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「ブルービートル」”Blue Beetle”(2023)

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「ブルービートル」(2023)

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作品解説

  • 監督:アンヘル・マヌエル・ソト
  • 製作:ジョン・リカード、ゼブ・フォアマン
  • 製作総指揮:ウォルター・ハマダ、ゲイレン・ベイスマン、ギャレット・グラント
  • 脚本:ギャレス・ダネット=アルコセル
  • 撮影:パベウ・ポゴジェルスキ
  • 美術:ジョン・ビリントン
  • 衣装:マイェス・C・ルベオ
  • 編集:クレイグ・アルパート
  • 音楽:ボビー・クルリック
  • 出演:ショロ・マリデュエニャ、ブルーナ・マルケジーニ、スーザン・サランドン、ジョージ・ロペス、ラオール・マックス・トゥルヒージョ 他

DCコミックスのスーパーヒーロー「ブルービートル」を映画化した作品で、古代異星人の兵器「スカラベ」に寄生されたヒーロー、ブルービートルの誕生と成長を描いたアクション映画。

ドラマ「コブラ会」シリーズで注目を集めた若手俳優ショロ・マリデュエニャが主演を務め、ブラジル出身のブルーナ・マルケジーニがヒロインを演じます。

また名優スーザン・サランドンや人気コメディアンのジョージ・ロペスも出演しています。

ちなみに作品は日本では配信公開のみになっています。北米では劇場公開をして、首位を取ったりもしたのですが全体には興収は伸び悩み、いわゆる失敗に終わる結果に。この背景にはそもそものヒーロー映画への疲弊もありますが、俳優と脚本家のWストライキがあったりと向かい風の中での公開だったこともあるでしょう。

結構遅れてしまいましたが、ネトフリに配信が来ていたので初めて鑑賞。ちなみにブルービートルについては原作設定他なにも知りません。

「ブルービートル」のワーナー公式ページはこちら

~あらすじ~

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大学を卒業したばかりの青年ハイメ・レイエス。彼は希望を胸に故郷パルメラシティへ戻り、家族のために職探しを始める。

しかし思うように仕事は見つからず、そんな時に偶然パルメラシティの都市開発を進めている外国の大企業コード社の女性ジェニーと出会うことに。

ジェニーに仕事の紹介を頼もうとコード社を訪れた際、彼女から研究中の資産を預かるように言われ、それをもって家に帰ることになった。

しかしその預け物は、エイリアンのバイオテクノロジーが施された古代の遺物「スカラベ」出会った。

スカラベに共生宿主として選ばれたハイメは、驚異的で予測不能な力を持つアーマースーツを授かり、最強のスーパーヒーロー「ブルービートル」へと変身。

一方コード社の会長はその技術を破壊兵器に利用すべく動いており、ビートルの力を発現させたハイメを狙っていた。

感想レビュー/考察

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ラテン系のスーパーヒーロー初実写映画

様々なスーパーヒーロー映画がつくられていく中で、オリジンが世界各地に広くなって実写映画も増えています。

「ブラックパンサー」はアフリカ、「シャン・チー」は中国であったりと、幅広い人種や国を背景に超人が活躍する時代。ポリコレだとか言われている面もありますが、まあ原作コミックがそうなんだからね。

そして今回は、「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」でもフューチャーされた南米です。一応DCのユニバース内では架空の都市パルメラになっていますが、メキシコやグアテマラなどの南米が舞台で、非常にラテンの風合いの強い作品になっていることは間違いありません。

軽いノリと王道ストーリーで市民側のを描く

そのラテン感は好き嫌いこそ分かれますが、作品全体がコメディ寄りになっていることにも繋がります。

非常に軽くて、そしてひょうきんな登場人物が多い。テイスト的には「アントマン」とかに近いものを感じます。小さな一般市民側のコミュニティが軸にありますし、何よりも家族を描いているので。

