「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)

  • 監督:ブライアン・シンガー
  • 脚本:アンソニー・マクカーテン
  • 原案:アンソニー・マクカーテン、ピーター・モーガン
  • 製作:グレアム・キング、ジム・ビーチ、ピーター・オーベルト、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー
  • 音楽:ジョン・オットマン
  • 撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
  • 編集:ジョン・オットマン
  • 出演:ラミ・マレク、ルーシー・ボーイントン、ジョゼフ・マゼロ、エイダン・ギレン、トム・ホランダー 他

世界に名高い伝説のバンド「クイーン」。

そのリードボーカルを務めたフレディ・マーキュリーの伝記映画である今作は、「X-men:アポカリプス」などのブライアン・シンガーが監督を務めました。

まあほぼ撮影してからですが、モメてクビになって、仕上げはデクスター・フレッチャーが行ったようですが、クレジットはシンガーということで。

主演を務めるのは「ショートターム」(2013)やTVシリーズミスター・ロボットのラミ・マレク。

また「シング・ストリート 未来へのうた」(2016)のルーシー・ボイントン、「オンリー・ザ・ブレイブ」(2017)のベン・ハーディ、「ジュラシック・パーク」(1993)や「マイ・フレンド・フォーエバー」(1995)のジョゼフ・マゼロも出演しています。

私はクイーンのことは全然知らず、有名な曲もまあ聞いたことはあるけれど名前も歌詞もよく知らないくらいの知識でした。

知るにはいい機会だと思い、またラミ・マレクが演じるフレディに興味もあり鑑賞。

朝一の回でしたけどかなり混んでいて、いまこのライブ感のためにIMAXが人気のようですね。クイーンファンの方、よく知らない方など幅広い層が来ていました。

1985年の全世界を巻き込んだ音楽チャリティーイベントであるライブ・エイド。

出場アーティストにはあの伝説的バンド「クイーン」もいた。

バンドのリードボーカルであるフレディ・マーキュリーがこの舞台に立つまでを、彼がまだ空港で荷物登場の労働者だったころから振り返っていく。

批評面では芳しくなく、しかし観客一般層にはとても高くされている作品。観てみてなるほどだとは思います。

まず、フレディ・マーキュリーの伝記映画としては普通という感じ堅い出来といいますか、へんてこな映画ではないですし、しっかりフレディたちがクイーンを結成しスターダムを上っていくまで。

フレディの孤独や自暴自棄な時期とかもそのまま入ってきていて、普通に伝記映画をやっていると思います。

最近は「ジャコメッティ 最後の肖像」「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」など伝記映画では独特のスタイルや切り出し方をしている傑作が多いなと思っていたので、逆に落ち着いた印象になったのかなとも思いますが。

OPにライブ・エイドの始まりを入れている以外には、時系列をいじったりもせず淡々と進みます。

残念だったのは、なぜフレディが音楽を求め、そこに生きることにしたのかがよく分からなかったところですが、クイーンが観客と一体になることを大切にしていたこと、また、観客にも音楽に参加してもらうことを望んだその姿勢はとても分かりました。

後は、フレディの謝罪の中で、どうしてこの4人でなければ素晴らしい音楽が誕生しなかったのかが触れられますね。

アーティストとしての根幹に関しては少し薄い気もします。

まあ今作はフレディのセクシュアリティ、それによる孤独が全面にドラマとして出ている感じです。

そこで重要なリードのラミ・マレクですが、アカデミー賞コンテンダーになっても良いくらいの名演だったと思います。

見た目が似ているのかはファンではないのでそこまで分からなかったですが、でも暗がりの中で少し顔が見える辺りだと実際の映像みたいでした。

何よりラミ・マレクがすごかったのが、その存在感のマスターでした。フレディだけでなく、スーパースターの人ってそこにいるだけでオーラというか目立つ感じがあるじゃないですか。あれがしっかり感じられたんです。

そして圧倒的なパフォーマンス。

ここが最高です。

正直、ドラマとしてはかなり機械的にも思えます。仲違いからライブ・エイドのための再結成でも理由がハッキリしなかった気がしますし、最終的に恋人になるジム・ハットンとのドラマも少な過ぎて事実を早足で補足したように感じます。

でも最後のライブ・エイドが全て持っていきました。ここは伝記映画というだけではなく、1つ凄まじい映画体験として残るものじゃないかと思います。

ラミ・マレクの圧巻のパフォーマンス、それを見つめるフレディを大切に思う人たちの表情、また一体となる観客たち。体を揺らすほどの音響効果も凄まじいです。

ラストに向けて組み立てたドラマがここぞと生きてきて、歌詞はあれど台詞は一切なしで音楽とそれを共有する人々の姿だけで持っていく。

エイズ治療の病院の廊下でもそうだったように、メロディで人と会話し音楽でみんなを繋げる。1つになる瞬間。

音楽という言語の前には、クイーンとかロックとか音楽の知識は必要なく、そして年齢や生きる時代も文化も国も全て超越されます。

芸術の力を信じる身としては涙せずにはいられないシーンでしたね。まさにこのライブ・エイドシーンを観る映画館に来ているお客さんとも繋がれるんですよ。

映画としてみれば普通なんですが、音楽の力がこれ以上なく体感できるのは間違いないと思います。

私もメンバーの名前も分からない状態で観ましたけど、心を振るわされました。それだけ普遍的な何かに触れることができたんです。

もし知識がないからと敬遠されているならもったいない。気にせず見に行きましょう。ラミ・マレクがマスターしたフレディ・マーキュリーのパフォーマンスが大変素晴らしい映画でした。

こんな感じでレビューは終わりです。やはり知らないっていうのも純粋な気持ちがあり良いものですね。

それではまた。

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