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「名探偵ピカチュウ」”Pokémon Detective Pikachu”(2019)

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映画レビュー
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「名探偵ピカチュウ」(2019)

  • 監督:ロブ・レターマン
  • 脚本:ダン・ヘルナンデス、ベンジー・サミット、ロブ・レターマン、デレク・コノリー
  • 製作:メアリー・ペアレント、ケイル・ボイター、片上秀長、ドン・ワッゴーマン
  • 製作総指揮:ジョセフ・M・カラッシオロ・Jr、アリ・メンデス、石原恒和、大久保賢司、宮原俊雄、ヒロ・マツオカ、コウジ・ウエダ
  • 音楽:ヘンリー・ジャックマン
  • 撮影:ジョン・マシソン
  • 編集:マーク・サンガー、ジェームズ・トーマス
  • 出演:ジャスティス・スミス、ライアン・レイノルズ、キャスリン・ニュートン、渡辺謙、ビル・ナイ 他

世界的人気を誇るポケットモンスターシリーズがハリウッドで初の実写作品として登場。

監督は「モンスターVSエイリアン」(2010)などを手掛けたロブ・レターマン。

主人公は「ジュラシック・ワールド 炎の王国」(2018)のジャスティス・スミス。またタイトルにもあるピカチュウの声を「デッドプール」(2016)のライアン・レイノルズが演じています。

その他「スリー・ビルボード」のキャスリン・ニュートン、渡辺謙やビル・ナイも参加。

海外版予告が出たときから結構楽しみにしていた作品です。

まず実写でのポケモンというニュースの時は不安しかなかったんですが、予告でのピカチュウ他ポケモンの実写バランスが好きになり、また中身のライアン・レイノルズがおもしろくて。

公開は日本が最速ということで公開日に観てきました。GW連休だったのでかなり混んでいて満員でしたね。

ここはポケモンという不思議な生き物が存在する世界。

子どものころポケモンが大好きだったティムだったが、いまはポケモンを遠ざけ保険会社で働いている。

そんな彼のもとにある日ライムシティ警察から父が事故で死亡したとの連絡が入り、ティムは複雑な気持ちでライムシティへと向かった。

なぜならティムがポケモンを遠ざけ、みんなと違ってパートナーのポケモンを持たないのは、昔息子である自分よりポケモン関連の事件を優先し家へ帰らなかった父のせいだからだ。

ティムは警部と話してから父の家へ行き遺品の整理をするのだが、そこで帽子をかぶったピカチュウに遭遇。しかもティムだけがこのピカチュウの言葉が理解できたのだ。

ピカチュウは父のハリーが実は死んでおらず、何か陰謀に巻き込まれているといい、ティムは嫌々ながら捜査に協力することになる。

ポケモンというと、日本では過ごしてきた中でゲームを遊んだり、アニメや映画を観たり、ハマったことがある人も多いコンテンツかと思います。

年齢がバレそうですが、私はポケットモンスター金・銀がドストライクで、学校の友達と遊んでいた記憶があります。

アニメはミュウツーの逆襲を映画館に連れていってもらいましたし、その後も何作かは映画館で観ました。

今大人になって、ポケットモンスターを実写化すると言われた時にはさほど興味はわかなかったのが事実です。

ただ今作を見終わってみると、主人公も子どもではなく青年で、ポケモンというコンテンツの黎明期に立ち会った人向けなのかなと感じました。

さて、実写にした意味合いという意味では、現実世界の延長、またはもう一つの世界として感じられるからかと思います。

とすると、やはりドット絵そしてアニメであるポケモンたちをどう実写に落とし込むかという点が非常に成功と失敗を左右します。

そして今作は、見事に造形バランスを取っていると思います。

ピカチュウのかわいさもありますが、やたらにリアルにはし過ぎず、造形は結構アニメのままで、その質感面(毛や肌、鱗など)で写実的にしたバランスの取り方が見事だと思います。

瞳の作り方でも、光彩を工夫したりしていわゆる目が違くて気持ち悪いみたいなことにはなっていません。普通に考えれば目が異常にでかいですからね。

そして何よりも、そうしたポケモンが生息している世界の構築が素晴らしい。

オープニングから映る自然の中に暮らす姿に始まり、やはりライム・シティに入るときが最高でした。

人間とかポケモンが共存する世界がスクリーンに広がり、見ているだけでワクワクする。

まずこの点で、ゲームを実写映画にしている部分のルックはとてもいいと思いました。

ポケモンに関してはピカチュウを演じるライアン・レイノルズは十分な魅力を持っています。

デッドプール的なノリでありながら言葉は選び、中身と見た目のギャップとしても笑えます。

中身がおっさんなのにもコメディ以外にしっかり理由があったのは個人的に良かったと思います。

 

ただ、そうしたビジュアル面の完成度は良いものの、CGアニメ的なものを求めるには、映像スペクタクルは微妙でした。

途中のドダイトス?のシーンは迫力こそありますが、もっとポケモンを通しての視覚効果などをふんだんに使ってほしかったですね。

実際のゲームではキモであるバトルというのも、設定上禁止されているからということで、たくさんはありませんし。

また脚本に関してはだいぶ弱いです。

総合的にはどこか使い古された、昔のお話。謎と陰謀、展開まで悪いわけではないですが、フレッシュでもない。

これはある意味で分かりやすい話、つまり子どものころ読んだ童話のようなノスタルジー狙いなのかとも思いますが、個人的にはすこしひねってほしかったです。

特にポケモンに意識を入れ込むという点では、ピカチュウと今回のミュウツーのあり方はもっと対比して見せることもできたはずです。それこそ、心と体の統一や共鳴が勝利の理由になってもいいと思うんです。

いつからポケモンマスターを目指さなくなったのか。

私たちも成長する中でティムと同じく何かをあきらめているでしょう。今作はそれにもう一度近づくようで、でも最終的には親子の再生のお話で。

父と子、強制的に利用されるポケモンと自ら人間に協力するポケモン。要素的にはすごくよく対立構造をとっているんですが、脚本はさいごまでそれらを活かしきることはできなかったと感じます。

ビジュアルの完成度、世界の構築は素晴らしい。スコアに混じる懐かしさのある電子音や、最後のクレジットのノスタルジーなど良いところもたくさんですが、それらをまとめ上げる根幹が抜けてしまっているように感じた作品でした。

実写のポケモンたちはかわいいですし、ライム・シティを観るだけで充分鑑賞の価値はあります。ポケモン好きな方は是非。

感想はこのくらいです。最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。また次の記事で。それでは。

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