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「ウエスタン」”Once Upon A Time In The West”(1968)

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映画レビュー
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「ウエスタン」(1968)

  • 監督:セルジオ・レオーネ
  • 脚本:セルジオ・レオーネ、セルジオ・ドナーティ
  • 原案:ダリオ・アルジェント、ベルナルド・ベルトリッチ、セルジオ・レオーネ
  • 製作:フルビオ・モルセッラ
  • 製作総指揮:ビーノ・チコーニャ
  • 音楽:エンニオ・モリコーネ
  • 撮影:トニーノ・デリ・コリ
  • 編集:ニーノ・バラーリ
  • 出演:チャールズ・ブロンソン、クラウディア・カルディナーレ、ジェイソン・ロバーズ、ヘンリー・フォンダ 他

言わずと知れたマカロニ・ウエスタンの生みの親、セルジオ・レオーネが撮った西部劇。

「荒野の用心棒」(1964)から始まった3部作を撮って西部劇に飽きたレオーネが、念願のヘンリー・フォンダを使えるとして撮り始めた作品。いままでのものより、娯楽性をおさえて、より時代や哀愁の感じられるものになっています。

男臭かった監督作の中、女性が軸になるのも新しかったものですね。

西部の駅。ダスターコートを纏った男3人が列車を待っている。

長い間の後、ついに列車が到着。誰も降りない。しかし列車が走り去ると、線路をまたいだ向こうからハーモニカの音色が。緊張が走り、ハーモニカの男が瞬く間に3人を射殺する。

舞台は映り、荒野に家を持つマクべインが再婚相手を歓迎する準備を、子供たちとしていた。

そしてまた銃声が鳴り響く・・・

レオーネ監督は大体女性をちょっと面倒な人間に描いていましたね。(夕陽のガンマンでの宿屋の女とか)

それが今回はカルディナーレを持ってきて、かなり自立して芯のある強い存在として映します。ここですでに、大きな変化や時代の流れが見受けられますね。

また彼女の色気も素晴らしく、助けられるためのヒロインのかわいらしさではなく、強い女は美しいと言ったところでしょう。繊細な部分を見せる所、女らしさも程よい、立派な西部の女性です。

そしてヘンリー・フォンダ。レオーネが尊敬しずっと出演を願っていた人です。たしか話を聞き、映画を観て悩んでいた時に、ウォラックに後押しされ出演を決めたんでしたっけ?

しかし使い方も独特ですよね。あのフォンダを悪玉にするなんて。冒頭でのシーン。モリコーネの音楽、バックショットが子供と交互に、そして最後に顔がアップになると、ヘンリー・フォンダ!

冷酷な笑みを浮かべるフォンダなんて、斬新!またアメリカ王道西部劇に逆らっているんですね。

今作ではギャングからビジネスマンに鞍替えしようとしている男。そしてハーモニカと因縁のある男。

列車の男は海を目指す、フランクは次の時代のビジネスマンを。

フロンティアは失われ、時代が動く。鉄道というものが大きな音を立てています。その通る場所がこの映画でのキー。やはり鉄道=アメリカの新たな時代として描かれていますね。

これまでのマカロニと違うアメリカ史、西部の終わりが主軸にあると感じます。

結局海に行けず、水たまりで息絶える列車の男。ビジネスマンなどになれず撃たれるフランク。シャイアンも潰える運命。復讐の旅を終えたハーモニカも、この先待つ時代では生きられません。

そこで生きるのは強き女性。

西部でのギャング物語でなく、終わってしまうその西部に生き、時代に置いていかれた男たちの物語です。レオーネが愛した西部劇とその俳優たち。彼の西部への愛と感謝、そして別れがここにあると思うのですね。

西部に生きたことはないのに、なぜか懐かしく。モリコーネの素晴らしい音楽が哀愁漂います。

愛したものが終わってしまう時の気持ちは普遍なんでしょう。

とても美しくレオーネのスタイルが集まり、さらにテーマの足された西部劇です。おススメですよ!

というわけで今回ちょっと長かったですね。それではまた~

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