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「アントマン」”Ant-Man”(2015)

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映画レビュー
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「アントマン」(2015)

  • 監督:ペイトン・リード
  • 脚本:エドガー・ライト、ジョー・コーニッシュ、アダム・マッケイ、ポール・ラッド
  • 原案:エドガー・ライト、ジョー・コーニッシュ
  • 原作:スタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービー
  • 製作:ケビン・ファイギ
  • 製作総指揮:ルイス・デスポジート、アラン・ファイン、ヴィクトリア・アロンソ、マイケル・グリロ、スタン・リー
  • 音楽:クリストフ・ベック
  • 撮影:ラッセル・カーペンター
  • 編集:ダン・レーベンタール、コルビー・パーカー・Jr
  • 出演:ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、コリン・ストール、マイケル・ダグラス 他

大人気マーベルヒーローシリーズの最新作。「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(2015)を受けての作品で、MCUの第2段階の締めくくりになる作品。

元々は「ワールズエンド 酔っ払いが世界を救う!」(2013)などのエドガー・ライトが監督を務めることで進んでいましたが、途中降板し「イエスマン “YES”は人生のパスワード」(2008)のペイトン・リードへと受け継がれました。

日本ではあまりなじみのないヒーローですが、初登場は1962年のコミックとなかなかの古株さん。今はCMも結構流れ、いたるところでそのサイズを生かした宣伝がされていますね。

新作なのでまあまあ人はいましたが、大混雑ではなかったです。

1989年、科学者であるハンク・ピム博士は、原子間の距離を縮めてものを縮小する粒子を発見したが、その利用に対し懸念しており、自らの会社を出て行った。

そして現在、窃盗で服役していたスコット・ラングが出所、元ムショ仲間のルイスの元で暮らし始める。前科のせいで就職は難しく、そのことで娘にはなかなか近づけずに、元妻に拒絶されていた。

養育費の支払いに困ったスコットは、やむなくルイスの持ち込んだ窃盗に乗る。金持ち老人の金庫を破ろうというのだ。

巧みな技術と知識を見せ、難なく金庫を破ったスコットだが、中にあったのは妙なスーツといろいろな薬品だけだった。

マーベルヒーローはかなり行くところまでアクションが加速していて、視覚効果祭り爆発崩壊戦闘だらけになりそうなギリギリを言っていますが、今作はアリンコらしくスケールは小さく抑えられています。

しかし、スケールは小さくとも心は大きい。よりハートフルなドラマ部分を押し出した作品です。

もちろん、エドガー・ライトの足跡的な軽快な笑要素がふんだんにあるのも大きな楽しみの要素です。主人公ポール・ラッドの人の良さそうなところ、ここはアントマンの”らしさ”に関わる部分なんですが、コメディとしても効いていますね。

彼は優しくもダメな奴。「電子工学の修士号もってるから!」と言ってサーティーワンの制服着てる時点で、悪い奴じゃない、だが、残念なやつだw と笑わせつつ人物が分かりやすく示されます。

脇を固める人物も重要、それぞれユーモアを持ち合わせ、やはり3バカは必見。マイケル・ペーニャはかなり目立っていましたね。

今回はマイケル・ダグラスがスーツの開発者として登場。「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャ―」(2014)でのロバート・レッドフォードよろしく、脇に大御所が構えると、グッと味わいが出る気がします。

彼とエヴァンジェリン・リリー演じる娘のホープの関係が、スコットの娘との関係と重なっている。そこから2つの親子の贖罪と再生のドラマが生まれるのです。

初代アントマンとして代償を払ったからこそ、スコットには立ち直ってほしい。自分にはもう無いチャンスを逃さないでほしいのですね。スコットの言うとおり、まさに名演説でしたよ。

さて、スーパーヒーローとしてのアントマン。といっても飛び抜けて派手な能力は無いんです。しかしとても独特ですよね。

彼は縮小するわけですが、最初の2回はお見事な感じでした。突然の縮小に、カメラはぐーっとアントマンに近づいて、どれだけ小さな世界に落ちたのかを流れで見せています。

周りが大きくなったような感覚です。そして息をつかせぬ水道やクラブ、ネズミや掃除機シーン。この世界がおかしくなった!助けてくれ!というアントマンの目に映る異常な現実を、スコットと一緒に観客も体感する。

2回目ではアリに乗っかって飛ぶんですから、もう大変。小さいって大変なんだね・・・と、アントマンの苦労が分かりやすく入ってきます。

だからこそ、人物間の信頼構築の訓練シーンで、アリと仲良くなったり縮小拡大に慣れていく過程の大事さが際立ちますね。

それを経たからこそのファルコンを倒せるまでの成長、後半の潜入のチームプレイが熱い。ダメダメのままだったスコット本人が、何かを達成したというのが嬉しいのです。

そういえば、今作のアリたちはなかなかかわいいですね。少し現実よりゆっくりうごいていて、カサカサする虫感が少なく、動作がペット的でした。アントニー、お前を忘れない!

さて、今作の敵はコリン・ストール演じるダレン・クロス/イエロージャケット。ピム博士の影の存在のような、歪んだ愛と心を持ったヴィランです。スーツ同士の対決は「アイアンマン」(2008)のようですが、ここではまた違うドラマを持ってバトルが繰り広げられています。

とりあえず戦闘自体はメタ的な部分を踏まえ笑いを盛り込みつつ、縮小した世界でのパワフルなものでした。小さくなると、いたるところにしがみついたり、何ともない物が実はダイナミックな舞台だったり、一味違った世界が観れました。

大きくなったり小さくなったり、瞬間移動とはまた違う感覚です。

スコットたちとダレンの違いは、やはり根の部分。どちらも、いやこの作品におけるすべての人物に言えることですが、純粋な善はいません。みんなに影があります。

それでもルイスに顕著なように、人を傷つけるのは嫌なのがスコット側です。愛を取り戻すために頑張る、ダレンは愛が取り戻せないと思い、それなら抹消してしまおうとしています。

スコットとはどういう男なのか。ピム博士のいうように、「不可能な障害を破っていく男。」です。

それは金庫破り的な盗人侵入だけの意味ではなくなりました。彼は中に入り戻ってくる。アントマンとして、原子間の距離という障壁を破り、侵入して帰還すること。

量子のレベルまで侵入して大切な人を救い、不可能を打ち破って愛する人の元へ帰ってくること。

スコットは全編通して、柵や格子を抜けていきます。盗みは娘のためでした。そして娘のために、愛のためになら次元的な壁だって乗り越えていくんです。

アントマンはそういったとても人間的な暖かさにあふれていました。

すごく身近なヒーロー。良いところも悪いところも持ち合わせた人間が、罪を償って新しく進もうとする姿にとても優しい気持ちになりました。

もちろん軽快なテンポやギャグも楽しめますし、ミクロの闘いも見どころです。是非映画館で鑑賞してみてください。

というところで終わります。新たに好きなヒーローが増えました。この先の活躍も楽しみです。それでは、また。

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