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「魔女がいっぱい」”The Witches”(2020)

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the-witches-2020-movie 映画レビュー
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「魔女がいっぱい」(2020)

  • 監督:ロバート・ゼメキス
  • 脚本:ギレルモ・デル・トロ、ロバート・ゼメキス、ケニヤ・バリス
  • 原作:ロアルド・ダール「魔女がいっぱい」
  • 製作:ジャック・ラプケ、ギレルモ・デル・トロ、アルフォンソ・キュアロン、ルーク・ケリー
  • 音楽:アラン・シルヴェストリ
  • 撮影:ドン・バージェス
  • 編集:ジェレマイア・オドリスコル
  • 出演:ジャジール・ブルーノ、クリスティン・チェノウェス、オクタヴィア・スペンサー、アン・ハサウェイ、スタンリー・トゥッチ 他

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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや「マリアンヌ」などのロバート・ゼメキス監督が、「チャーリーとチョコレート工場」などで有名なロアルド・ダールの小説を映画化。

ジャジール・ブルーノが主人公を演じ、おばあちゃん役にはオクタヴィア・スペンサー、そして大魔女としてアン・ハサウェイが出演しています。

1990年にもニコラス・ローグ監督が同原作をもとに「ジム・ヘンソンのウッチズ/大魔女をやっつけろ!」を撮っていますね。

リメイクというよりも同原作でもう一度映画化の位置付けでしょうか。

私は90年の作品を観たことがないのでその辺は詳しくありません。

原作も読んだこともなく、ほとんど何も知識のない状態での鑑賞となりました。

コロナウイルスの影響で、北米では劇場公開を取り止めてHBOMaxでの配信になりましたが、日本含めて海外ではその限りではなく、こうして劇場公開を迎えました。

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1960年代のアラバマ。

事故で両親を失った少年は優しいおばあちゃんに迎えられ、悲しみを乗り越え幸せに暮らしている。

しかしある日、手袋をした不思議な女性に出会い、おばあちゃんからそれが魔女であると知らされる。

二人は知り合いのつてでとある高級ホテルに避難するが、なんとそこでは魔女の大集会が開かれていた。

世界中の子どもたちをネズミに変えてしまおうという計画を知った少年は、その企みを阻止すべく奔走する。

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2020年に再度の映画化をする上で、その理由とやりたいことはかなり明確な作品に思えました。

有名な児童文学のスクリーン投影には、これまで描かれてこなかった属性、グループを主軸に置く目的が見えます。

そもそも1960年代でアラバマが舞台で、主人公一行が黒人であることからも明白に思えますね。

児童文学の中心ではなく登場も少ないであろう黒人家族を、センターに持ってくることは、文化の進展に意味がありそうです。

ぼうやの「そのホテルは安全なの?」に対してのおばあちゃんの「大丈夫。金持ちの白人しかいないんだから。」があまりに皮肉すぎておもしろい。(「ゲット・アウト」からして一番怖い奴らです。)

ただ今作はその使用人たちや脇役、透明人間のようだった黒人グループにスポットライトを当てることでは少々物足りない気もします。

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まず主人公含めてネズミに変身してしまうこと。

もちろん白人の子どももネズミになり、そこに外見の差違が存在しなくなることも仕掛けでしょうが、人種を自ら捨てていくわけです。

人間であった状態でのホテル側の差別的な態度も手ぬるい感じもしますし、主軸におくことそれ自体以外にあまり意味合いを見いだせなかったです。

帰結としては金持ち白人の象徴的なホテルで、富の再分配を行いますけれど、使用人たちに対してすごくひどい扱いがやたら出ていることもなく、特段カタルシスはありません。

魔女にしても白人の象徴って訳でもないですからね。

で、ファンタジックな冒険ものとしてはそこそこ普通に楽しめるものではないかと思います。

ネズミになってのホテル内の大冒険は「スチュワート・リトル」を思い出すワクワクと躍動に満ちていますしね。

また魔女に関する造形面でのホラー要素もあります。

デル・トロが製作にいますけど、異形の造形は独特かもしれないです。

綺麗な衣装や一見美しいところに、異形を同時存在させる、融合させるところがユニークさかもしれません。

アン・ハサウェイもそのルックを活かしていますが、彼女はやり過ぎギリギリのラインでのコミカルさがあります。

なににしてもあの不思議な訛りはよくやりますね。

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ダールの原作が分からないためにはっきりと明言できませんが、最終的な解決をもたらさない点は、結構苦味のある作品といっていいと思います。

ぼうや含めてみんなが人間に戻ることはなくて。

目の前の現実への順応の早さがスゴいですが、それを受け止めながら前を見て進んでいくのは人生です。

どうしようもない悪がいるとか、不可逆的で残酷なことがあるとか。

取り戻せない感覚が持ち味でしょう。

全体的なテイストは、ホラー、コメディそしてファンタジーが、互いに刺激しているのではないかと思います。

むしろお互いの邪魔をしないように避けあっている。

なので相乗効果的な爆発は感じませんが、邪魔をしていないぶん観やすくはあるかと思います。

観客層を広くとったファンタジー映画として一定の楽しさがあります。

カップル、家族で鑑賞に良いでしょう。

今回の感想は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それではまた次の記事で。

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