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「クレイジー・リッチ!」”Crazy Rich Asians”(2018)

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映画レビュー
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「クレイジー・リッチ!」(2018)

  • 監督:ジョン・M・チュウ
  • 脚本:ピーター・チアレッリ、アデル・リム
  • 原作:ケヴィン・クワン 「クレイジー・リッチ・アジアンズ」
  • 製作:ニーナ・ジェイコブソン、ブラッド・シンプソン、ジョン・ペノッティ
  • 製作総指揮:ケヴィン・クワン、シドニー・キンメル、ティム・コディントン、ロバート・フリードランド
  • 音楽:ブライアン・タイラー
  • 撮影:バーニャ・ツァーンユル
  • 編集:マイロン・カースティン
  • 出演:コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、ジェンマ・チャン、リサ・ルー、オークワフィナ、ハリー・シャム・ジュニア、ケン・チョン 他

ケヴィン・クワンの小説を「G.I.ジョー バック2リベンジ」(2013)のジョン・M・中監督が映画化した作品。

主演にはコンスタンス・ウー、そして彼氏の役にはこちらが映画デビューのヘンリー・ゴールディング。

そして彼の母役で、ミシェル・ヨー、ちょいおかしなっさんにケン・チョンも出ています。

また、主人公のレイチェルを助けてくれる女性には、「オーシャンズ8」での印象が強いオークワフィナも出ていますね。

製作段階ではあまり知らなかったのですが、北米での公開でその評判の良さに注目していると、あまり間を空けずに日本公開になりました。

今作の話題は、何にしても、ハリウッド製の作品ながら、メインキャストが、というか出てくるのがほぼアジア人という事ですね。

公開週ではなく、その次の週に観てきました。朝一の早い回でしたけど、結構混んでいまして、客層としては少し年齢層高めでしたかね。

ニューヨークの大学で経済学教授をしているレイチェル。

彼女はニックと言うハンサムな彼氏と付き合っているが、彼が自分の故郷へレイチェルを連れていき、家族に紹介したいと言ってきた。

ニックの家族に会うこと、そして将来の結婚を考え楽しみにするレイチェルだが、空港に着けば出迎えが来て、2人をファーストクラスへ案内する。

いきなりの待遇に戸惑うレイチェルだが、全てはニックが用意したもので、どうやらニックは裕福な・・・いや、裕福なんてものではないほどの資産を持つ家系なのだった。

ハリウッドでのヒットと批評筋の好評価を受けている今作は、ハリウッド映画でありながら、メインキャストはアジア人、舞台もシンガポールとなっていまして、まずそこがおもしろいなと。

話自体は、大富豪の彼氏の実家へ行き、そこで持てるものたちのいやがらせや義理の母候補とのバトルがあるという、極めて王道なストーリーです。

チュウ監督はその王道ストーリーもテンポ良く進めつつ、しかし同時に、ふたつの点でフレッシュというか楽しい部分をやりきったと思います。

まず一つは、タイトル通りのクレイジー・リッチなピープルの描写です。

お金持ちのキャラなんて腐るほど映画にはいますし、金持ちのクラブやパーティなんて見飽きていると思いますけど、今回はクレイジー(イカれてる)金持ちです。ホントに規模が違う。

画面に次々出てくる豪華な邸宅、飛行場に国際水域上の輸送船パーティ会場、人物たちの衣装から、見てるだけでもアホかというほどのスケール。

もうビジュアルエフェクトです。

それに、欧州や北米ではなく、シンガポールが舞台とあって、明るくカラフルなんです。カラーリング含めて、2時間ずっと豪華絢爛のジェットコースター。

視覚的にもすごくおもしろい。トニー・スタークが小金持ちに思えてきます。

同時に、クレイジーなのは頭の方もで、いわゆる金持ちの嫌なやつらもいっぱ出でてきていたり。これもステレオタイプでありながらコメディに貢献しつつ、着地をみればなるほど必然描写であるという巧みさがあります。

もう一点が、着地のさせかたです。

王道ストーリーは古くさいかもしれませんが、ビジュアルとテンポのよさでカバー。しかし、まとめにはなるほど現代的な解答をバシッと打ち出していて、それは見事なんですよ。

一言で言うと、アイデンティティーの多様さを認めながら、尊敬し合うエンディングです。

冒頭レイチェルが母に言われる通り、顔は中国人、話す言葉も中国語でも、やはり彼女はアメリカ人です。

いわゆる2世、3世にいわれるアイデンティティークライシス。血なのか人を形作る文化なのか。

もしも服従するならば、彼女は中国の名家へ嫁ぐ妻になり、アメリカ生まれアメリカ育ちの経済学大学教授を捨て去ることになります。

自分を捨てるのです。

しかし監督はもちろんそんな解決はさせません。むしろ、人物みんながそれぞれそのままで互いを受け入れるという、非常に今の国際情勢を反映したようなことを描きます。

母が外の男と作った子で、名門の生まれではなくて何が悪い。真っ当な叫びは痛快です。

そしてアイデンティティーを変えないのは、ニックの母もです。愛のために全てを捨てて、ヤン家に入った。それを恥じさせず、変に悪役にもせず、そういう生き方を貫いた女性として描きます。

最終的に、自分全開。

レイチェルと支え合う形になったアストリッドも夫も我慢をやめますし。

ニックの従姉妹たちも変わらずバカはバカですねw

嫌な金持ちはそのままで、変な奴もみんなそのままハッピーエンディング。これってかなりすごいことだと思うんです。

人と人とが歩み寄る、その上で出身も経済力も性格も人種も何も関係ないってこと。

お互いに愛があれば良いのです。

ジョン・M・中監督が生み出したのは、アジア人版の「ブラックパンサー」とでもいえばいいのか、タイトルシーンで差別的な白人の主導権を奪ってからそのまま続くラグジュアリージェットコースター。

1,800円で国家予算くらいの贅沢三昧が堪能できる、脳内麻薬的な側面もある、それでいて真っ当で素晴らしいおススメロマコメ。

割とあっさりした感想になりましたが、すごく面白かったです。

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