「プリズナーズ」(2013)
- 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
- 脚本:アーロン・グジコウスキ
- 製作:ブロデリック・ジョンソン、キーラ・デイヴィス、アンドリュー・A・コソーヴ、アダム・コルブレナー
- 製作総指揮:エドワード・L・マクドネル、ジョン・H・スターク、ロビン・マイジンガー、マーク・ウォールバーグ、スティーヴン・レビンソン
- 音楽:ヨハン・ヨハンソン
- 撮影:ロジャー・ディーキンス
- 編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ
- 出演:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、ポール・ダノ、ヴィオラ・デイヴィス、テレンス・ハワード 他
なかなか名前の言いにくいドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるクライムスリラー。
ウルヴァリン役でお馴染みのヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールのイイ男が共演する本作。
公開時はどうだったか・・・話題的にはそれほど?劇場はあまり混んでなかったです。
いっても2013の作品です。オスカーにもノミネートしましたね。健闘です。
ペンシルベニアの田舎町で、ケラー一家は隣人家族と一緒に感謝祭の準備をしていた。
しかしそんな中で、ケラーと隣人の娘が2人、行方不明に。
通報を受けた警察は不審な車を発見し、その運転手である青年アレックスを逮捕。
しかしアレックスの知能は10歳ほどで、まともな証言が得られず釈放される。それを聞いたケラーはアレックスに詰め寄り、ある一言で彼が犯人だと確信する。
そして警察の捜査にいらだつケラーは、ついにアレックスを拉致し、娘の居場所を聞き出そうとする。
ミステリー風ですが、話としてそんなに難解ではなく、序盤にあの模様の入ったアクセサリーがカメラに写ってる時点でなにか読める展開でした。
私は中盤ほどまではすごくのめり込んでこの映画を楽しめましたが、ラストに向けて話が進むと同時に分散し、矛盾点も出てきてしまいます。
人物描写はケラーと捜査にあたるロキ刑事が主軸です。
ヒューが取りつかれたような目をしながら徘徊する様子は、一線を越えてまで家族を守ろうとする覚悟が出てます。
そして取りつかれているからこそ、自分のやるすべては正しいと思っていますね。
ロキ刑事の方は優秀で、だから今回捜査に行き詰る苛立ちが隠せない。どうしてもこの事件が彼を放さない。
話や人物はとりあえずそこそこと思いました。ここは個人差です。
しかしこの映画の最大の魅力はその空気にあると思いました。
田舎町の雰囲気が事件の陰湿さと重なります。いやそれ以上に暗くドンヨリしているかもしれないです。
じっとりした湿気、冷たい雨、痛い風。空はいつも曇天で光が無く、空気は詰まって寒々しい。
画面全体からこの町と事件の雰囲気が出てきます。そして観ている私たちもそこで同じ空気を吸っている感覚にまでなります。
この作りはそても素晴らしい体験でした。
家族のためにどこまでやれるか。私たちの周りにある悲惨な犯罪。
この2つでみても十分楽しめますが、私の注目点は撮影や音響による映画そのものの空気感にありました。
人物、そして町同様、観ているものもこの事件と映画そのものに囚われてしまう。
ある意味で体験型の映画でした。
というところでおしまいです。
それでは!
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