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「ロケットマン」”Rocketman”(2019)

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rocketman-2019-film 映画レビュー
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「ロケットマン」(2019)

  • 監督:デクスター・フレッチャー
  • 脚本:リー・ホール、
  • 製作:マシュー・ヴォーン、エルトン・ジョン
  • 音楽:マシュー・マージェソン
  • 撮影:ジョージ・リッチモンド
  • 編集:クリス・ディケンズ
  • プロダクションデザイン:マーカス・ローランド
  • 衣装:ジュリアン・デイ
  • 出演:タロン・エジャトン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデン 他

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イギリスのミュージシャン、エルトン・ジョンの人生を描く伝記・ミュージカル映画。

監督は「ボヘミアン・ラプソディ」でブライアン・シンガー降板後に引き継いだデクスター・フレッチャー。

エルトンを演じるのは「キングスマン」シリーズで一躍人気となった若手俳優タロン・エジャトン。

また「リトル・ダンサー」でビリー・エリオットを演じたジェイミー・ベル、「ジュラシックワールド」シリーズのブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデンも出演しています。

作品はカンヌ国際映画祭のクィアパルムにノミネート。

私はエルトン・ジョンの音楽はあまり詳しくなくて、どちらかと言えばLGBTQの活動やスピーチでの姿を知っている感じ。

公開週に観に行きましたが、大きなシネコンではなかったからか、そこまで混んではいませんでした。

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イギリスの音楽界で成功を果たすエルトン・ジョン。

輝かしいスターの派手な衣装の下には、ボロボロになった寂しい少年が泣いていた。

彼は自分にとっての音楽、そして大きな成功からでも手に入れられなかったあるものを、幼少期から人生を振り返って考える。

シャイで、父からのハグを待ち、ピアノと音楽が好きな普通の男の子の頃から。

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思っていたのと全然違ったというのが感触です。いい意味で。

もともとエルトン・ジョンに詳しくなかったり、予告しか見てなくてあまり調べてなかったこともあるとは思うのですが、(そもそもミュージカル映画だって知らなかった)音楽やらエルトン・ジョン、スターダムとかよりももっと小さな映画に思えます。

小さいというのは、バカデカくうるさいのではなく、手触りがあり作品を観る個人に響く映画ということです。

これは本当に、大スターの伝記映画でありながら、すべての孤独な人への優しいハグみたいに思うのです。

とにかく不安定で寂しくてでも恥ずかしがり屋なところもあって、そんなレジーを演じるタロンが素晴らしかった。

どことなく少年っぽいというか、ふくれながら泣いてるのとか良かったです。

いつもサングラスをかけてるのは、派手さでありそして眼の表情を周りに見られないためで。

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何よりデクスター監督が選んだ描き方と構成がいいと思います。

ミュージカルを使うこと、そしてリハビリから過去を振り返っていく構成。

すべてがこの作品を、音楽やエルトンの曲紹介、サクセスストーリーと復活というものではないと示しています。

明確な目的は、レジーの行き着く愛の物語を描くこと。

ミュージカルとは非現実であり、音楽と共に思い通りの理想を映像化するもの。

使い方としては「シング・ストリート」でのあの発表会を思い出しました。

追い込まれていき朦朧とするエルトンにとって、ライブコンサートはもはやトリップでしかなくなって行きます。

音楽を奏でていた時にだけは寂しさを忘れられたのに、気づけばその演奏も瞬きすると終わっている。

そしてすぐ、人はたくさんいるのに誰も自分を想っていない世界へ戻らなければいけないんです。

本番前の鏡でのシーンとか本当に辛いものでした。

まさに傷を隠すための道化のような化粧とサングラス、派手な衣装。

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間に愛されないレジーの寂しいドラマが描かれるので、必然的に彼のコンサートシーンのようなビジュアルとしては大きく派手なシーンに爽快感や解放感はありません。

しかしそれこそ、本当の意味で彼が癒し解放されるまでのカタルシス溜めみたいなところがありますし、そもそも音楽すら逃げ場にならなくなった悲しさが増すのでいいと思いました。

このファンタジックな作りと非現実であるミュージカルを通して、視覚的にレジーは自分を囲む人との関係を見つめ直す。

そして失ってはいけない親友や、求めるだけ無駄な愛情を整理し、最後は自分を愛することを学びます。

誰からも愛されないことなんて絶対にない。

多くの孤独を描く作品は、気づかないだけで誰か愛してくれる人がいますよと言います。

でも、真に孤独な人にそれは通用すると思えません。

そうなってもなお、この作品は自分で自分にハグするという行為によって、すべての人を救おうとします。レジーがそうだったように。

レジー・ドワイトではなく、エルトン・ジョンとして生きるしかないと思っていた。

でもレジーを愛することが大事。だからこの作品は、映画にできるマジックで、レジーを描いたのかなと思います。

ビジュアルの楽しさやミュージカル、タロンの演技ととても楽しめた作品です。

エルトン・ジョンを知らずとももっと普遍的な愛の物語だと思うので、観てみてください。

今回は感想は以上です。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

それではまた。

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