「フランクおじさん」”Uncle Frank”(2020)

「フランクおじさん」(2020)

  • 監督:アラン・ボール
  • 脚本:アラン・ボール
  • 製作:アラン・ボール、ビル・ブロック、マイケル・コスティガン、ジェイ・ヴァン・ホイ、ステファニー・モイラー、ピーター・マクディッシ
  • 製作総指揮:ボブ・オシャー、アンドリュー・ゴロヴ、クリストファー・トリカリコ、ジョシュ・ピーターズ、アイザック・エリクソン
  • 音楽:ネイサン・バー
  • 撮影:カリッド・モタセブ
  • 編集:ジョナサン・アルバーツ
  • 出演:ソフィア・リリス、ポール・ベタニー、ピーター・マクディッシ、スティーブ・ザーン、ジュディ・グリア、マーゴ・マーティンデイル 他

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「アメリカン・ビューティー」の脚本を手掛けたアラン・ボールが、初めての長編映画監督を務める作品。1970年代のアメリカを舞台に、田舎から都会へ進学した少女と、彼女の叔父さんのある秘密をめぐるドラマ。

主人公は「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり」などのソフィア・リリス。またタイトルのフランクおじさんを「アベンジャーズ」シリーズのポール・ベタニーがん演じます。

そのほか、ピーター・マクディッシ、スティーブ・ザーン、ジュディ・グリア、マーゴ・マーティンデイルらが出演しています。

アラン・ボールは「アメリカン・ビューティー」でアカデミー脚本賞を受賞していますが、それ以降映画に携わっていないようですね。ほとんどはTVシリーズの脚本と監督をしていたようです。

それが今回映画監督を務めるとのことになり、ちょっと気になっていた作品です。アマゾンでの製作になっており、劇場公開ではなくてプライム・ビデオでの配信公開になっていました。

マイリストに入れっぱなしでしたがやっと鑑賞したので感想を残します。

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1969年。アメリカ南部の一家ではおじいさんの誕生日会が開かれている。孫娘のベティは読書が好きで頭がいいが、なんとなく家族の中では居心地が悪かった。

そんな中で彼女が一番好きなのは、叔父のフランクだった。

ニューヨークで大学教授をしている彼は、知的でユーモアがあり、ベティの将来のことを聞いたりとまともに扱ってくれるのだ。

ただ、おじいちゃんは息子であるフランクを邪険に扱い、ベティはそれが心苦しかった。

数年後、ベティはニューヨークの大学へ進学、フランクおじさんと再会する。

しかしもぐりこんだ教員たちのパーティで、ウォーリーという男性に会い、彼こそがフランクおじさんの恋人だと知るのだった。

叔父が同性愛者であっても、慕う人に変わりはなかった。しかし、おじいさんが亡くなったことを受けて、叔父さんは家に帰ることになる。

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アラン・ボール監督によるあめりかの一家を描くドラマは、すごく個人的に感じる親密さを持っていて、間違いなくポール・ベタニーの演技の力によるところが大きいと感じます。

フランクおじさんの物語としての出発と帰結は、わかりきっているようではありますが、ただそのドラマチックさと演技によりぐっと引き込まれていくものでした。

タイトルにもあるように主役はフランクおじさんといっていいのかもしれません。

しかしだからこそ、プロタゴニストとして添えられているソフィア・リリス演じるベス(ベティ)側の薄さにはどうしても疑問を感じるといわざるを得ないです。

今作の特にフランクおじさんの話は、アラン・ボール監督の父親をモデルにしているところが多く、また南部の一家での暮らしと描写についても、監督自身の経験から抜粋した点が多いとのこと。

そもそも時代設定を69~74年にしている点も、偏見を色濃くするという点だけでは疑問があるのですが、なるほど個人的な作品であり、想い出ともなればそうした時代背景を置く理由もわかります。

この人間ドラマが現代にも通じている点は理解するとして、個人的には惜しい作品です。

とにかくベスの描きこみが足りていない気がするのです。

好きな小説家の話で女性作家だけを並べ、田舎では結婚し子どもをもうけることが女性の役目。

ベスには自己実現のほかにフェミニズムのテイストもちらりと入っていますが、あまり深くは彫り込みません。

彼女自身がそうした先時代性を持つ女性として目立つほどでもなく、フランクおじさんと同じようなアウトサイダーとしての葛藤もあまり見えてきません。

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本当に濃厚に描かれているのは、真の主人公たるフランクおじさんであるので、ソフィア・リリスは良い演技をしていても、どこか添えてある程度にしか思えないのが残念でした。

そのフランクの話は輝いています。

ポール・ベタニーの力が非常に大きいことは何度も言いたいですね。

今作には時折非常に感情的なシーンが多くありますが、セリフによらないところで感情を爆発させる、表情や所作でフランクの苦しみや怒りと恥を見せつけるベタニーには圧倒されてしまいます。

フランクがそうした言葉で何かするタイプではないこともあり、また言葉にならない苦しみというものそれ自体とも言えて非常に良かったです。

作品の行きつく先そのものは予想できているところでしょうが、こうしたドラマチックな部分が機能しているのでけん引していきます。

偽りの恋人を紹介しなければいけないことや、どうしても相容れず理解もされない世界。そして紐解かれていくフランクの過去。

ストレートにしていけばより純化されていたでしょうけれど、ウォーリー側の宗教の話やら若干のフェミニズムなどちょっと余計な話が入り混乱とわずらわしさがあります。

ソフィア・リリスを迎えながらも、ベスとしての課題、命題も明確ではなく、持て余している印象も強くあります。

感情を巻き込むだけの親密さを持っている点と演技が光っているだけでも鑑賞は進められる一本と思います。

Amazonプライムでの配信ではありますが、興味がある方はチェックを。

今回は短めの感想となります。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

それではまた。

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