始真っ暗なのもうまいライティングです。

ほんと真っ黒で何も見えなくてドキドキする。

あの豪邸もそして住宅地も半地下の家までも、セットとして作ったものということですが、すごいですね。

半地下も地下も韓国の歴史を感じる要素でした。

戦争の危険や政権によって、半ば防空壕的に作られたスペースに、非常時ではないのに人が住んでいる。

この状況自体が非常事態とも取れます。

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人物としては半地下組はとにかくサバイバーです。

計画があり常に頭を使って日々の糧を得ている彼らに対し、パク一家はどちらかと言えば能天気。

象徴的なのは奥様で、あの3匹の犬の世話とか節々に入ってくる英語とか。

非常に無垢というか、繊細かつ世間知らずともいえます。

世界を知らないというのも無理はないでしょう。

OPから見えていたキム一家の世界。

窓ガラスは狭く、降りしきる雨は家の中に入り、そして食事中に酔っぱらいが小便を垂れている世界です。

対照的に一家がパク家のスペースあまりすぎのリビングルームでみたのは、降りしきる雨でも美しく見えるような大きな窓ガラス。

そして晴れの日には陽の光に溢れ長男は日光浴するのです。

長旅をするわけでなく家庭教師のために通える距離で、こんなにも世界が違う。

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作品についていって、暗部まで観ていくと、地下からの”救難信号”も含めていったい誰が”寄生虫”(パラサイト)なのか分からなくなりました。

旦那様はキャンプ以外のシーンでは仕事に行くのに運転もせず、奥様は料理も作れず皿も洗えず掃除もできない。

子どもたちも、そもそも自力で勉強もできないから、ギウを家庭教師に呼んでいるわけですが。

自分には、家族でそろって笑って、一緒に食事して、夫が妻の思い出の品を洪水の中守るようなキム一家の方がよっぽど人間的だと感じます。

数多くの人間たちを地下や半地下に押し込め、その上で吸い上げた養分に浸って暮らす。

最後のカット、長男の想いを含めて、とても忘れがたい。

転がって驚いて笑って恐れて、その結果感じるのは、なんだかとても切ない想いでした。

ポン・ジュノ監督の頭の切れる具合には圧倒されます。

社会問題や歴史、歪んだ現実をエンタメに見事に落とし込む、とにかくおもしろい映画。

これは是非とも劇場へ行って観てほしい作品でした。

感想はこのくらいになります。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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