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「オデッセイ」”The Martian”(2015)

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映画レビュー
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「オデッセイ」(2015)

  • 監督:リドリー・スコット
  • 脚本:ドリュー・ゴダート
  • 原作:アンディ・ウィアー 「火星の人」
  • 制作:サイモン・キンバーグ、リドリー・スコット、マイケル・シェイファー、マーク・ハッファム、アディタヤ・スード
  • 音楽:ハリー・グレグソン・ウィリアムズ
  • 撮影:ダリウス・ウォルスキー
  • 編集:ピエトロ・スカリア
  • プロダクションデザイン:アーサー・マックス
  • 衣装:ジャンティ・イェーツ
  • 出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、マイケル・ペーニャ、ショーン・ビーン、キウェテル・イジョフォー、クリステン・ウィグ、セバスチャン・スタン 他

アカデミー賞には7部門にノミネート、ゴールデングローブではミュージカル/コメディ部門の作品賞と主演男優賞を受賞している本作。

リドリー・スコット監督によるSFということで期待はしていましたが、「プロメテウス」を考えると、落ち着いたほうがいいかなと思っていました。

しかし、今回は見事に監督のみる世界観が表現されていて、しばらくぶりにまた監督の代表作がひとつ増えたのではないかと感じました。

最新作ということでけっこう人が入っており、今作の特徴である陽気さもあって笑いの絶えない館内でしたね。

火星での有人調査計画に参加していたマーク・ワトニー。

しかし調査中に急激に発達した砂嵐がクルーに接近。全ての作業を中断、放棄し退避せざるをえなくなった。激しい嵐の中、船へと戻ろうとするクルーだったが、吹き飛ばされたアンテナがマークに直撃する。

通信も途絶え反応も検知できず、このままではクルー全員が危険になると判断した船長のルイスは、やむなく帰還指示を出す。

しかし当のマークは奇跡的に生きていた。けがを負った彼はひとまず基地に戻る。次の火星ミッションは4年後。彼はその時までなんとか生き延びねばならないのだ。

宇宙サバイバルと言うと、アルフォンゾ監督の「グラビティ」がありました。あちらとは全く異なるテイストで、コメディ部門での受賞も納得な本作。

ここまで過酷、孤独な条件で楽しく観れる映画ですが、その理由は。主にマット・デイモン演じるマークの気持ちよさにあると思います。こんな人と一緒なら、どこでも頑張れそう。

「GOTG」(2014)よろしく、火星でディスコミュージックを響かせながら、実験、農業、探索、DIY!

本人も常にユーモアを忘れず、前向きな姿勢が観ていて楽しいのです。「火星よ、恐れるがいい。この星で最も偉大な植物学者の力を!」とか「宇宙海賊だぜ!」とか言いセリフも多いです。

彼のナレーションやらは、一人でしゃべっていておかしいと思いきや、しっかり理由付けされていて不自然ではないですね。

自分の記録をとっておくという名目で、コンピュータやカメラに映る彼という形で画面が構成されたり、いったい誰が彼を撮っているのか?という違和感も感じませんでした。

主人公マークに加えて、実は宇宙クルーや地球組も観ていて面白い。クルーメンバーのやり取りもキャラ立ちもしっかりしていると思いますし、地球でのあれやこれも退屈しませんでした。

ここでも、でてくる人物それぞれがいい具合に色分けされているとおもいます。

そういった人がみんなでマークを助けようとするというのが国際協力的にもそして宇宙開発が国でなく人類にとって大切なものだという意味に感じました。

なにやら難しそうな、高度な科学知識で生き残り、そして救い出そうとするんですが、そういった点において置いてけぼりはくらいません。

土に栄養、水をあげてジャガイモを育てよう。加速Uターンで火星へ戻ろう。

計算なんかはスーパーコンピュータでやるような高レベルなものなんでしょうが、私みたいな科学知識のない無知でもこれから何をするのかは非常にわかりやすかったです。道筋はシンプルに伝えてくれるのです。

そしてその過程を映像化するわけですが、そこも素晴らしいです。リドリー・スコット監督のSF世界観というのは、「エイリアン」も「ブレードランナー」も、実在感とか信じられる感覚というのが魅力に感じていました。

今作でもその信用性は高く、腑に落ちないとか違和感はなかったのです。

地平線の広がる火星。砂も岩もどこか地球のそれとは違う感触を持っていて、空も青というにはオレンジがかっていますし、雲も細長い横長の竜巻みたいだったり。

ヘリオスやら宇宙船内の環境は私が特に好きな部分でした。上も下もなく、直角に切り替わる部分もあれば、部屋が半円状だったり。「2001年宇宙の旅」でのあの大車輪型のような感じですかね。映画内の世界だけでも観る価値はあります。

大筋は予想通り生還するお話。

道筋に関しては自分は驚かされました。

最後の最後まで「アイアンマンだぜ!」とかジョークを言うマークの感じの良さ。彼を助けることの決定に意味が一番あるのかと。つまりは宇宙開発の意味です。

技術や資源を人命に優先しない。人を救うために、人の新たな可能性や未来のためにやっている。だからこそ犠牲をだしてはいけない。

金がとか、危険がとか、宇宙を目指すなんて馬鹿げて見えるかもしれません。しかしそれは人類の挑戦です。

マークは事故から生還した男であり、そして火星において生活した最初の地球人、もとい初の火星人”The Martian”になりました。

彼が火星人になれたのは、何も彼が天才だったからではなく、過去に火星へと夢を抱いて飛んで行った人が残してくれたものや、この先の夢を実現しようと努力した地球の人々の助けあってこそです。

オープニングと対になって、火星から地球へと戻るショットに感服でした。

陽気なノリで火星生活、過去も現在も未来にも支えられて生き抜けた。それって地球でも同じですね。宇宙を目指すことが人類に与えてくれる素晴らしさを伝えてくれたと思います。

ということろで感想おしまいです。宇宙を夢見たこどものころを思い出しました。嬉しかった。

それではまた。

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