「ガーンジー島の読書会の秘密」(2018)
- 監督:マイク・ニューウェル
- 脚本:ケヴィン・フッド、ドン・ルース、トーマス・ベズーチャ
- 原作:メアリー・アン・シェイファー、 アニー・バロウズ 『ガーンジー島の読書会』
- 製作:ポーラ・メイザー、ミッチェル・カプラン、グレアム・ブロードベント、ピート・チャーニン
- 製作総指揮:ディディエ・ルプファー、ジェニー・ボーガーズ、ロン・ハルパーン、ダーモット・マキヨン
- 音楽:アレクサンドラ・ハーウッド
- 撮影:ザック・ニコルソン
- 編集:ポール・トシル
- 出演:リリー・ジェームズ、ミキール・ハースマン、グレン・パウエル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、マシュー・グッド、トム・コートネイ 他
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」などのマイク・ニューウェル監督が、メアリー・アン・シェイファー、 アニー・バロウズによる歴史ドラマ小説を映画化。
主演は「シンデレラ」や「ベイビー・ドライバー」のリリー・ジェームズ。
また「アデライン、100年目の恋」のミキール・ハースマン、「ドリーム」のグレン・パウエルらも出演しています。
私としては初めこそマークしていなかった作品ですが、イギリスの戦時~後系のドラマで「人生はシネマティック!」が好きなのでそのような時代劇が見たくなり鑑賞。
公開週末に観てきたんですが、割と人が多かったですね。年齢層は高かったですけれど。
マイク・ニューウェル監督が用い、描いたのは古き良き人間社会であり、映画そのものがオールドファッションです。
昔の戦後ロマンスドラマの王道というか。
それは観ていて心地良いですし、やはりグッと心を掴まれ、暖かな気持ちで涙するものです。
しかし、私としてはだからこそ非常に難しい立場に陥ってしまったと思います。
この作品の安定しすぎた感じが、同時に予定調和の退屈さにも繋がってしまうからです。
決まったラインで引かれる美しい画は、同時に安定しすぎて斬新さや驚きには欠けていると思うんです。
もちろん何か突飛なことをすれば、それはオールドスタイルのノスタルジーを消してしまうことにもなりそうです。
どうにもアンビバレントな感覚。
衣装や美術、島の景色などはとても気に入っています。時代の雰囲気やロンドンの一部空襲の跡が残る街並み。傷と再興が入り混じる社会の造形など良かったです。
そしてリリー・ジェームズ。彼女は「ウィンストン・チャーチル」でも時代劇が似合う女優だなと思っていたのですが、今回は色々な衣装を纏い、レトロな装いで気品あり美しかった。
ホントにコスチューム映画で映える女優さんです。
ただし、作品の大きな二つのストーリー、ナチス占領下のガーンジー島での出来事と、作家ジュリエットのロマンスでは、正直前者の方がおもしろくドラマチックでした。
ガーンジー島で起きたこと、様々な人々の想いを理解していくことが、今回人生の岐路に立つジュリエットの生き方を変えていく。
そこにどうにもしっかりとしたロジックが見えませんでした。
序盤から豪華な部屋を借りるのが嫌だったり、華やかなパーティが苦手だったりはあるものの、マークが自分にとっての運命の相手ではないという決定だが足りなかった気がします。
ジュリエットも別に彼といるのがつまらないわけではないですし、もう少し納得のいくことをみせてほしかったなあと。
島を出る際の飛行機で、分かりやすくマークがジュリエットのベルトを締めるとか、ちょっと急というか。
花の下りとかちりばめられたピースはあるんですが、肝心の感情面でのロジックにそこまで説得力がなく感じます。
本が与えた戦火の中の癒し、人を引き合わせ結びつける力。
文学を通して敵対した人々が繋がり愛を結ぶ。
よく言えば安定した心地よい戦争ロマンスドラマであり、悪く言えば、その様式から抜け出すことがなく、やや退屈。
ルックやはずれないお話は確かですから、あとは出演者やジャンルに興味があるかどうかなのかなと思います。
感想は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた次の記事で。
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