「ザ・シークレットサービス」(1993)

  • 監督:ウォルフガング・ペーターゼン
  • 脚本:ジェフ・マグワイヤー
  • 製作:ジェフ・アップル
  • 音楽:エンニオ・モリコーネ
  • 撮影:ジョン・ベイリー
  • 編集:アン・V・コーツ
  • プロダクションデザイン:リリー・キルバート
  • 衣装:エリカ・エデル・フィリップス
  • 出演:クリント・イーストウッド、レネ・ルッソ、ジョン・マルコビッチ、ディラン・マクダーモット 他

「ネバーエンディング・ストーリー」(1984)や「トロイ」(2004)で有名なウォルフガング・ペーターゼン監督が、クリント・イーストウッドを主演に迎えた、大統領暗殺もの。

大統領関連で言うと監督は今作の後「エア・フォースワン」(1997)も撮っていますね。

原題は射線上的な意味でしょうか?邦題は分かりやすくシークレットサービスになっています。子供のころにこれを観て、はじめてシークレットサービスという仕事を知ったなあ・・・

暗殺者としてジョン・マルコビッチが出演し、アカデミー賞にも助演男優賞でノミネート。その他脚本と編集でもノミネートしました。

長年シークレットサービスとして務めてきたフランク。ベテランの彼はかつてケネディ大統領の警護にも就いていたのだが、あの暗殺を食い止めることができなかったと、今でも自分を責め続けていた。

ある時不審者情報として調べに入った部屋で、大統領暗殺の記事を集めた異常な光景を目の当たりにするフランク。

部屋主のミッチという男はフランクに電話をかけた上で挑発をしてきた。かつて守れなかった大統領を、今度こそ救ってみろと言うのだ。

フランクは相棒のアルと共に現大統領の再選キャンペーンの警護に参加。ミッチを捕まえようと奔走する。

本作品は大統領暗殺を阻止しようとするフランクと、実行しようとするミッチの二人の関係が非常に大きなものであり、大統領という存在そのものはメインではありません。

この2人の過去に何かしらの傷を負った男同士のけじめの戦いのようなものなんです。

イーストウッドは相変わらずの一匹狼キャラで、妄執的なところを持つのですが、それはミッチと同じことです。他と上手くやれずそして何かに運命的なものを感じる男。

両者は極めて個人的な動機の元に大統領を巡って戦いますね。

フランクもミッチも自分が抱えるものを清算するために動いていると思います。ある意味では異常な方法を持ってしてしか、自分の中の贖罪を果たせない。

大統領を救えなかった男は、もう一度大統領が狙われてこそ、やっと過去にできなかったことができる。国に支配され多くの罪を背負った男は、国を象徴するものを殺して初めて決別できる。

非常に運命的かつうまい設定になっています。

彼らの緊迫の戦いは直接対決を迎えるまでは電話でのやり取りが多く、カットバックを多用した緊張感のある演出になっています。

フランクとミッチ双方の視点が矢継ぎ早に切り替わり煽る。まさに映画らしいハラハラする演出の応酬です。

またエンニオ・モリコーネの音楽も盛り上げてくれています。美しいメロディも赦しとして用意されていますが、追走や捜査シーンでの音楽は「アンタッチャブル」(1987)にかなり似たものもありますね。

今作の小道具としては、あのプラスチック銃はおもしろい物でした。

彼らの邂逅が希薄であるのは、やはり対峙した時の盛り上げに寄与していますね。これだけ直接顔を合わせたりしないのに、映画全編互いの事を意識せずにはいられません。

そして直接出会うことはフランクにとってはかなりの試練になっています。

命を本当に捨てられるかという事は明言されるにしても、やはりフランクが自分の贖罪を果たすには、ミッチが必要であるという残酷な本心が見えるような気がするのです。

本当に大統領暗殺の危機を防ぎたいのであれば、実際に銃弾が放たれるのを待つ必要はないのです。むしろ、あの屋上でミッチを殺しておきべき。

しかしフランクの目的は揺らぎます。大統領暗殺を防ぐというのは、彼にとっては過去にできなかったことの清算。ミッチの凶弾に自らが盾となることこそがフランクの理想なんですね。

このちょっとした歪みが、ミッチがフランクに固執する理由なのかもしれません。同じく国、国の象徴によって人生がおかしくなった者同士ですから。

殺しのプロVS護衛のプロとしてももちろん楽しんでみることができますが、ウォルフガング監督の映し出す男2人は、それだけにとどまらない宿命をはらんでいます。

ずっと過去に囚われてきた男が最後に救われ、また新たな人生を歩み出す。そこに流れるモリコーネの美しいメロディが印象的な作品です。

スリラーの中に贖罪を巧く混ぜ込んだ作品です。イーストウッドは過去の何かに悩み苦しむ像を演じることが多いですね。

そんな感じで感想は終わりです。それでは、また。

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