「ガンズ・アキンボ」(2019)
作品概要
- 監督:ジェイソン・レイ・ハウデン
- 脚本:ジェイソン・レイ・ハウデン
- 製作:トム・ハーン、フェリペ・マリーノ、ジョー・ニューローター
- 製作総指揮:アレクサンダー・ボージャーズ、ウィル・クラーク、タラ・フィネガン、ジョン・ジェンクス
- 音楽:エニス・ロトロフ
- 撮影:ステファン・シューペック
- 編集:ルーク・ハイ、ザズ・モンタナ
- 出演:ダニエル・ラドクリフ、サマラ・ウィーヴィング、ナターシャ・リュー・ボルディッゾ、リス・ダービー 他
「デビルズ・メタル」などのジェイソン・レイ・ハウデン監督が送るバイオレンスコメディアクション。
闇サイト運営に目をつけられ、両手に銃を固定されてしまった男がデスゲームに強制参加される様を描きます。
主演は「スイス・アーミー・マン」などで活躍するダニエル・ラドクリフ。
また「レディ・オア・ノット」で血塗れ花嫁を演じて注目を集めたサマラ・ウィーヴィングが主人公の対戦相手を演じています。
ゲーム世界っぽい作りがされている作品ですが、バイオレンスアクションとして結構血しぶき祭りで派手な映画でもあります。痛々しいというよりも暴力すらコメディ的。
映画館で予告を見てはいたのですが、当時結局見には行きませんでした。
今回は配信での鑑賞になります。
~あらすじ~
マイルズはしがないゲームプログラマー。
これと言って熱中することもない彼は、様々なネットの掲示板や動画チャンネルなどに、”荒らし”として過激なコメントを書き込んで暇つぶしをしていた。
ある時、社会現象になっている殺し合いを配信する闇サイト”スキズム”に攻撃的なコメントを書き込み煽っていたところ、主催者に目を付けられてしまう。
狂気的な運営側はマイルズの住所をIPアドレスから特定し襲撃、気を失わせられてしまう。
そして彼が目覚めると、なんと両手に拳銃が釘打ちされ固定されていた。
強制的にスキズムに参加させられたマイルズは、殺し屋でスキズム人気を支えているニックスとの対戦をさせられることに。
臆病なマイルズは逃げ回るのだが、元カノであるノヴァが人質に取られてしまい、これ以上逃げ続けることができなくなった。
感想/レビュー
好みがはっきり分かれるタイプ
作品全体のトーンがこの映画の中で主催されているスキズムに似通ったエネルギーをもっており、完全に人を選ぶ作品になっています。
そういう意味で、大衆に迎合しようとか広く届けていこうというような意思は皆無であり、だからこそ結果として合うのか合わないのか分かれます。
そのテイストというのが、ゲーム的な間隔世界の映画なのか、はたまたバイオレンスアクション、コメディの領域に連なるのか、そこがはっきりとしていないのが個人的には残念な作品でした。
ハマる人にはいいのですが、ゲーム感覚といってもショーン・レヴィ監督の「フリー・ガイ」のようなある程度平易で広く知られているゲーム群へのオマージュや愛ではないのです。
もっと狭いのかなと思います。
であるならば、その詰め込んで煮込んだオタク的なゲーム要素が炸裂しているのかというと、個人的には微妙でした。
ジャンルミックス感が弱い
なんらかのオマージュなどあったのかもしれないのですが、気づけなかったですし、銃弾の残り表示だったり、時に現れる画面表示もそこまで作品全体のトーンをまとめているかというと微妙。
ゲームっぽい感じがあるかと思えば普通に忘れてしまうほど少なかったり。
結構血しぶきも人体欠損もあったりでゴアバイオレンスもあるのですが、一方で先述のゲームっぽさが入ってきてしまったり。
なんとなくバランス感が悪い気がします。
楽しくないわけではなく、アクションシークエンスでは力の入った感じが見えました。
序盤のニックスが麻薬工場で大量殺戮するシーンでは流れる一連のアクションに、ちょっと外連味があってまさにアクションゲームっぽいバカっぽさも出ていたり。
全体にサマラ・ウィーヴィングが救い
主演のダニエル・ラドクリフも、ダメダメな青年が一念発起していく様を見せてはいますが、そのドラマについてはちょっと疑問があります。
根底に彼を非暴力的で良いやつだという議論が置かれていますね。
それは元カノのノヴァもくり返し言いますし、たしかに炎で怯えるニックスを前に、殺すことはせずに立ち去る。
しかし別に後半は人を殺すことに躊躇はないです。
結局何かスキズムの連中と明確にラインを引くには至っていない気がするのです。
マイルズのゴールが何なのかについてこの度を通しての終着点がちょっと分かりにくい。
そういう意味で、全て持っていったのはサマラ・ウィーヴィングだったと思います。
ルックスからしてイカレ散らしているのに、溢れてしまう可愛さは置いておくとして、先述の炎を見たリアクションの豹変ぶりだったり、飛んでる発言含めて魅力的なキャラクターに仕上がっていると感じます。
このあたりにも、ニックスとマイルズにもっとつながりがあっても良かったかもしれません。
主人公に対して、コメディ要素が強く好きになるための条件が付与されていないのではと思います。
各セクションでがんばっているのは認めますが、ゲーム感覚とバイオレンスさが融合しているようで実はあまり調和していない作品です。
サマラ・ウィーヴィングは見どころですし、ハマる人にはハマるので気になっていれば鑑賞を。
今回は短いですが、このくらいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ではまた。
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