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「ファイティング・ファミリー」”Fighting with my Family”(2019)

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fighting with my family-2019-movie 映画レビュー
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「ファイティング・ファミリー」(2019)

  • 監督:スティーヴン・マーチャント
  • 脚本:スティーヴン・マーチャント
  • 原作:マックス・フィッシャー『The Wrestlers: Fighting with My Family』
  • 製作:マイケル・J・ルイジ、ケヴィン・ミッシャー
  • 音楽:ヴィク・シャルマ
  • 撮影:レミ・アデファラシン
  • 編集:ナンシー・リチャードソン
  • 出演:フローレンス・ピュー、ジャック・ロウデン、ニック・フロスト、レナ・ヘディ、ヴィンス・ヴォーン、ドウェイン・ジョンソン 他

fighting with my family-2019-movie

実在の女子プロレスラーのサラヤ・ジェイド・ベヴィスが、NXTからWWE出場とチャンピオンになるまでを描く伝記ドラマ映画。

監督はスティーヴン・マーチャント。「ローガン」ではキャリバンを演じていた彼ですね。今作にも俳優としても出ています。

「ミッドサマー」グレタ・ガーウィグ新作の「若草物語」出演の期待の新鋭フローレンス・ピューが主演をつとめます。

また兄役には「ダンケルク」などのジャック・ロウデン、父はニック・フロスト、母はレナ・ヘディがそれぞれ演じています。

加えて、NXTコーチまたプロモーターとしてヴィンス・ヴォーン、今や映画スターでもある元WWEチャンピオンのドウェイン・ジョンソンも出るなど豪華な出演陣となっています。

日比谷のTOHOで朝の回を観てきたのですが、結構人は入っていましたね。年齢層が高く若い人が来てないのが残念ですが。

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イギリスの田舎町で一家揃ってプロレスラーをしているサラヤ。

彼女は両親の薦めで、同じくプロレスラーの兄ザックとプロレスリングの殿堂WWEのトライアウトに挑むことになる。

選考の結果、サラヤは見事合格したが、兄ザックは選ばれなかった。

二人揃ってのWWE挑戦に未練の残るサラヤであったが、ザックの後押しもあり単身アメリカへ渡りトレーニングに参加することに。

しかし、馴染めない環境や遠い家族の存在と孤独に、次第にサラヤは追い込まれていく。

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プロレスラー映画というとダーレン・アロノフスキーの「レスラー」が思い浮かびますが、ハートは同じでありながら、こちらは快活。

事実に基づく作品でありますが、かなり王道な展開です。それは全てに重なりシンクロすることになりますね。

全体にはコメディにまとまっていて、観やすくありますが、アクセスの良さは全てにいえるかと。

そもそものプロレスの立ち位置とか現状とか、WWEって何とか。あのぶっ飛び両親との食事会の中で、コメディ交じりにキレイに説明していってしまうのは感心です。

説明とはいえ話はしっかり進みますし、プロレスについても両親や親子関係についても、そして一般の人から見たときの反応まであの中に凝縮してしまう手腕の良さ。素晴らしいです。

最終的にプロレスというものがくれるもの、サラヤの行き着く先など、現実の残酷な面を含ませておくのも帰結へ向けての準備としてしっかり機能していますし。

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そしてスポーツ映画としてのルックも、俳優陣含めてのフィジカルのあるアクションがあります。

試合も良かったですが、日々の積み重ねで観客を盛り上げるため努力する練習シーンがすごく良かったです。互いの信頼関係を築いていくというのも、まるでチーム、そして家族になっていくように温かい。

正直キャラクターはみんな素敵。特に主演を務めたフローレンス・ピューは見事ですね。彼女は何にでもなれるんじゃないんでしょうかね。

プロレス一筋でそれ以外にちょっと臆病だったり、芯から変わり者に見えました。

ニック・フロストもバカワイイお父さんでおいしい役で、そして実は葛藤が真摯で嘘がなく刺さってくる、兄のジャック・ロウデンも良かったです。

彼のドラマ部分が個人的には一番来ましたね。

どうしても自分では得られない、でも自分にはそれしかないものがある。

妹を想えば・・・でもやはり一人のプロレスラーとしては悔しい。車での電話シーンは胸が痛かった。

それでも今作は、彼のような人もその役割をもって、他の人を輝かせるという輝き方があると示してくれます。

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どうにか成功しようともがくサラヤなわけですが、ここでわれらがロック様の言葉が響いてきます。

「自分を先に出せ。」

サラヤでありブリタニーでありそしてペイジであり。どれもが自分だった。

何かになりきったり、演じたり。そんな事せずに、自分自身としてぶつかっていく。それで輝けるのがプロレスの世界。

だれでも受け入れてくれる。

前科者だろうが薬中だろうが、目が見えなかろうが、フリークだろうが関係ない。

大事なのは正真正銘の自分で、偽りないままぶつかること。

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プロレスは脚色されている。それは早くからこの作品で言及されます。

この映画だってそうです。出来レースです。脚本があって結末も初めから決まってる。

それでもプロレスを観戦する観客と同じく、胸に熱いものがこみ上げ、思わずスクリーンの中のペイジを応援し涙するのはなぜかって?

それは、その嘘偽りの脚色された物語の中心に、本物の心を持って挑戦する人がいるからです。その真っ直ぐさにみんなは歓声を上げるんです。

フィクションを愛し救われる、居場所をもらう全ての人にこの作品は捧げられています。

私は今作を全肯定します。

フローレンス・ピュー、ジャック・ロウデン、もうすべてのみんなが愛しい。素敵な作品を観ることができました。

これは是非映画館で観てほしいです。色々大作も公開されていますけれど、おすすめです。

感想はこのくらいになります。さいごまでどうもありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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