「24時間ずっとLOVE」(2018)
作品概要
- 監督:ミゲル・アルテタ
- 脚本:ミゲル・アルテタ、アリア・ショウカット
- 製作:メル・エスリン、ナタリー・カサビアン
- 製作総指揮:ミゲル・アルテタ、アリア・ショウカット、マーク・デュプラス、ジェイ・デュプラス
- 音楽::ケイトリン・オーレリア・スミス
- 撮影:ヒラリー・スペラ
- 編集:クリス・ドンロン
- 出演:アリア・ショウカット、ライア・コスタ、メイ・ホイットマン、ホン・チャウ 他
「グッド・ガール」などのミゲル・アルテタ監督が、運命の人と思って出会ったカップルの24時間をずっと一緒に過ごし互いを知るというチャレンジを描いたロマンスドラマ。
主演は「20センチュリー・ウーマン」などのアリア・ショウカット、「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」などのライア・コスタ。
作品はアメリカでは2018年に公開されていますが、日本では劇場公開にはならず、配信公開になっています。
私はNETFLIXにあったのでそちらを鑑賞しました。アルテタ監督の過去作も多分見たことないと思うのであまり前情報もなく。
休日に時間がちょうどよかったのもあってお勧めに出てきたので観た感じです。
~あらすじ~
役者として成功を目指すナイーマ。
一生懸命に励む彼女だが、撮影現場では自分からの提案を否定されなかなかキャリアもうまくいっていない。
彼女は友人とクラブに遊びに行き、ステージで歌を披露したセルジオと出会う。
一緒にダンスした2人は意気投合し、そのままセルジオの家で夜を過ごした。
二人とも今までの恋愛相手は浮気したり不誠実だったこともあって、人と付き合うことに少し不安を抱えていた。
セルジオはそこで24時間のカップルチャレンジをやらないかと持ち掛ける。それは24時間の間ずっと一緒に過ごし、1時間に1回はセックスするというもの。
はじめは提案に驚き断ったナイーマだったが、思い直してセルジオと一緒に24時間を過ごすことに。
この片時も離れない二人の密着が、それぞれの建前を取り除き自分をさらけ出して素直になれると思ったのだ。
しかし、いろいろな思いや過去を話していくが、自分をありのままに見せるということはすごく難しいことだった。
感想/レビュー
カップルの実験を通して、主人公がほんの少しだけ自分を開き見つめ直す。
プロットこそよくあるロマンス映画のそれだと感じます。
着地については別段驚くことはありませんでした。
よくある話を実験的アプローチで撮影
しかし話の過程と、そもそもこの作品を撮っていく流れはかなりユニークに感じます。
主演を務めるアリア・ショウカットは今作で脚本を書いていますが、はじめは同じ設定で男女のカップルを描こうとしたらしいです。
まあオーディションなどして結局はセルジオ役に決まったライア・コスタの素晴らしさとハマり具合に魅せられ、同性のカップルに。
個人的にはそれによって女性に関わる生々しい話までもが含まれることになったためプラスに働いていると感じます。
ここでまずユニークですが、今作の撮影は10日のみ、しかも24時間の約束では本当に24時間を一緒に過ごして撮影。
眠気も疲れも俳優自身から出ているそうです。
また全編にわたってセリフは即興、アドリブになっているとのこと。
なんとなくこの映画撮影自体が実験にも感じますね。
主演二人の相性の良さ
突き詰めて進み続けた先に何が見えてくるのか?
濃縮された10年と言われるこの24時間のチャレンジ。
アドリブだったりと体当たりなこのドラマの撮影において、主演のアリア・ショウカットとライア・コスタの二人は良いケミストリーを見せていると思いました。
いい意味で等身大というか。
どちらかがどちらかの救い手ってわけでもなくて、欠けていて不完全で、良い面もあれば観ていて結構面倒なところもあったり。
お互いに母との関係性に軋轢があるというのが見えてきますけれど、その部分への向き合い方についても割と生々しいです。
自分を許すところから
ナイーマは母とうまくいかず、というか恨んでいる節すらある。
そこで距離を置いてるように思いつつも、(これは彼女自身自覚しているでしょうが)父が与えた良い不動産に住んでいます。
結局口ではいろいろ言いつつも、その甘えがある。ここが個人的に絶妙でした。
完璧に自立していて自分だけで生きてて、飾ることもなく生きている人間なんていないでしょうし。
ナイーマが自分でその点をわかっていて、親を許せば終わるけれど許せなくて。
そんな自分すらも許せない。
だからこそここまで自分をさらけ出すことができないんでしょう。
何か悪いものがいるわけではなくて、自分自身にも非があるというか。
セルジオに関しても、ちょっと踏み込みが強いとか束縛的というか。
ナイーマにすべてさらけ出してほしいというのも分かりますが、自分で相手をコントロールしようとしがちな重さがリアルでしたね。
もう少し掘り込みが欲しかった
といったものの、短い時間の中で女性二人の濃厚な時間を使った実験映画として、昇華していった先は物足りなさがあります。
最初に書いた通り、オチはありきたりに思います。
まずは今の自分を悪いところ含めて認めるとか、最後にナイーマにとっては敬遠していた犬を受け入れてみるところとか。
挑戦的な手法で撮った割には、プロットにはあまり大胆さがなく掘り込みも浅いなというのが正直なところです。
もちろんナイーマにとっての最初のステップというのが作品のラストになるのでしょうがないですが、個人的な親密さを感じるにはまだ距離もありベールにも包まれている気がして。
せめて観客とナイーマだけは、隔たりなく共感しているといいなと思ってしまったり。
少し惜しい作品でした。
感想はこのくらいです。配信では未公開作品とか本国でも小さめの作品が見れるのは良いところですね。興味があればどうぞ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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