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「復讐の記憶」”Remember”(2022)

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「復讐の記憶」(2022)

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作品概要

  • 監督:イ・イルヒョン
  • 製作:ユン・ジョンビン
  • 脚本:イ・イルヒョン、ユン・ジョンビン
  • 撮影:ユ・オク
  • 美術:チョン・ウンヨン
  • 衣装:チェ・ヨンヨン
  • 編集:キム・サンボム
  • 音楽:ファン・サンジュン
  • 出演:イ・ソンミン、ファン・インギュ、チョン・マンシク、ユン・ジェムン、ソン・ヨンチャン 他

家族を奪われた老人と、彼の長い復讐計画に巻き込まれる若者の物語が描かれたドラマ映画。

「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」のイ・ソンミンと韓国版「ジョゼと虎と魚たち」のナム・ジュヒョクが初共演。

監督はファン・ジョンミンとカン・ドンウォン共演の「華麗なるリベンジ」で監督デビューを果たしたイ・イルヒョン。今作が長編監督2作品目。

イ・ソンミンの出演作は配信中心とはいえ結構見てきて、好きな俳優の一人なのと、監督の前作「華麗なるリベンジ」も結構好きなので今作も楽しみにしていました。

公開自体は先月の初め頃みたいですが、地元では9月下旬からの公開だったので観るのが少し遅くなりました。

サービスデーで安いこともあってか結構混んでいました。

「復讐の記憶」公式サイトはこちら

~あらすじ~

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80歳の老人ピルジュ。

彼は家族全員を過去の理不尽な出来事で失い、それを引き起こした裏切り者への復讐を誓い生きてきた。

しかし、認知症が進行し自分の記憶が長続きしないことを知った彼は、復讐すべき5人の名前をタトゥーとして指に刻み、60年にわたる計画の実行を決意。

ピルジュのかつての同僚で、年齢差を超えた親友となった20代の青年、インギュを、1週間の約束で運転手として雇う。

記憶を完全に失う前に復讐を果たしたいピルジュ。

やがて衝撃の真実が明らかになる。

感想/レビュー

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認知症に復讐に、バディに。イ・イルヒョン監督が包含させた各要素は、実のところ少し無理のある部分が出ている。

でも致命的な部分というのはなくて、全体にはよくまとまっている作品でした。

何点だけ言うと、認知症気味であるという点についてはそこまでカギになってこないというか。

終盤の下りに必要な要素なので削るのは無理そうですが、かといって今回の復讐劇においてはあまり重要ではなくて活かしきれていないことは惜しかったかと思いました。

イ・ソンミン迫真の演技

主軸になっていくピルジュを、大掛かりな特殊メイクを施して演じたイ・ソンミン。

彼はこれまでにも「Mr. Zoo」だったり、「工作 黒金星と呼ばれた男」、それに「KCIA 南山の部長たち」などすごく幅の広い役柄にかかわってきています。

そこで今回は振れ幅を持った役となりました。

OPでのフライデーズでの勤務では、すごくひょうきんで親しみやすいソンミンさんなんですよね。

そこではマーティとドクのように年齢差のない親友をファン・インギュと演じています。

ここでの持ち味はまさにコメディ畑で魅せているような軽快さなんですよね。

それもうまくやりつつ、復讐計画の実行では重厚なドラマで見せるような切なさと、悪人を演じるときなどにも通じる冷徹さと厳しさをみせます。

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この辺のジャグリングが好き。

決して別人格ってわけじゃなくて、あくまでピルジュの多面的な部分になっています。一人の人物。

散漫だと本当に別の映画の別の人物をくっつけたみたいになりますからね。

複合させたプロットはまとまって入るが深さは足りない

今作には戦時中の日本軍による侵略からそこで親日派としてなびきピルジュの人生を破滅させた事実が背景にあります。

そこは歴史的なものを持ち合わせつつ、あくまで背景程度にとどまったかと。

講演が挟まれていたり、一応は当事者であるピルジュに対して、ジェイソンという若い世代を配していたりと韓国国内における世代間の溝も出そうとはしているように感じます。

ただし、いずれもちょっと中途半歩には感じました。

あまり踏み込みすぎると政治論が先行してしまうので、このくらいに抑えてエンタメにしとくほうが良いと言えば正解かもしれません。

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名前とそこに残る記憶

今作で巧い演出であると思ったのは名前です。

認知症気味であるために、復讐する相手の名前を指に彫り込んでいくピルジュ。

そこで何人かの名前がターゲットで出てきている中、日本人の名前が正体不明のままになっていますね。

そこにクライマックスのある仕掛けがあったわけですが、そこで思い出されるのが今作のはじめ、ピルジュがスタッフルームで寝ているときに下げている名札。

フライデーズのバイトとして”フレディ”の名前をつけ、ジェイソンからもそう呼ばれ続けていくピルジュ。

ピルジュにとって名前とは自分自身にとっても非常に因縁のあるもの。だからこそ、その名前に支配されているとも言えます。

そこでピルジュとしての人生やもう一つの名前を背負って選択するわけですが、最後にジェイソンがかけてくれた言葉が良いですね。

ピルジュとしての人生以外に、彼にはフレディとしての人生もあるわけです。ジェイソンは陽気で優しくて妻を愛したフレディを思い出させようとその名を呼び続けたのです。

全体にイ・ソンミンの幅のおかげで散らばることを防いだ形で、各要素で観ると物足りないものの、復讐ミステリーものとして楽しめた作品でした。

今回の感想はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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