「ケイト」(2021)
- 監督:セドリック・ニコラス=トロイアン
- 脚本:ウマイア・アレム
- 製作:デヴィッド・リーチ、スコット・モーガン、ケリー・マコーミック、ブライアン・アンケレス
- 音楽:ネイサン・バー
- 撮影:ライル・ヴィンセント
- 編集:サンドラ・モンティエル、エリザベット・ロナルドッティア
- 出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ミク・マルティノ、ウディ・ハレルソン、浅野忠信、國村隼、MIYABI 他
作品概要
日本を舞台に、毒を盛られた余命わずかな暗殺者を「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」などのメアリー・エリザベス・ウィンステッドが演じるバイオレンスアクション。
監督はスノーホワイト/氷の王国」などのセドリック・ニコラス=トロイアン。今作で長編としては第2作品目の監督作になります。
主人公ケイトが旅路を共にする少女をミク・マルティノが演じます。彼女は映画初出演で、これまではTVアニメでの声優をしていたようです。
また、今年2021年は「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」に出演も決まっている「スリー・ビルボード」などのウディ・ハレルソンが主人公マネジメント役で出演。
日本のヤクザ役として「コクソン」などの國村隼、「マイティ・ソー」シリーズの浅野忠信、また歌手でギタリストのMIYABIらが出演。
製作はNETFLIXのため、劇場公開ではなく配信による公開になっています。
正直全く知らなかったのですがネットでの鑑賞報告がたくさん上がってきたので割とコンパクトな時間ということもあって観てみました。
~あらすじ~
幼少期から暗殺者として訓練され、数々の仕事をこなしてきたケイト。
彼女は日本のヤクザの頭を消す仕事のために大阪にいた。しかし、現場に子どもがいたことで任務の中止を求めるも強行命令が下る。
結果としてターゲットを仕損じ、次のチャンスとして彼女は東京へ移動した。
しかしその任務で急に体調を崩したケイトは、事故を起こして病院に運び込まれた。そこで彼女は強烈な放射性物質によりあと24時間ほどしか命がないと言われる。
ケイトは自分に毒を持った者が何者なのか突き止め、その目的を知り復讐をするために、東京を駆け回ることになった。
ヤクザが絡んでいるとにらむケイトはまず、頭の娘を誘拐して切り札としようと、アニという少女を探し始める。
感想/レビュー
今作は時間制限のある作品で、その余命というタイムリミットを持つ殺し屋が、一人の裏社会と表社会の瀬戸際にいる少女を救い、救われていくというプロットそのものは、かつて何度も繰り返されてきたものです。
その話自体には特に新鮮味はありませんし、たとえ主人公を女性としてもだからと言ってのシスターフッドのようなものや、男性による支配というものへのカウンターとしてのフェミニズムなどはありません。
割とまっすぐなB級アクション映画ではあります。
ではそのスタイルや見せ方についてですが、挑戦は見て取れます。一部のシーンではハイライトとなるようなものも。
まず東京が舞台ということで、せっかく日本舞台の海外映画がきたのでそこを見ましょうか。まあなんというかブレラン入ってるような、やはりトンデモ日本感はほんのりとあります。
なんでこうもディストピアなのか。和が今の日本にはないレベルであるのですが、同時にネオンライトがギラツキあまりに治安が悪い。
思ってたよりは落ち着いてはいるのですが、楽曲とか含めてちょっと盛り上げるためか過剰になっていますね。
どことなく建物のつくりとかから撮影現場の国が異なる点が見えてしまうのはしょうがないところですが、やはり自分の母国が舞台になると差異ってかなり浮き上がってくるものだなと思います。
まあ、ここは殺し屋とヤクザのいるネオジャパンみたいなものだと思いましょう。
そんな中でボロボロになりながらもカッコいいのが主演のメアリー・エリザベス・ウィンステッドです。「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」では同じく暗殺者であるハントレスを演じ、強い印象を残していた彼女。
スピンオフも欲しいという声がありましたが、今作でアクションスターの道を模索しているでしょう。
彼女自身今作に向けてのトレーニングも積んだのでしょう。ただ実際のところハントレスの時も思ったのですが、そこまですごく動けるわけではないかなとも思います。
実践的な動きをしながらではあるものの少し弱い感じ。それでも彼女のスタイルの良さとかが画面映えするのだと思います。クールビューティーですね。
アクションの演出に関してはやはり序盤の屋敷内での戦いに関してはトレードマークになりえるものだと思いますよ。
モノトーンに色調が調整された和室の中で、ヤクザとケイトの激しい攻防。
血しぶきがこれでもかと目立つようなカラーリングもありますし、喉から入り鼻を裂いて突き出すナイフなどのバイオレンスなビジュアルも強い印象を残します。
全編にわたってですが、カメラワークもアクションに連動する形でのカメラそのものの動きと展開が配されています。俯瞰だったりのショットも入れ込まれていますね。
いろいろと朝鮮さや新しい画を見せていこうという姿勢が感じ取れるものでした。
まあそれらも話が進むごとにやや落ち着いていってしまうのはもったいないなと思います。
話自体は本当に予想できるし型にはまっています。だからこそ必要だったのは、アクションではなくて世界観だったかもしれません。
このディストピア日本、もしくは殺し屋の世界とかヤクザの世界にもう少し深みを見れれば…
動きにレベルの高さを付与することも大切ですが、このタイムリミット付きの世界においてケイトを応援し運命を共に見届けたいと思わせるための結び付けが必要だと思います。
ケイトの死にアニとともに嘆いたり、アニの安全と裏世界からの解放に救われていく、そんなカタルシスがかけていて惜しいところです。
グラフィックノベルのような絵作りとか一部の印象的アクションシークエンス、メアリー・エリザベス・ウィンステッドのルックなど楽しめるところはあると思いますので、興味がある方はNETFLIXでチェックしてみましょう。
というところで短めですが感想は以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた。
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