「何がジェーンに起こったか?」(1962)

  • 監督:ロバート・アルドリッチ
  • 脚本:ルーカス・ヘラ―
  • 原作:ヘンリー・ファレル
  • 製作:ロバート・アルドリッチ
  • 製作総指揮:ケネス・ハイマン
  • 音楽:フランク・デ・ヴォール
  • 撮影:アーネスト・ホーラー
  • 編集:マイケル・ルチアーノ
  • 美術:ウィリアム・グラスゴー
  • 衣装:ノーマ・コック
  • 出演:ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、ヴィクター・ブオノ 他

ロバート・アルドリッチ監督によるヘンリー・ファレル原作小説の映画化。

主演である姉妹を演じるのは、なんと大スターであるベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォード。

映画史的にも大きな共演となったこの大女優のアンサンブルはかなり有名で、今作でベティはアカデミー賞にノミネート。

また60年代になっての白黒撮影にも強烈な印象があり、撮影賞もノミネートしています。色々ノミネートはしたものの、獲得したのは衣装賞のみでしたね。

初めて見たときから本当におもしろくかつ怖くて切ない印象が強く、ブルーレイも輸入してしまいました。

大人気の子役であったジェーン・ハドソンは、ベイビー・ジェーンの名で親しまれていた。しかし彼女の姉のブランチは、光のあたる妹とは対照的に、影の中で妹を妬ましく思っていた。

時は流れ、ブランチは大女優へと出世していた。そしてそれとは対照的に、ジェーンの方は名声も失せ、酒びたりで落ちぶれた生活をしていたのだ。

完全に立場の逆転した姉妹に、大きな事件が起きる。

ブランチが大けがをしたのだ。報道によれば、ジェーンによって轢き殺されかけたのだという。ブランチは怪我で車いす生活となり、ジェーンは責任を取るように姉の世話をすることになった。

舞台設定をみてみると、おそらくサイコスリラー的な作品に思えるのですが、今作は正真正銘のホラー映画。化け物ですよw この姉妹。

落ちぶれた女優が館でひっそり暮らすとか、再起を信じて狂ったような振る舞いをするとか、ビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」(1950)にかなり通じるところがあります。

あちらではグロリア・スワンソンが狂気の目で恐ろしい事になってましたが、こちらのベティ・デイヴィスだって負けてません。

彼女自身の案でなされた真っ白なメイクにドギツイ赤い口紅。

白黒のコントラストゆえに闇に浮かぶ顔やモノトーンの画面が恐ろしい。衣装も年に似合わないフリフリで、痛い感じすらあります。

そういえば、ポスターなんかだと確かに着色されてはいるんですが、映画内だと何色かわからないのに勝手に真っ赤な口紅だと思ってました。なんででしょうかね・・・?

話としては往年の大スターのベティとジョーンがキャリアの早いころの映像とかも交えつつ、女優の過酷な現実を踏まえて激しいバトルを繰り広げるわけですね。

この共演ってだけで映画ファンとして面白い物でしょう。

終盤にかけてずっと妹のジェーンがブランチをいじめまくるのですが、ベティの名演もあって怖くて怖くてw

家の中は閉塞感ある捉え方をされるし、檻のように窓の柵が何度も出てくるし。ブランチが悲鳴を上げながら部屋の中を車いすでぐるぐる回るシーンなんて、どこにも逃げられず絶望する形がよく映されていると思いました。

ジェーンは過去の栄光に囚われているのですけど、同時にかなり幼稚な部分があって余計に恐ろしい人物になっていますね。

大人気だったのが子供の頃というのもあるのでしょうけど、仕返しや高まったときの感情表現が非常に子供じみていて、容姿的にはかかなり老け込んでいるからますます化け物感がとんでもないのです。ベティはスゴイ女優です。

鏡を見つめる様や、昔の自分の歌を少し音程を外しながら歌うシーンは、怖さと同時になにやら哀れさすら感じますね。人気を利用されて、済んだら捨てられたようなものですから。人形と同じく、ある程度遊んだら、物置に放り込まれるような。

かわいそうな人ばかりですね、この映画の登場人物って。何かしらに囚われたまま、その住処から色々な理由で抜け出そうとしているのです。

物語は完全に観客を掴み、終盤は本当に終盤まで、ブランチの逃亡計画というような形です。しかし、この作品は素晴らしいモンスター映画としてさらにツイストが入ってきますね。

タイトル、「何がジェーンに起こったか?」の前に繰り出されたあの事故のシークエンス。

曖昧だったあのシーンは言葉で説明されており、観客は姉妹の関係からもずっと信じつづけていたのですが、最後に真相を知ることに。

散々恐ろしいと思っていたジェーンに対し非常に申し訳なく思い、そしてブランチに対しなんと復讐心の強い悪女だと怒りさえ覚えるのです。子供の頃のシーンで「絶対に忘れないわ。」と言うブランチのシーンがこだまするでしょう。

絶望的な終わり方の作品なのですが、それでも私としては少し切ない気持ちになります。

子供の頃、わがまま放題のジェーンはアイスを買ってくれるように父にわめきますが、「ブランチの分もね。」と言っていましたね。

そして最後にもう一度アイスが出てきます。ここでジェーンは2人分買ってくるんですよ。そこに込められた思いはどう受けるか迷いますが、私は姉妹の愛が残っていると思いたい。

散々に恨みつづけ、それが原因で姉妹はお互い人生を無駄にしました。

今作はアルドリッチ監督によるホラーであり、子役からハリウッドなどの華やかさの影を映すものでもあります。もしもジェーンに何も起きていなかったら?ブランチとジェーンは別の人生を歩んでいたのでしょうか・・・

再び脚光を浴びたと勘違いし、浜辺で踊るジェーンはまさしく「サンセット大通り」のラストの階段から降りていくノーマにそっくりですが、今作には互いに傷付け合ってしまった姉妹の哀しさも盛り込まれていると感じました。

アルドリッチ監督による映画史に残る姉妹映画。是非とも一度見てみてほしいものです。それでは、また。

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