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「マッドタウン」”The Bad Batch”(2016)

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the-bad-batch-2016-movie 映画レビュー
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「マッドタウン」(2016)

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作品概要

  • 監督:アナ・リリー・アミールポアー
  • 脚本:アナ・リリー・アミールポアー
  • 製作:ダニー・ガバイ、シーナ・サイヤ
  • 製作総指揮:ミーガン・エリソン、エディ・モレッティ、シェーン・スミス
  • 撮影:ライル・ヴィンセント
  • 編集:アレックス・オフリン
  • 出演:スーキー・ウォーターハウス、ジェイソン・モモア、キアヌ・リーブス、ジム・キャリー 他

「ザ・ヴァンパイア 〜残酷な牙を持つ少女〜」で独特のヴァンパイア映画を作り上げたアナ・リリー・アミールポアー監督の長編第2作品目。

荒廃したディストピアで、刑務所から出た女性が食人族に襲われ、その後復讐を抱えて生きる中、少女と彼女を探す男と出会うドラマ。

主演は「名探偵ピカチュウ」でメタモンのミス・ノーマンを演じたスーキー・ウォーターハウス。

また「アクアマン」でおなじみのジェイソン・モモアが食人族の男、そして「ジョン・ウィック」シリーズのキアヌ・リーブスが不可思議な集団で神格化された男を演じています。

作品としてはなんだか賛否両論というか、結構意見が大きく割れるタイプのようです。

ヴェネツィア国際映画祭のコンペでは審査員特別賞受賞しているのですが、いわゆるトマトメーターでは結構評価も低く、観客の受けもいまいちな作品。

2017年の作品ですが日本での劇場公開はなく、今回はNETFLIXでの配信があったのでそちらで鑑賞しました。

「マッドタウン」NETFLIX配信ページはこちら

~あらすじ~

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近未来の荒廃した土地。

刑務所から出所したアーレンは砂漠をさ迷い歩いていた。

そこは政府や外界社会から隔絶された地区であり、完全なる無法地帯。アーレンは二人組に襲撃され拉致される。

目を覚ますと拘束されており、なんとアーレンを襲った女は彼女の腕と足を切断した。

そこは食人族のグループの根城であり、人を襲ってはその手足を切り取って食べていたのだ。

アーレンは機転を利かせて女を出し抜き、スケートボードに乗ってその場所から脱出する。

水もなく意識を失いかける彼女に、カートを引いている男の影が近づく。

5か月後、アーレンはコンフォートという町で過ごしていた。

砂漠で拾われてからコンフォートに運ばれ、今は義足を手に入れたアーレン。彼女の心には復讐心があった。

感想/レビュー

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あらゆる期待をすり抜ける独自の世界観

前評判通り意味の分かりにくいような作品です。

この作品はバイオレンスアクションでもありませんですし、リベンジものというほどでもなく。

ではカニバリズムタイプのホラーかといえばその要素もそこまで突き抜けてはおらず。

「マッドマックス」のような世紀末ものという意味では舞台はそうですが、しかしポストアポカリプス映画というには静かです。

あらゆるジャンルが入っているというようにも感じましたし、しかしどこにも振り切れていないとも思えるんですよね。

扱いが難しいと思いました。ただ「意味不明だった」と一蹴はできない、変な名残を残す作品です。

とにかく言えることは、ここでスーキー・ウォーターハウスの復讐劇やジェイソン・モモアのバトルアクション、恐ろしいカニバリズムホラーを期待してはいけないことです。

不思議な美しさ

グロめの切断シーンとか、殺人シーンもあるのですが、そういう点はぼやけていたり直接は映らなかったりです。

タイトルとかからバイオレンスを感じるのですが、むしろロマンス?の要素が最後は印象に残りました。

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ほとんどなんの説明もないままに進行していくストーリー。

刑務所らしき場所からの出所ですが、そのまま無法地帯である砂漠へとアーレンは放流される。

ともすれば流刑とも思えるのですが、そこで一般社会ではない狂人のカニバリズムが始まる。

意味がわからないまま、今度はコンフォートという土地へ。

そこも一見すると安全で安らげるように思えますが、実際には神のように君臨し麻薬で人を支配するこっちもこっちでかなりヤバいコミュニティがあるだけです。

語り口は映像で。セリフもほぼなく、見せていくことを重視するスタイルは結構好きです。

移民と隔絶

一応はテキサス州のどこか、おそらくは国境付近であろうという背景設定。

またジェイソン・モモア演じるマイアミマンの使う言語などから、おおよそメキシコの移民たちなども織り交ぜられていると感じます。

アーレンがアメリカ社会で犯罪者として疎まれるなら、マイアミマンは国籍や出自ゆえに追放されたのでしょう。

その筋肉でなぜ?と思うほど、繊細な画が得意なマイアミマン。野蛮だというだけでなく、彼にはそうした芸術性の部分やまた娘への愛という家族性などが付与されています。

アーレンの背景も良く見えてはきませんが、若くして身寄りもなく・・・というのも爪弾き者としての孤独が見えました。

自分の世界を築くこと

マチズモと暴力。金とセックスとドラッグ。

そのどちらにもいたくなくて、おぼろげに荒野をさまよう女と、家族第一でどこまでも走る男。

おそらくマイアミマンはアーレンが誘拐犯と気づいているでしょう。アーレンもバレていることを知っているかも。

ただ、どこ行ってもクソなこの国の中で、とりあえず女の子含めて3人の居場所を形成するラストは、妙な美しさを持っていたと思います。

ヘンテコな映画で意味不明かもしれませんが、圧巻のビジュアルと撮影などふくめても一見の価値はあるのかと思います。

今回は短めなのですが、不思議と魅力のある作品の感想でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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