ストーリー自体は王道。

突然スーパーパワーを手に入れ困惑する主人公が、家族を守るためにその力を使いこなしていくもの。

変身してすぐには全くと言っていいほどブルービートルの力を操れなかったハイメですが、最初の戦闘ではスカラベ側のAI的なものに任せて善戦。

そして最終決戦では自らの意思により完全に力を操って勝利を収めるという胸熱展開が用意されています。

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追い込まれた家族

ドタバタとしてコミカルですが、うまくまとめ上げているのは家族にフォーカスしたからでしょう。ほんとに正直言うと、また量産型で他作品との繋がりを渇望したヒーロー映画だと勝手に思っていました。

しかし観るほどに楽しくそして1つの作品として、ヒーローオリジンとしていい作品だと思えました。

ハイメも家族もすごく楽観的。ですので重苦しくはなりませんが、その影にはジェントリフィケーションによって住む場所を奪われそうになっている市民が描かれています。

物価は高騰、さらに家賃も上げられ、うまく仕事にもありつけない一家はかなりの経済的な危機になるのです。

ふざけあってはいるけれど、おばあちゃんから両親、そしてハイメまでの3世代が今まさに危機を迎えていて、作品を観ていて自分たちと同じようにそこに生活があるからこそ気に掛けることができます。

結局は居場所が安全に確保されているとかではなく、弱い立場にいるものが奮闘する話なんですよね。またブルービートルとしてまだ未熟なために、家族みんなで協力して困難を乗り越えていくのも良いところでしょう。

南米の傷跡

一方、もっと重苦しいドラマも根底には敷かれています。欧米の大企業によるジェントリフィケーションは残酷ですが、そもそも祖国を傷つけるのはこれが初めてではないのです。

それは今作のヴィランであるカラパックスに込められていました。

彼は人間型の兵器と言っていい存在で、サイボーグの身体を使ってコード社のためにハイメと家族を狙います。殺戮マシーンのように思える彼ですが、コード社により常に記憶を改変され自由意志を奪われている。

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冒頭でハイメたちがまるで透明人間のように、使用人として裕福な白人の家で働くというのは、ライトなタッチで描かれてはいますが、批判も入っているでしょう。

そしてこのカラパックスは悲劇的です。

もともとはスペインのコンキスタドールがメソアメリカ文明を滅ぼし、散々に荒らしまわった。

その上で不安定になった南米は何度も政権交代や内戦、軍事政権の台頭などを繰り返し、劇中ではコード社の兵器によってカラパックスの家が爆撃され、母を失っています。

大切な家族を奪われた上に、その宿敵に利用されている。隷属させられている南米の国家も投影していると感じます。

失われた世代が紡いできた未来のヒーロー

何かこう、受け継いでいるものを強く推していると感じますね。ハイメの父は明るくしていながらも実はものすごく苦労して子どもたちの未来を守っていたし。

この南米の暗い歴史も、そこから立ち上がろうと、次の世代の未来のために奮闘した世代の想いも、すべてが受け継がれた結果として、ブルービートルというヒーローに繋がっていると感じます。

最終決戦でハイメはカラパックスを追い詰めます。あそこで顔半分が割れていて、ブルービートルとハイメの顔が半々なのが、どちらかが主体ってわけではない感じで良い。

追い詰めた先にカラパックスの過去を観たハイメは、とどめを刺すことをやめる。カラパックスも外敵により家族を傷つけられ奪われた存在だと、互いの痛みを知ったわけですね。

全体にはなかなかまとまったいい出来でした。

ちょっとブルービートルの能力について、何ができて何はできないのかの整理が不足している気もしますけれど。

ちなみに、このブルービートルですが、一応打ち切られるわけではないようですね。再編中のDCユニバースの中で他のヒーローとのクロスオーバーをするか、もしくはシンプルに続編なのか、とにかく再登場するということは決まっているようです。

将来は「スーサイド・スクワッド」などとも出会うのか、そのまま続編か、期待しておくとしましょう。

配信のみになってしまったのは惜しいところですが、観れる方は観てみてください。今回の感想はここまで。ではまた。

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