「スター誕生」(1937)
- 監督:ウィリアム・A・ウェルマン
- 製作総指揮:ジャック・L・ワーナー
- 製作:シドニー・ラフト
- 脚本:モス・ハート
- 撮影:サム・リーヴィット
- 編集:フォルマー・ブラングステッド
- プロダクションデザイン:ジーン・アレン
- 美術:マルコム・C・バート
- 装置:ジョージ・ジェームズ・ホプキンス
- 衣裳:ジャン・ルイ、メアリー・アン・ナイバーグ、アイリーン・シャラフ
- 音楽監督:レイ・ハインドーフ
- 出演:ジャネット・ゲイナー、フレドリック・マーチ 他
戦前に日本でも公開されたもので、54年にはジョージ・キューカー監督のミュージカルとして、76年にはフランク・ピアソン監督により舞台が変えられリメイクされました。
アカデミー賞原案賞を獲得した作品です。当時大スターのフレドリック・マーチの名演も印象深いです。
映画界にあこがれ、ハリウッドに出てきたエスターは、人気俳優のノーマン・メインに出会い、ビッキー・レスターとして大女優へ成長していく。その一方ノーマンは人気が落ち、酒びたりになり始める。
ジャネット・ゲイナーのなんとも無垢で優しい雰囲気が素敵で、すぐにみんなに好かれる設定にピッタリの愛らしさです。
ノーマンを演じるフレドリック・マーチは当時大人気のスターですが、あえて落ち目を迎える俳優を演じるのはすごいです。
見向きもされず、陰口をたたかれ弱っていく姿はどんな役者もなりえる、恐れる姿なのかもしれません。
いや、それ以上にどんな人にも訪れる、老いや衰退を直視しているのかも。
テクニカラーの色合いが華やかさを増すほど、惨めになるノーマンの辛さも厳しく感じます。
スターになるということは観客、プロデューサー、監督などに愛される存在になること。自分を、愛する人を捨てることにも耐えねばなりません。
エスターにとってノーマンは大切な存在。スターを諦めてでもそばにいたいのです。ノーマンは一方で自分のせいでエスターの女優人生を無下にしたくない。
ですから究極の選択も彼はいとわなかった。
心を痛める覚悟はあるか。エスターが初めてハリウッドに来た時に問われるのですが、ノーマンの究極の愛を受け、その悲しみと失意を勇気にかえたエスター。彼女はまた映画界で頑張り続ける。
そこには最後まで愛する人の妻であり続け、夢をあきらめなかった女性の姿が残りました。
サクセスストーリーというより、真にスターになることの華やかさとその裏の覚悟を描いた映画でした。リメイク版もいつか見てみたいです。
それではまた次の記事で!
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